Voicyそなえるらじお #323 要援護者の防災対策、①引越・②早期避難・③チョッキ
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、3月25日(金)、本日も備えて参りましょう!
要援護者の避難対策
本日のテーマは「要援護者の避難対策」のお話です。
停電対策の補足
- まずは前回…昨日の放送の補足です。
- 前回の放送で、電力需要ひっ迫による停電は、計画停電に関する事前のエリア公開などがなければ、恐らく発生しないのではないかとお話をしましたが、コメント欄でご紹介いただいた記事の情報によれば、
- 東京電力の場合、電力需給のバランスが急に崩れた場合は、あらかじめ定められている重要施設を避ける形で、自動的にランダムで地域を選択して停電させるということだそうです。
- そのため、突然信号機や街灯が消えたり、エレベーターに閉じ込められたり、という可能性もあるということで、これはより一層注意が必要だなと思いました。この辺りはもう少し深掘りして、情報が得られれば改めてお話したいと思います。
- 参考記事をご紹介くださいました、「Fz」さん、誠にありがとうございました!
要援護者の避難対策…最重要ポイントは土地選び
- ということで本日のお話は、要援護者の避難対策ということですが、このテーマについては、以前から何件かの質問をコメント欄に頂いておりました。乳幼児がいたら、高齢者がいたら、ペットがいたら、避難はどうすれば良いのか…
- これはとても悩ましい問題ですし、わが家で同居している両親も、病気の影響で足が不自由になっておりますので、人ごとではありません。
- まず、最も基本的かつ効果のある対策としては、避難が必要になる災害が生じづらい場所に住むことです。これは要援護者が家族にいる・いないに関わらず重要な対策ですが、日本中どこでも発生する大地震の揺れや、感染症パンデミックなどの影響と異なり、
- 津波・高潮・洪水などの水害、土砂災害、火山の噴火、大規模な地震火災といった、地形や周辺の環境によって生じる災害は、起きる場所と、発生時の影響がほとんど決まっており、ハザードマップなどにも記載されています。
- そのため、現状すでに、沈んだり、崩れたり、燃えたりする可能性が低い場所に住んでいる場合は、最も重要な対策がすでに終わっている状態であると言えます。防災対策の半分は、住む土地と建物選びの段階で、自動的に終わるのですが、これは特に、素早い避難が難しい家族がいる場合には、重要なポイントとなります。
- 現状、沈んだり、崩れたり、燃えたりする可能性がある場所に住んでいる場合は、引越しを検討することが有効な対策ですが、引越しが難しいという場合は、避難の準備をすることになります。
- ただこの場合も、自分の子ども・孫・親戚・知人などがこれから新しい家に住む場合は、沈んだり、崩れたり、燃えたりする可能性が低い場所を選ぶようにと、口を酸っぱくして伝えていただきたい内容です。
要援護者の避難対策…素早い行動開始が重要
- では、家族に乳幼児、妊婦、介護が必要な方、障害を持っている方、高齢者、ペットなどがおり、さらに自宅が沈んだり、崩れたり、燃えたりする可能性の高い場所にあり、さらに引越しも難しいという場合はどうするべきでしょうか。
- この場合の大原則は、できるだけ素早く行動を開始することです。要援護者を避難させる際、徒歩での移動が難しく、車両などを使わなければまともに避難できないというケースは多くあります。
- また、避難先が屋外だった場合や、避難所などに移動する場合も、要援護者をいわゆる学校の体育館などの避難所で生活させることは難しく、自動車などを使った車中泊に頼らざるを得ないということもあり得ます。
- そのため、特に台風や大雨、火山の噴火など、事前に警告などが出される災害が生じそうな場合は、車が使える間に避難を行うという、早期避難が対策となります。
- 実際、自治体から発表される避難に関する情報も、移動に時間がかかる方が避難を開始するタイミングである「警戒レベル3・高齢者等避難」と、その他全ての方が避難を開始するタイミングである「警戒レベル4・避難指示」がわざわざ分けられているのは、早期避難が重要であるからに他なりません。
- もちろん早期避難には空振りも付きものになります。早めに避難するということは、災害がまだ生じていないか、程度の低いうちに移動するということになりますので、避難したが結局何も起きなかった、ということも多いでしょう。
- ただ、自宅が危険な場所にあり、家族の避難に時間がかかる以上、空振り覚悟で毎回避難を早めに行うことは仕方のない行為ですので、これが難しいとなる場合は、やはり引越しを検討するべきと言うことになります。
要援護者の避難対策…突発災害の場合は
- では、大地震の様に警告なしで生じたり、避難ルートが物理的に破壊されてしまうような災害に対してはどうするべきでしょうか。
- これは厳しい言い方をすれば、こうすれば絶対に助かるという答えがありません。そもそも大規模災害発生時には、いわゆる健常者、健康で若い方も、災害が生じれば相対的に弱者となりますので、全ての方が要援護者になってしまう、これが大地震などの恐ろしい所なのです。
- ただ、特に大都市の平野部に多い、洪水で沈む可能性がある地域と異なり、大地震により避難が必要になる災害は、津波・土砂災害・地震火災と、多少は居住地を選びやすいという面があります。
- 結局は引越しが優先されるのですが、全ての災害を避ける家選びが難しい場合は、事前避難が可能な洪水などは諦めて、大地震による影響だけでも最小限となる場所を選ぶのがよいでしょう。
- また、乳幼児やペットを連れて徒歩避難をする可能性がある場合、大地震発生時には自動車などが使えない可能性があります。この場合、どうしても荷物が増えますし、子どもを背負う場合などはリュックを背負うことが難しくなります。
- そのため、持っていく荷物に優先順位をつけて量をそもそも減らす必要がありますし、また、リュックサックではなくベストなどを使うと言う方法もあります。
- ポケットの多いベスト、例えば釣りなどで使う様なものがありますが、これは物が多く入り、また背中が自由になりますので、リュックと併用することができます。
- また防災ベストは、リュックよりも荷物が分散されるため、バランスを崩しづらく、高齢者でも移動しやすいというメリットがあります。要援護者を連れて、あるいは自分が要援護者の場合で、徒歩避難が必要な場合は、リュックではなくベストを使ってみるというのも、ひとつの方法です。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「要援護者の避難対策」のお話でした。
- ちなみにわが家の場合は、走って逃げることが難しい前期高齢者が一名と、また今月末までは幼稚園児が一名おりましたので、避難の大方針は、避難しないということの徹底でした。
- 津波・洪水・土砂災害・地震火災などの可能性が低いエリアに住み、基本的にほとんどの災害を無視できるようにすること。想定外の状況が発生した場合は、早い段階で自動車避難をすること、が基本方針です。
それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!