Voicyそなえるらじお #301 企業の防災・事業継続計画で重要な「やらないという選択」
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、2月21日(月)、本日も備えて参りましょう!
#やらないという選択
本日のテーマは「企業の防災対策」です。
- 本日は、Voicyの週替わりハッシュタグから、「#やらないという選択」というテーマを取り上げたいと思います。
BCP・事業継続計画
- 防災において「やらないという選択」は、家庭よりも企業や行政の対策において重要な考え方です。
- 企業や行政の災害への備えは、家庭で行う防災対策と同じような、人の命を守るための対策と合わせて、会社の業務を維持するための準備、いわば事業を守るための対策が重要です。
- この、事業を守る準備のことを、BCP・事業継続計画と呼び、オフィスの地震対策や防災備蓄品とあわせて重要な事前準備として、作成することになります。
- BCP・事業継続計画では、例えば大地震のような大規模災害が発生した際に、会社が行っている業務をできるだけ止めない、あるいは被災しながら継続する、さらにできるだけ早く復旧するなど、災害による事業停止の影響を最小限にするための、あらゆる準備と計画を作成します。
- この時に重要な考え方が、「やらないという選択」なのです。
BCPにおける優先順位付け
- BCP・事業継続計画が必要な状況というのは、大地震、大規模水害、火山の噴火、感染症パンデミックのピーク時期など、普段通りの仕事ができないような状態を想定します。
- 建物や設備に物理的な被害が生じていたり、従業員が出勤できない状況になっていたり、取引先が被災して仕入が止まったり、またお客様自体が店舗に来られない状況になっていたりと、普段と異なり、業務に必要なあらゆる人・モノ・情報・インフラが足りない状況になっています。
- そのため、普段行っている業務全てを、日頃の水準で継続することはむずかしく、できるだけ優先順位をつけて、自社にとって特に重要な業務、災害発生時に社会的に求められる業務に絞って、事業継続のための計画を立てることになるのです。
- つまり、BCP・事業継続計画を作成する際には、災害時に止めても良い業務を洗い出す、つまり「やらないという選択」をしたうえで、どうしてもやらなければならない業務に絞って、事業継続や復旧の準備をすることになります。
選択と集中は非常時において特に重要
- 本来、「やらないという選択」は、選択と集中という考え方において重要な概念です。
- なにか成し遂げたい、高めたいことがある際に、あえてやらないことを決めるコトで、特定の領域にリソース、自分の時間、手間、お金などを集中させ、達成したいことを確実に行う、そのためにやらないという選択が重要になります。
- これは、平時においても重要ですが、非常時においてはとりわけ重要になります。ただでさえ余裕のない昨今、何もない平常時であっても、潤沢なお金、人手、設備を保有する会社はなかなかありません。それが災害時になり、ただでさえやることが増える状況で、使えるリソース、人・モノ・お金が限られる状況においては、全てを守り切ることはできません。
- そのため、災害が生じる前、BCP・事業継続計画を作成する段階において、あらかじめやることとやらないことを決め、災害時にはどこを集中的に維持するのか、を考えた計画を作ることが重要になります。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「企業の防災対策・やらないという選択」でございました。
- 普段家庭の防災対策のお話をしていますが、実は企業向けの防災対策や、BCP・事業継続計画に関するセミナー、コンサルティングなどもよく行っています。というより、売り上げ的には企業向けの領域の方が多いくらいです。
- いままで、あえて企業向けの領域に関するお話は避けていましたが、YouTubeそなえるTV・Voicyそなえるらじお共に、企業向けのお話なども聞きたいというリクエストがあれば、少し取り入れてみたいなと思っております。
それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!