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Voicyそなえるらじお #467 ソウルで生じた最悪の群衆雪崩…回避方法はあるのか?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #467 ソウルで生じた最悪の群衆雪崩…回避方法はあるのか?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、10月31日(月)、本日も備えて参りましょう!

韓国・ソウル・ハロゥイン群衆雪崩

本日のテーマは「群衆雪崩事故」のお話です。

  • 日本でも多くの報道がなされていますが、最悪の事故が発生しました。
  • ハロウィンイベントで賑わう先週末、10月29日土曜日の夜、韓国ソウルの繁華街で、群衆雪崩とみられる事故が発生し、死者150名を超える大惨事となってしまいました。

ソウル・ハロウィン群衆雪崩事故

  • 事故現場となったのは韓国・ソウル市の繁華街、幅3メートルほどの狭い坂道です。新型コロナウイルスによる行動制限が3年ぶりにとかれた、ハロウィーン直前の土曜日夜、現場となった梨泰院(イテウォン)には普段より多くの人出がありました。
  • 事故が発生した細い路地は、幅3メートルほど、建物や店舗の壁に挟まれた路地で人の逃げ場がない場所でした。ここに、坂を登る人・下る人が集中し、進むことも戻ることもできない程の人が集まってしまったのですが、突然人が倒れて列が崩壊、人の上に人が折り重なるように崩れる、群衆雪崩に発生したと報じられています。
  • この事故の結果、現在までに150名を超える死者が発生するなど、最悪の群衆雪崩事故になってしまいました。まず改めまして、この事故で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。

明石花火大会歩道橋事故

  • 群衆雪崩という事故、日本においては2001年7月21日、兵庫県明石市、JR神戸線の朝霧駅の歩道橋で発生した、明石花火大会歩道橋事故の教訓が残されており、事故から20年以上が経過する現在においても、イベントや集会における雑踏警備には、群衆雪崩防止の対応が強く盛り込まれています。
  • 朝霧歩道橋の事故では、子ども9名を含む11名が死亡、247名の重軽傷者が発生する大惨事となりましたが、今回ソウルで発生した群衆雪崩と同じような状況で発生したと考えられます。
  • ちなみに、報道やSNSなどの情報では「群衆雪崩」という言葉と、「将棋倒し」という言葉が混ざっていますが、群衆雪崩と将棋倒しは少し違う現象です。
  • 将棋倒しは人が列をなしている場所で、一方方向に次々と倒れるような状況。例えばスタジアムやコンサートホールの階段で生じる事故や、施設のエスカレーターなどで発生する事故などは、将棋倒しという言葉が近い事故になります。
  • 一方群衆雪崩は、将棋倒しの一種ではあるのですが、人が崩れていく方向が一方ではなく複数方向・面状に広がることが特徴になります。文字通り、自分の意思では身動きが取れない、窒息するような恐怖を覚えるほどの密集状態で、誰かが転倒などを引き起こし、もう足を踏ん張ることもできずに、雪崩のように人が崩れていく様な状況、これが恐ろしい群衆雪崩です。

大地震による群衆雪崩

  • この群衆雪崩は、首都直下地震を始めとする、大都市圏での大地震などでも発生することが想定されています。
  • 大量の徒歩帰宅者が路上を埋め尽くし、しかしガレキや火災の発生で通路が塞がれている、しかしそれに気づかない人達が早く移動したいのでドンドン通路を埋める。
  • 最前列の人達はそれ以上進めないことが分かっていますが、それを後ろの集団に伝えるすべがないため、誰も動けなくなる。そこに地震の余震などが発生してパニックが起きたら、あっという間に群衆雪崩の発生となります。こうした状況が、例えば東京の至る所で発生する可能性が指摘されているのです。
  • そのため、特に大都市で大地震が発生した場合は、すぐに帰宅を始めず、周囲の状況が確認でき、落ち着いた状況になるまでは職場や学校、外出先に施設にとどまることが推奨されています。
  • 大地震直後に歩いて帰ると、死ぬ可能性がある、ご注意ください。

群衆雪崩の怖さ

  • 群衆雪崩の恐ろしさは、それが発生するまで、自分自身が当事者になっていることに気づきづらいという点にあります。
  • 閉鎖空間に人が寿司詰めになる場合は、そこが危険な状況になる可能性を察知できますので、回避行動を取ることができます。
  • しかし屋外の「その辺の路上」の場合、しかも初めて訪れる場所ではなく、何度も歩いたことがある様な場所の場合、そこに人が集まって群衆雪崩が生じる、ということがイメージできないため、気づいた時には手遅れになってしまいます。
  • つまり、よく知っている場所を歩いていたはずなのに、気がつくと身動きが取れなくなっており、なにか危ないと思ってそこから立ち去ろうにも、すでに自分の意思では行動不能となり、そして誰かの転倒やパニックの発生を引き金に、群衆雪崩に発生してしまうという流れです。
  • 屋内の閉鎖空間や、いかにも人が集まりそうな広場などでは、ある程度人混みに警戒ができますし、警察や警備会社も人の誘導ができますが、その辺の路上は無限に存在するため、気がつくと手遅れになっているという点が、群衆雪崩から逃れることを難しくしています。
  • イメージして見て下さい、毎日通勤・通学・買い物などで出かけているその辺の屋外、少し細い路地や通路はないでしょうか。そしてある日突然、そこに人が多く集まり、普段通りに通行しているつもりが、気づいた時には身動きがとれなくなっている、これが群衆雪崩の恐ろしさです。

群衆雪崩をどう回避するか

  • 群衆雪崩を回避する根本的な要因は、人混みにいかないという点に尽きるのですが、まったく外出しないわけにもいかないですし、イベントや人の多い場所を生涯避け続けるというのも難しいでしょう。
  • ただ、人が集まれば必ず群衆雪崩が生じるというわけではなく、「特定の一カ所」に、「尋常ではない人数」が集まるなど、条件がそろうことが必要です。具体的には、1㎡あたり10名以上、ざっくり畳半畳に大人が10人程度集まる状況が、広範囲で生じるほどの状況が必要になります。文字通り指一本動かせないレベルの、最悪の満員電車。このような状況にその辺の路上に巻きこまれた場合は、カウントダウンが生じています、逃げられるならば、押さず、走らず、ゆっくり、その場から離れてください。こうした状況を回避するための意識を払うことが、群衆雪崩の回避につながると言えるでしょうか。
  • まず大地震直後はすぐに移動をしないというのは基本ですが、
  • 人混みを歩く際には、できるだけ前後の間隔を取り、過剰な密集を生まないようにする。人の興奮やパニックを煽るような要素がある場合は、野次馬として参加しに行くのではなく速やかにその場を離れる。人を押さない、慌てない、走り出さない…このくらいしかありません。
  • 事故の再発を、国内外問わず願うばかりです。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は群衆雪崩事故」のお話でした。

それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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