備える.jp
サイトメニュー仕事依頼・お問合せ

Voicyそなえるらじお #489 ロンドンスモッグから70年目…霧の都ロンドンを覆った毒霧

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #489 ロンドンスモッグから70年目…霧の都ロンドンを覆った毒霧

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月5日(月)、本日も備えて参りましょう!

青い空・青い海…は当たり前ではない

  • 本日のテーマは「公害と大気汚染」に関するお話です。

ロンドンスモッグ

  • 本日12月5日は、ちょうど70年前の本日、イギリス・ロンドンにおける史上最悪とも言われる大気汚染による公害事故が発生した日です。
  • 1952年12月5日、イギリス上空を覆った高気圧の影響で、風がほとんど無くなる無風状態となり、さらに気温が大きく低下してロンドン市内は冷たい寒気に見舞われました。
  • ロンドン市民は寒気から逃れるために石炭暖房を多く使用し、さらにロンドン市内を走るディーゼル車、ディーゼルバス、さらに市内に存在する火力発電所からも大量の排気ガスが出されました。
  • 風が吹いていればこうした排気ガスはある程度流されて行きますが、高気圧の影響でほとんど無風状態となったロンドン市内には、スス、チリ、亜硫酸ガスなどが立ちこめ、濃密なスモッグ…毒の霧を構成しました。
  • この高気圧は12月5日から10日までイギリス上空に留まり、大気汚染物質をロンドン市内に停滞させました。この数日間、ロンドンの空の色は黄色がかった色に変わり、さらに卵の腐ったようなにおいが街中を覆ったそうです。
  • 結果、この数日で15万人の市民が入院をし、気管支炎、気管支肺炎、心臓病などの病に倒れる市民が急増し、最終的には12,000名の死者が発生したと想定されています。
  • ロンドンにおける史上最悪の大気汚染事故、ロンドンスモッグの発生です。

産業革命と公害

  • イギリスは世界に先駆けて産業革命を果たした国ですが、とりわけ燃料として大量の石炭を使う様になると、大気汚染は急激に進みました。ただ、実際には産業革命以前からイギリスでは大気汚染問題が深刻になっていたそうで、
  • 例えば14世紀初頭、1306年には職人が炉で石炭を焚くことを禁止するなど、大気汚染対策に早くから取り組んでいた側面もあったそうです。
  • 数百年にわたって大気汚染に悩まされ続けた、霧の都ロンドンですが、そのなかでも最悪の被害が、1952年のロンドンスモッグだったということで、これ以降工場の煙などの対策が進められ、様々な法律や規制が整備されていきました。

日本の公害

  • こうした公害による大気汚染の歴史は、もちろん日本でも深刻なものが多く存在します。先日の放送『#437 足尾銅山鉱毒事件と台風による3連続水害の怖い関係』では、群馬県桐生市の災害史と、足尾銅山の鉱毒事件に関する公害の歴史についてお話をしましたが、
  • 同じ時代には八幡製鉄所の操業開始による大気汚染の問題や、その後全国に建造された製鉄所、発電所、コンビナートなどによる公害も大きな問題を生んでいます。
  • 日本における公害被害は、高度経済成長期の1950年台から1960年台に表面化したあとピークを迎え、近年では環境技術が進歩したことで公害による直接被害はかなり小さなものになっています。
  • 一方で、メガソーラー建築による周囲への光と熱の反射問題や、森林伐採による土砂災害の併発といった新しい問題。また国民病とも呼ばれるスギ花粉によるアレルギー疾患も、ある種人災という側面があるため、公害と捉える考え方もあるそうです。
  • 時代が進歩すれば、新しいタイプの産業による健康被害が生じる。自然災害同様に、リスクを把握し、これを無くすることができるならば対処する努力を継続しなければなりません。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「公害と大気汚染」でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

新着のブログ記事

ブログカテゴリ

備える.jp 新着記事