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Voicyそなえるらじお #494 アルファ米?アルファ化米?誕生の経緯と歴史のお話

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #494 アルファ米?アルファ化米?誕生の経緯と歴史のお話

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月12日(月)、本日も備えて参りましょう!

「アルファ米」の聖地へ

本日のテーマは「アルファ化米」に関するお話です。

  • 先日、仕事に関する打合せで、東京・三田にあります尾西食品の本社へ訪問させていただきました。尾西食品は長期保存ごはんの定番「アルファ米」を開発した大手の備蓄食メーカーですが、会議室に併設された、製品やアルファ米開発の歴史をまとめた展示コーナーなど、まさに「アルファ米の聖地」的な場所で、大変ありがたい訪問となりました。
  • ということで本日は、このアルファ化米の歴史に関するお話です。

アルファ化米?アルファ米?

  • アルファ化米は、炊きたてのご飯を急速乾燥させることで、そのまま食べられる状態を維持しながら水分を飛ばして軽量にしたご飯です。お湯または水を注ぐだけで、炊きたてのような食感を取り戻すことができるため、防災備蓄やアウトドア、さらには宇宙食の分野などでも活用されているご飯です。
  • ところでこのアルファ化米、名称としてよく、「アルファ化米」と「アルファ米」という言葉が使われますが、どういった違いがあるのでしょうか。簡単に言えば、「アルファ化米」は一般的な名称で、「アルファ米」は尾西食品が商標登録をしている製品名です。
  • 生のお米を加熱調理…つまり炊飯しますと、食べられる「アルファ化」状態となり、そのまま冷やすと食べられない「ベータ化」状態となります。そのため、「アルファ化」の状態を維持したご飯が、すなわち一般名称となる「アルファ化米」です。
  • 一方尾西食品は、これをより簡潔に呼ぶため、自社のアルファ化米を「アルファ米」という製品名で販売しており、また商標登録も行っております。ただ、実際には、アルファ化米もアルファ米も、どちらも一般的な名称として使われることがあり、そこまで厳密に使い分けがなされている訳ではありませんし、
  • 尾西食品さんに聞いたところ、アルファ米という言葉が使われていたとしても、それ自体をどうこうするようなことはしていないということです、ありがたいですね。
  • というわけで、本日の放送でも、アルファ化米そのものを指す場合は「アルファ化米」と呼び、尾西食品の製品名を指す場合は「アルファ米」と呼んでおります。

アルファ化米の歴史は尾西食品にルーツがあり

  • アルファ化米はいつごろから存在するのでしょうか。
  • 同じメカニズムの食品としては、お米を干してかんそうさせる「干飯(ほしいい」)が存在しますが、これは神話の時代…古事記に登場する日本武尊(やまとたけるのみこと)が食べていたと書かれているくらいですので、
  • そういう意味ではお米の生産がなされていた古代から、アルファ化米的な食べ物は存在したのだと考えられます。
  • アルファ化米が工場で大量生産されるようになったのは、1944年、太平洋戦争の末期となります。
  • きっかけは、炊飯をせずに食べられるお米のご飯の開発を、旧・大日本帝国海軍が、尾西食品株式会社の前身となる、尾西食品研究所と大阪大学・産業科学研究所の二國二郎博士に要請したこと。
  • そして尾西食品研究所と二國博士の共同開発により、現在のアルファ化米を工場で大量生産できる技術を確立され、ただちに全国9箇所の工場で量産が開始され、太平洋戦争末期の食糧補給を支えたということです。
  • ちなみに、尾西食品研究所を設立した尾西敏保(おにしはるやす)さんは、元々海軍で潜水艦などに乗っており、ご飯を炊くことができない厳しい環境を経験されており、これをひとつのきっかけとして、アルファ化された食品の研究と製造を行う、尾西食品研所を設立されました。
  • その後、軍隊用の食糧として、「葛練りの素」「餅の素」「餡の素」などをすでに製造しており、アルファ化米製造の基礎的な技術を持っていたと言う点が有利に働いたということです。

その後のアルファ化米

  • 終戦後も日本の厳しい食糧事情を支えるために、軍用の食糧から平和的な備蓄用食糧への転換を図り、1949年には現在の尾西食品株式会社が設立され、尾西のアルファ米製造が継続されました。
  • そしてその後、1995年の阪神淡路大震災で、従来はカンパン中心だった非常食のラインナップに、温かいご飯が手軽に食べられるアルファ米が追加されたことで認知を高め、
  • さらに容器包装や脱酸素技術の進歩で、より手軽に長期保存ができるようになり、現在のどこでも美味しく食べられる「アルファ米」へと進化しているということです。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「アルファ化米」でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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