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Voicyそなえるらじお #298 スパコンでもうひとつの地球を作り、天気や地震を予測する

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #298 スパコンでもうひとつの地球を作り、天気や地震を予測する

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、2月16日(水)、本日も備えて参りましょう!

シミュレーション仮説

本日のテーマは「天気予報と地震予知のお話」です。

  • 本日2月16日は、天気図記念日です。
  • これは、1883年(明治16年)2月16日に、日本で初めて天気図が作成されたことに由来しています。
  • ちなみに、天気図記念日によく似ていますが、気象記念日というものもあります。こちらは毎年6月1日ですが、これは、1884年(明治17年)6月1日から、毎日3回、全国の天気予報が始まったことを記念しています。
  • 第1回目の天気予報は「全国一般風ノ向キハ定リナシ天気ハ変リ易シ但シ雨天勝チ」というものだったということです。
  • こうした時代に比べると、現代の天気予報はほとんど魔法か予言レベルに進化しているということがよく分かりますね。

天気予報の歴史はコンピュータ進化の歴史

  • ところで、現代の天気予報は非常に進歩しています。
  • 太平洋側での雪の予想が難しいとか、ゲリラ豪雨・線状降水帯・竜巻などの突発的かつ局地的な現象の予測はまだできないなどの課題はありますが、
  • 翌日がおおよそ晴れるのか雨が降るのか、1週間先はどんな感じなのか、これがかなりの精度で発表され、しかも国家機密ではなく誰でも無料で気軽に知ることができる、という点が天気予報の進歩を表しています。
  • 初期の天気予報は、予報士の皆さんが勘と経験をたよりにがんばって行っていたということですが、現代の天気予報の土台は、スーパーコンピュータによるシミュレーションがメインになっています。
  • 天気予報が扱う範囲、つまり海、陸地、空は、地形データが細かく得られている他、様々な観測機械により濃密なデータがリアルタイムで取得されています。
  • こうした様々なデータを元にして、コンピュータの中に、いわばデジタルの地球を再現し、これで気象予測をするのが現在の天気予報の根幹です。
  • そのため、気象予報士の方々のお仕事は、気象予報ではなく、コンピュータから出力された予報データを、どう分かりやすく解説し、社会に役立てるか、そうした役割が重要になっていると言えます。
  • このスーパーコンピュータでシミュレーションする際の、気象モデルや計算式を新しくすることが、人間の役割となるわけです。
  • またコンピュータの性能が上がる程に、扱えるデータの量が増えるため、デジタルの地球がより細かく描写され、天気のシミュレーションの精度が上がって行きます。
  • 将来的にコンピュータの精度がさらに上がり、またリアルタイムの観測点が増加すれば、地球全体レベルで、ほぼ間違いない天気予報が実現するのでしょう。

地震予報はまだできない

  • 日々精度が向上している天気予報に比べますと、地震や噴火に関する予報・予知はまだまだ発展途上と言えます。これは単純に、データが足りないからです。
  • 天気予報であつかう、海・陸・空は、目で見えますので、地形データもそろっていますし、たくさんある観測機器から、リアルタイムにデータが集まりますので、コンピュータでシミュレーションすることができます。
  • しかし地震や噴火が生じるのは地面の中、地面の中が具体的にどうなっているのか。それぞれの箇所の地盤の状態がどうなっており、地震を起こす原因となるプレートの動きがいまどの程度で、地下の溶岩がどこにどの程度あるのか、そうした情報は分かりません。
  • 地震や噴火が生じるメカニズムは徐々に解明されつつありますが、それをコンピュータシミュレーションするためのは、もうひとつの地球、特に地下の状態を再現しなければなりませんが、その再現するための材料がまだまだ不足しているのです。
  • そのため、例えば南海トラフ地震などの場合も、地震発生のメカニズムを数式化したシミュレーションによる発生時期の予測ではなく、直近1000年間ほどの地震活動の間隔から、なんとなく次は100年後くらいと求める、これが精一杯なのです。
  • 予算が無限にあれば、日本中の地面を地下数百キロまでボーリングして、地盤を調査し、観測機器を埋込、リアルタイムに状態をチェックする。
  • こうした活動で、精度の高い地震予報を行うことができますが、予算は無限にありません、ということで、地震予知は、コンピュータシミュレーションではなく、周期からの予測や、前兆現象の観測などに頼っていることになります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「天気予報と地震予知のお話」でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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