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Voicyそなえるらじお #481 共助で死者ゼロ「2014年・長野県神城断層地震」とその前提となる対策

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #481 共助で死者ゼロ「2014年・長野県神城断層地震」とその前提となる対策

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、11月22日(火)、本日も備えて参りましょう!

3.11の余震ではなく単体の地震です

本日のテーマは「長野県神城断層地震」のお話です。

  • 本日11月22日は、2014年に長野県神城断層地震が発生した日です。
  • ちょうど8年前、2014年(平成26年)の11月22日、夜の22時8分ごろ、長野県北部を震源とするマグニチュード6.7、深さ5キロ、最大震度6弱を観測する大きな地震が発生しました。
  • 被害が集中したのは震源に当たる長野県北部ですが、住宅に対する被害は、全壊81棟、半壊175棟、一部損壊2,146棟という大きな被害が発生。一方、人に対する被害としては、重傷者8名、軽傷者38名が発生しましたが、奇跡的に死者・行方不明者はゼロ名という状況でした。
  • 本日はこの地震のお話ですが、長野県が作成した地震の資料「長野県神城断層地震災害記録集 記憶をつなぐ 未来につなぐ」を参考に、いくつかのポイントについてご紹介をしたいと思います。

地震について

  • 長野県の北部で発生した地震と言えば、2011年3月12日、東日本大震災の翌日に発生したマグニチュード6.7、最大震度6強の地震があり、こちらの地震では同程度の家屋被害とあわせて、3名の死者が発生しております。
  • この地震は、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の13時間後に発生していますが、いわゆる誘発型の地震として考えられています。同じような地震は、3月15日に静岡県東部で発生した地震も挙げられます。
  • 一方、2014年の長野県神城断層地震は、地震の名前に活断層の名称が入っていることから分かるとおり、東日本大震災とは関係のない、活断層によるいわゆる直下型の地震と考えられています。
  • 長野県には、南北を貫く巨大な断層帯があります。日本を地質的に東西に分割する大地溝帯・フォッサマグナの西端に該当する、糸魚川-静岡構造線がこれです。神城断層は、この糸魚川-静岡構造線の一部であり、ということは今後も同じような地震が生じる可能性もありますので、永遠に警戒が必要であるということが言えます。

白馬の奇跡

  • 長野県神城断層地震で特に大きな被害が生じた地域は、特に震源に近かった長野県白馬村です。白馬村では、42棟の建物が全壊し、3名の重傷者と20名の軽傷者が発生しました。
  • 例えば被害の多かった白馬村の堀之内地区では、26名の方が倒壊した建物に閉じ込められたのですが、全員が近隣住民や地元の消防団により救助されています。しかも地震が発生したのが夜22時、全員の救助が完了したのが夜明け前という迅速さでした。
  • また、同じく白馬村の三日市場地区では、地震発生から1時間ほどで41世帯118人、全員の安否確認を終えるなど、地震の規模に対して死亡者ゼロという状況を指して、「白馬の奇跡」と称されています。
  • 元々、人のつながりが濃い山間部の地域であったこと、特に雪国は冬の対応を個人で全て賄うことが難しいため、より地域の結びつきは強くなるということですが、こうした日頃のコミュニティ形成が災害発生後の共助につながっていることは、よい事例として捉えるべきです。

ただし家は頑丈に

  • 一方、救助が迅速に行われる環境があったとしても、大地震の揺れによる建物倒壊や家具転倒で即死してしまえば、救助は不可能となります。
  • 白馬村を始めとする被災地は、雪国という特性上もともと住宅が頑丈に作られており、地震の揺れの割に建物が被害が最小限となったこと、建物が倒壊した場合も完全にぺしゃんこになるのではなく、建物の一部が残されたことなどから、即死者がおらず、救助が成立したという側面もあります。
  • 発災後の共助、コミュニティの形成は重要事項ですが、それは地震による即死をまぬがれればこそという側面もあります。また揺れの後に津波や土砂災害に襲われるなどした場合も、救助をすることが間に合いません。
  • 白馬の奇跡は、確かに奇跡なのですが、ご近所付き合いがしっかりしていれば地震など恐るるに足らずとは決してなりません。
  • 揺れで倒壊しない家に住む、二次災害に襲われない場所に住む、こうした災害直後にまず即死しないための、死なない環境をつくっておくことが前提として重要だということになります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は長野県神城断層地震」のお話でした。

  • お知らせです
  • 明日11月23日は勤労感謝の日で祝日となりますので、次回の通常放送は11月24日となりますが、11月24日でそなえるラジオは放送開始2周年を迎えます。
  • ちょうど節目となりますので、以前よりリクエストをいただいておりました放送時間の見直しを実施し、11月24日から毎朝6時の放送に変更いたします。収録自体は前日の夜に行っていますので、朝4時とか5時スタートにすることもできるのですが、まず今回は6時スタートに変更しまして、皆様からのご意見なども伺って参りたいなと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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