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Voicyそなえるらじお #450 防災視点の「賃貸か・持ち家か」問題…ポイントは脅威の対象

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #450 防災視点の「賃貸か・持ち家か」問題…ポイントは脅威の対象

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、10月6日(木)、本日も備えて参りましょう!

#賃貸か持ち家か

本日のテーマは「不動産と防災対策」のお話です。

  • 本日はVoicyの公式トークテーマから、「#賃貸か持ち家か」ハッシュタグを取り上げます。
  • この賃貸か、持ち家か、というテーマは様々な場面で議論されていますが、防災的にはどうなのでしょうか。
  • 結論から言えば、答えはありません。ただ、いずれの場合も「ハザードマップをよく見て、沈んだり崩れたりしない場所に建っている、大地震で倒壊しない家を選びましょう」という、防災対策の最重要事項をきちんと考えることが重要になります。

自然災害を考慮すると

  • 自然災害を対象に考えれば、賃貸住宅の方が優れています。
  • 日本中どこにでも生じる大地震、津波、噴火、また台風や大雨による洪水・高潮・土砂災害、住宅に被害を与える可能性がある災害は様々ですが、賃貸住宅であれば住宅を失っても資産的なダメージはほとんどありません。被害を受けたら引っ越せばよいということになります。
  • さらに、ハザードマップをよく見て自宅を購入した、しかしその後ハザードマップが改訂された際に、今までは安全だった場所が、沈んだり崩れたりする危険な場所に指定されるようになった、ということもありえます。この場合も賃貸であれば引越という手段を取ることができます。
  • また、建物の頑丈さを図るには耐震基準・耐震等級が重要ですが、それでも築20年・40年と立っていけば住宅は経年劣化し、耐震性も徐々に落ちて行きます。賃貸住宅であれば、定期的に引越をすることで、比較的新しい、揺れに強い建物を選べることもメリットです。
  • 総じて、自然災害の影響を避けることだけを考えるのであれば、賃貸住宅の方が身動きがしやすく、有利であると言えます。

お金の対策については

  • 一方、自然災害ではなく、資産防衛の視点からは持ち家が有利と言えます。高齢単身世帯となると、なかなか賃貸住宅を借りられなくなるといった事情。何かの理由で収入が立たれても、ローンを払い終わった自宅があれば住居だけは確保できるという点などがあります。
  • さらに、今後到来するであろうインフレ局面においては、現物が有利となります。3000万円の現金が、10年後に3000万円の価値を持っているかはわかりません、インフレが進むと1000万円分の価値に目減りしている可能性もあります。
  • しかし3000万円でローンを組んで購入した住宅は、10年後に災害で失われていなければ、不動産としての価値は目減りしているかもしれませんが、3000万円で購入した住居という価値は残っています。少なくともインフレで上昇した家賃を払えなくなって生活が苦しくなるということはなくなります。
  • ただ、変動金利の場合はローンの支払額も徐々に上昇しますので、インフレ対策として住宅ローンを組む場合は、フラット35を初めとする固定金利を組んでおくことで対策としては万全になります。
  • インフレという社会の情勢に備えるのであれば、賃貸よりも持ち家の方が有利であるといえるでしょう。

防災対策をするなら…

  • では、室内の安全対策や防災備蓄をする場合はどうでしょうか。
  • 例えば家具や家電の耐震補強には、金具によるネジうちが有効ですが、賃貸住宅の場合は原状回復義務の壁があるため、なかなかネジうちがしづらいという現実があります。この点は持ち家の方が有利です。
  • ただ、個人的なことを言わせていただくと、賃貸住宅であろうと、気にせず壁にネジうちをしたらいいと思います。もちろん壁に穴を空けることになりますので、引越をする際には敷金からさっ引かれます。でも、お金で安全が買えるのであれば、買ったらいいと思うのです。
  • ちなみに余談ですが、不動産業界は、耐震固定器具のネジうちは、原状回復の対象外にするべきだと思っていますし、これが当たり前になるような考え方が広がるといいなと思っています。
  • また、各種、防災に役立つ設備も、持ち家の方が導入しやすいという点はあります。太陽光発電や住宅用蓄電池、エコキュート、雨水のタンク、井戸などの設備を、賃貸住宅に導入するのはなかなか困難です。
  • さらに、窓ガラスの安全対策として、雨戸やシャッターの取りつけや、割れづらい防災安全合わせガラスを導入することも有効ですが、これも賃貸住宅ではなかなか困難です。
  • また防災備蓄を極めようとする場合は、床の耐荷重を増やす為の床下工事が必要ですが、こうしたリフォーム工事も持ち家でなければできません。

結論は…

  • ということで、まとめです。
  • まず、ハザードマップで明らかになっている災害に備えるのであれば、持ち家が有利ですが、想定を超えた未知の災害に備えたい場合は、被害をチャラにできる賃貸住宅が有利となります。
  • ただ、想定を超えた未知の災害まで考え出すと終わりがありませんので、想定されている最大規模に備えられればよい、ということであれば、資産防衛の側面、また各種の防災設備を導入出来る、持ち家が有利であると言えます。
  • それなりに生じる可能性がある最悪への備えなら持ち家が、未知の災害を含めた100%の対策ならば賃貸が有利です。もちろん、お金が無制限に使えるならば、持ち家で防災を極めつつ、被害を受けたら建て替えるというプランが最強です。
  • どちらが正解と言うことはありませんが、ハザードマップをよく見て、沈んだり崩れたりしない場所に建っている、大地震で倒壊しない家を選びましょう」という点だけは、いずれの場合も意識していただきたいなと思います。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「不動産と防災対策」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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