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Voicyそなえるらじお #503 雪+雨で重量が10倍に!普段雪が降らない地域も雪下ろしの準備を

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #503 雪+雨で重量が10倍に!普段雪が降らない地域も雪下ろしの準備を

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月22日(木)、本日も備えて参りましょう!

雨による二次災害

本日のテーマは「大雪と雨と屋根」に関するお話です。

  • 前回の放送では地球温暖化により、日本全体としての積雪は減るが、局地的なドカ雪災害は今後増えるかもしれない、というお話をしました。
  • 本日もこの雪に関するお話ですが、雪の荷重変化と屋根に関するお話です。

雪は水分を含むと重くなります

  • サラサラフワフワとした印象のある雪ですが、雪は降ってから時間が経過したり、雨が降って濡れると重量が増します。
  • 降ったばかりの新雪の重さは、1メートル×1メートルの広さに高さ1メートルが積もった場合、つまり1立方メートルあたりの重量は50キロから150キロですが、
  • 降ってからすこし時間が経過して雪の密度が高まると、1立方メートルあたりの重量は150キロから250キロほどに、
  • そして溶けて固まる、あるいは雨に濡れるなどしてザラメ状態になりますと、1立方メートルあたり250キロから500キロと、降ったばかりの雪の10倍の重さになってしまうのです。
  • 例えばコンパクトな一戸建て、床面積が50㎡程度の住宅の場合、屋根の面積はおおむね75㎡程度になりますが、降ったばかりの雪であれば1m積もったとしても重量は3.7トン、しかし雨などに濡れて重たくなった雪の場合は10倍の37トンもの荷重がかかることになります。
  • あるいは自動車の場合、例えばミニバンの場合は屋根面積が約8平米ですので、降ったばかりの雪が1メートル積もると加重は400キロ、ザラメ状態で重たくなると約4トンと、かなり危険な重さになります。
  • シーズンはじめやシーズン終わりの大雪は、降った後に気温が高くなり雨になることも多くありますが、雨が想定される場合はできるだけこまめに雪下ろしをしなければ、建物などに被害が出る恐れがあるため注意が必要です。

問題は雪が降らない地域

  • ただ、この大雪の後に雨が降って雪が重くなり、建物倒壊等につながる被害というのは、雪国よりは普段雪が降らない地域の方で生じることが多くあります。
  • 防災対策における耐震基準でおなじみの建築基準法ですが、建築基準法では雪に対する耐荷重も定められていまして、積雪の多い地域についてはかなりの大雪でも建物が倒壊しないレベルが求められています。
  • 一方、普段雪が降らない地域はこの雪の耐荷重の基準が低いため、100年に1度の大雪が降り、さらに雨が降って重量が増すと、雪国では耐えられる重さが普段雪の降らない地域の建物では耐えられず、倒壊するということが生じてしまうのです。
  • 実際、2014年に関東地方に降った記録的な大雪では、積雪後に雨が降り雪の重量が増して、約1000棟の建物に被害が生じました。そのため、これを受けて建築基準法では、積雪後に雨が降ったことを想定した割マシの耐荷重を計算するようにと、定めるように変わったという経緯もあります。

火山灰も同様

  • なお、水を含むと重たくなるのは、雪だけでなく火山の噴火によって放出される火山灰も同様です。火山灰も乾燥した状態であれば比較的軽いのですが、と言っても重いですが、水を含むとすさまじい重量になります。
  • 木造住宅の場合、屋根に30センチ程度の火山灰が降った状態で雨が降ると、建物が倒壊する恐れがあるということで、火山灰の灰おろしも必要になる可能性があることが指摘されています。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「大雪と雨と屋根」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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