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Voicyそなえるらじお #336 机の下はNG、長靴避難はNG…ではなく「考え方」を知る

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #336 机の下はNG、長靴避難はNG…ではなく「考え方」を知る

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、4月13日(水)、本日も備えて参りましょう!

「答え」ではなく「考え方」を知ることが重要

本日のテーマは「防災アドバイスの受け止め方」のお話です。

  • 前回の放送で、防災用品と代替品というお話をさせていただきましたが、本日も少し似たテーマのお話です。
  • テレビの防災番組や、WEBメディアの防災記事では、防災に関する色々なアドバイスが発信されています。また、政府や地方自治体のホームページになどにも、防災に関する色々なアドバイスが掲載されています。
  • 私達は、こうした情報を元にして、わが家の防災対策に関する方向性を定めて行くわけですが、このときの情報収集において、ぜひ気にしていただきたい考え方があります。それは、「答え」ではなく「考え方」を知るということです。

防災トレンドとは

  • 防災に関するアドバイスでは、しばしば「やってはいけないNG行為」といった見せ方がされます。例えば大地震なら、「大地震の時に海に近づくのはNG」、「大地震の際に机の下に潜るのはNG」といったアドバイス。また水害であれば、「台風の時に田んぼや川の様子を見に行くのはNG」、「浸水発生時の避難時に長靴を履くのはNG」といった内容のアドバイスです。
  • こうしたNG系のアドバイスの中には、あらゆる方に共通する、本当のNG項目というものもあります。大地震の後に海に近づく、台風の時に田んぼの様子を見に行く、という行為は、基本的に全ての方に共通するNG事項です。
  • 一方、大地震の時に机に潜るのはNGとか、浸水避難時に長靴を履くのはNGといったアドバイスは、全ての方に当てはまる訳ではなく、条件付きということになります。

大地震の時に机の下に潜るのはNGは本当か?

  • 例えば、「大地震の時に机の下に潜るのはNG」、別に全てのシチュエーションでNGということはありません。頑丈な建物の中におり、周囲に倒れてくるような家具がなく、しかし頭上に危険物がぶら下がっていたり、棚から荷物が降ってくる様な状況において、突発的な地震が発生した場合は、机の下に潜るのは有効な手段と言えます。
  • NGになるのは、机では防げないような重量物が倒れてきたり、突っ込んできたり、落下してくるような場合。例えば超巨大なスチールラックの隣の座席とか、床に固定されていない大型のコピー機が隣にあるとか、机の真上に巨大なモニターやスピーカーが吊されているといった場合は、机の下に逃げ込んでも、死ぬ可能性がある。だから机の下に潜るのではなく、その場を離れて逃げることが正解だということになります。
  • また1981年6月以前に設計の認可を受けた建てられた、旧耐震基準の建物にいる場合も、大地震で建物そのものが倒壊する可能性があるため、机の下に潜る暇があるなら、危険を冒してでも屋外に逃げた方がよい、ということもあり得ます。
  • 重要なことは、今自分がいる場所で大地震が起きたさい、死ぬ可能性を低くする行動はなにかを考え、実施すること。それが机の下に潜ることであればそうすべきですし、違うなら他の行動をとるということなのです。
  • 学校などの防災訓練で、机の下に潜るように教わるのは、学校の校舎は基本的に耐震補強されており即座に倒壊する可能性が低いこと、また教室には転倒してきたり突っ込んで来るような機材が比較的少なく、頭上の照明や割れた窓ガラスなどが最も危険になる恐れがあるため、机の下が比較的安全と言うことでそうした教育がなされている…のだと思います。集団を落ち着かせるための行為という意味合いもありますね。

浸水発生時の避難時に長靴を履くのはNGは本当か?

  • また、浸水発生時の避難時に長靴を履くのはNGというアドバイスも、条件によります。説明によれば、長靴の中に水が入ると、靴が重たくなり脱げてしまう恐れがあるため、紐靴などを履いてしっかりしばる方がよい、ということです。
  • これについては、過去の放送でも解説をしたことがありますが、条件によります。以前私、実際に紐靴や長靴を履いて、水中を歩き回るという実験をしたことがありましたが、常に水中にいるのであれば、長靴が脱げそうになることはありませんでした。問題なのは、長靴が完全に浸水した状態で、水中と地上を行き来する場合です。足を高く上げずにゆっくり歩く分には、別に浸水した長靴も、結んだ紐靴も、それほど違いはありません。
  • 自宅から避難をする際、途中に完全に水没している場所があるなら、確かに長靴より紐靴の方が安全かもしれません。しかし大きな水たまり程度、膝下の浸水程度であれば、長靴を履いて逃げた方が安全で快適です。
  • またそもそも、長靴が水没するほどの浸水が生じている場合、無理に避難すると途中で死ぬ恐れがああるため、できるだけ自宅に留まるようにする方法を考えることがまず重要だったりもします。

「答え」ではなく「考え方」を知ることが重要

  • 机の下はNG、長靴はNGというのは一つの事例でしかありませんが、テレビやWEBメディア、SNSなどでこう言っていた、専門家がこんなアドバイスをしていた、それをそのまま「答え」としてうのみにするのは危険です。場合によっては命にかかわります。
  • 重要なことは、答えをそのまま受け止めることではなく、では自分の場合は、わが家の場合はどうなのか、考え方を知ることです。いろいろなアドバイスを見聞きした際、なぜそういうアドバイスになるのかを考えて、自分だったらどうなのか、これを考えるようにしてください。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「防災アドバイスの受け止め方」のお話でした。

  • 答えではなく考え方を知る、これは最もですが、とはいえだれもができる訳ではありません。そこで手前味噌ですが、私のYouTubeそなえるTVや、Voicyそなえるらじおでは、できるだけ通り一遍の「防災アドバイス回答」ではなく、「条件付きで変わってくる防災対策の考え方」について、お話をして参りたいと思います。
  • 聞いて、すぐ実践する、を望まれる方にはやや遠回りなお話が多いですが、なにしろ命にかかわるネタが多いのが防災です。自分とわが家の場合はどう考えたらよいのか、そんなお話を続けますので、ぜひ考えるきっかけにしてみてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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