Voicyそなえるらじお #345 パックご飯・アルファ化米・フリーズドライ…特徴と使い分け
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、4月27日(水)、本日も備えて参りましょう!
初めての鹿児島は…
本日のテーマは「備蓄ご飯」に関するお話です。
- 今日は主食…白いご飯の備蓄に関するお話です。
- 白いご飯を備蓄する際に購入する非常食、大きく分けると3つの種類があります。「パックご飯」「アルファ化米のご飯」「フリーズドライのご飯」の3種類です。
パックご飯について
- 玄関開けたら2分でご飯…のCMで有名なサトウのごはん、あれがパックご飯です。パックご飯は、正式は「包装米飯(ほうそうべいはん)」と呼ばれ、炊いたご飯を密封容器に詰めて販売し、温めて食べるというご飯になっています。
- パックご飯には、お米をパック詰めしてから炊く「レトルト米飯」と、お米を炊いてからパックに詰める「無菌化包装米飯」という二種類があるのですが、あまりこの辺りは区別せず、とにかく炊いたご飯がパックされている、そして温め無ければ食べられないご飯がパックご飯である、と知っておけば十分です。
- パックご飯は、製造直後は炊きたてですのでそのまま食べられるのですが、パック詰めされて冷却されると、お米の性質が変わり、デンプンが変異してそのままでは食べられない状態に変わります。
- そのため、パックご飯は温めないと美味しくない、ではなく、温めないと食べられない、という特徴を持ちますので、必ずカセットコンロや、ポータブル電源&電子レンジ等、加熱手段とセットで備蓄する必要があります。
アルファ化米のご飯について
- 備蓄用のご飯として多く活用されているのが、アルファ化米のご飯です。
- アルファ化米は、乾燥状態で保存されており、お湯か水を入れることで炊いたご飯の食感に戻して食べるご飯です。
- ところで、なぜアルファ化米がアルファ化米と言うのかといえば、お米の特徴がそのまま名前になっているからです。
- お米の主成分であるデンプンは、人間が食べて消化できる状態であるαデンプンと、人間が食べても消化できないベータデンプンの2種類があります。
- 生米の状態では、デンプンは消化できないベータ状態になっており、そのままでは食べても死にませんが、美味しくありませんし、消化できないので栄養になりません。生米を食べるとお腹を壊す、というのは消化できないモノを食べるため生じる現象、ということなのですね。
- そして生米に水分を加えて加熱すると、人間が消化できるようにデンプンがα状態に変化します。この変化を「アルファ化」と呼ぶのですが、アルファ化米は、炊いたご飯を急速乾燥させることで、アルファ化状態を保ちながら、水分だけをなくして長期保存できるようにしています。これがアルファ化米の名前の由来です。
- アルファ化米は、デンプンがアルファ状態になっていますので、そのままでも食べられます。ただ、乾燥しているためものすごく固く、入れ歯の方や、顎の力が弱い方は、おそらく食べられません。また急いで食べると歯が欠ける恐れもあります。
- アルファ化米はそのまま食べられるが、食べられない、そのまま食べるのが非推奨なのはそういう理由です。
- ちなみにパックご飯は、パックした後にご飯が冷めてベータ化するため、そのままでは食べられず、加熱して再びアルファ化しなければならないということになります。
フリーズドライご飯について
- 最近増えている白米の選択肢が、フリーズドライご飯です。
- フリーズドライご飯は、炊いたご飯をマイナス30度で急速凍結させ、真空乾燥機で完全に水分を飛ばした食べ物です。近年非常食にも多く使われるようになってきました。
- アルファ化米のご飯は、食べる時に水かお湯で戻して食べますが、お湯で15分前後、水で60分ほどの時間がかかります。一方フリーズドライご飯は、お湯でも水でも数分で食べられる状態になります。
- またフリーズドライのご飯は固くないため、そのままでも食べられます。乾燥していますので水分は持って行かれますが、お菓子のような食感で食べることができますので、食べられるがものすごく固いアルファ化米と異なり、そのまま食べるという方法を選択しに入れておくことができるのが特徴です。
- ちなみに、フリーズドライご飯に水やお湯を注ぐと、ものすごい勢いで吸水します。そのため、フリーズドライご飯のパッケージの内側などに描かれている、注水線を目印にしようとすると、水やお湯の量が多めに入ってしまうことになるため、できれば計量カップなどで量ったものを注ぐのがオススメです。
- アルファ化米の場合は、すぐには水を吸いませんので、パッケージにそのまま注水しても、あまり失敗しません。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「備蓄ご飯」のお話でした。
- 賞味期限については、パックご飯が1年前後、アルファ化米ご飯が5年前後、フリーズドライご飯は8年以上持つようになっていることが多く、備蓄期間を考えるならばフリーズドライが有利です。
- ただ、値段に関しては、パックご飯は100円前後で買えますが、アルファ化米は300円前後、フリーズドライご飯は500円以上するのが現状ですので、目的に応じてセレクトするのがオススメです。
それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!