Voicyそなえるらじお #502 温暖化で雪の総量は減るが、ドカ雪による雪害は増える恐れがある?
最終更新日:
執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月21日(水)、本日も備えて参りましょう!
温暖化は着々と進む
本日のテーマは「温暖化とドカ雪」に関するお話です。
- 大雪の影響で自動車の立ち往生が続いてた新潟県ですが、除雪や車の移動が進み、昨日12月20日の夕方頃に立ち往生は解消したということです。
- 一方で、一部の物流に影響が出て店舗の商品在庫が無くなったり、今週末のクリスマスにかけて再び寒波と大雪が予測されていたりと、しばらくは大雪への備えが必要となります。
- さて、ところで昨今、地球全体では温暖化が進み、冬の気温も高くなりつつあります。
暖かくなる冬
- 気象庁が公開している全国の平均気温の推移を見ますと、
- 例えば全国で観測される「冬日」…日最低気温が0度以下になる日の年間日数は、直近100年間で8割ほどに減少しています。
- 逆に夏は熱くなっており、「熱帯夜」日最低気温が25℃以上になる日の年間日数は、直近100年間で2.7倍に増加しているのです。
- 地球温暖化は陰謀だ、じつは寒冷化している、色々なご意見を伺うこともありますが、少なくとも日本全国で観測されている100年間のデータ上は、確実に夏が暑く・冬も温かくなっていることは事実です。
- ところで、冬の気温が高くなれば、雪も減り、大雪災害に巻きこまれることも少なくなるようなイメージがありますが、実は多少の気温上昇は、むしろ大雪による災害の増加を招く恐れがあるのです。
減少する積雪
- まず、温暖化に伴いまして、日本全国をみた場合の積雪量は、少しずつ減っています。
- 例えば、私が住んでいる静岡県も温暖で、積雪するのは数年に一度、足跡がつくほど雪が積もった日には、街中は車が動かず大混乱、子どもと犬は狂ったように屋外に飛び出して雪遊びをする、そんな地域なのですが、こうした温暖な地域に関しては、温暖化によりますます雪が珍しい物になることが想定されています。
- 一方で日本海側、雪国については地域差がありまして、北海道から東北の日本海側の積雪量はそれほど減っていないのですが、北陸及び山陰と九州の日本海側の積雪量は近年減りつつあります。
- 例えば北陸で1日に20センチ以上の雪が降った年間日数は、ここ60年間でやく半分に減っており、さらに山陰から九州の日本海側で1日に20センチ以上の積雪を観測した日は、この60年で6割減少しています。
- これは、北海道や東北などは元々非常に寒いため、温暖化で多少気温が上がっても従来通り雪が降り続けるのですが、北陸より南側の地域については、気温の上昇と共に積雪をもたらす冬の期間が短くなっていることが原因です。
増えるドカ雪
- そして問題なのは、全体としては雪がへるのですが、逆に極端なドカ雪は増える可能性があることなのです。
- 短時間に極端なドカ雪が降る可能性がある場合、気象台から「顕著な大雪に関する気象情報」が発表されて、自動車の立ち往生や、停電や流通の停止などのライフライン影響に対する注意が呼びかけられます。
- 温暖化で冬の気温が上がりますと、全体としての雪は減るのですが、日本海の海水温が上昇することで海水がより蒸発しやすくなり、冬に大きな雲が作られやすくなります。
- そのため、北海道などの寒い地域や、標高3000メートルを超える高山では、海水から供給される水分が増えることで、今後雪が増えることも考えられていますし、
- その他の地域については、全体としては雪が減り、冬に雨が増えると考えられていますが、たまに寒気が到来するとこの豊富な水蒸気により作られた雲から極端なドカ雪が降る、極端な気候に変わっていくことが想定されているのです。
- ということで、温暖化に伴い全体的に雪は減るが、大雪による災害はむしろ増えるかもしれない、そのための準備は今後も必須である、ということをぜひ知っておいてください。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「温暖化とドカ雪」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!