Voicyそなえるらじお #333 役に立つ?立たない?緊急地震速報を活用する
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、4月8日(金)、本日も備えて参りましょう!
揺れる入学式
本日のテーマは「緊急地震速報」です。
- 昨日4月7日、わが家の末っ子三男が小学校に入学しました。夫婦で入学式に参加していたのですが、ちょうど子ども達が会場の体育館に入場を始める直前、建物が一瞬ミシッっと音を立てました。
- 手元のスマートフォンを見ますと、地震速報がはっており、愛知県の三河地方で震度4を観測。私がいた静岡県三島市は震度1でした。座っていてかろうじて感じられる程度の揺れでしたので、おそらく入学式を進行している司会の先生や、子ども達は地震に気がつかなかったようで、そのまま入学式が開始されました。
- その後追加の地震などは発生しませんでしたので、無事入学式を終え、親子3人で帰宅しましたが、あの地震が強い揺れを伴っていた場合、おそらく保護者が持つスマートフォンが一斉に緊急地震速報を受信し、会場内が軽いパニック状態に陥ることになったと思われます。
- やはり日頃から、いま揺れたら、いま緊急地震速報が鳴ったらどうするか、というイメージトレーニングをすることは重要だなと、改めて感じました。
シリーズ緊急地震速報
- ところで今週は、私の運営するYouTubeチャンネル、そなえるTVで、緊急地震速報の解説動画を、全3回シリーズで公開して参りました。
- 緊急地震速報の仕組み、鳴ったり鳴らなかったりするのはなぜか、おすすめの緊急地震速報アプリ、そして緊急地震速報が鳴る前に行っておきたい準備やトレーニングなど、かなり細かくお話をしておりますので、ぜひご覧頂きたいです。
- ところでこの緊急地震速報、あまり役に立たないと思われている方も多いのでは無いと思っています。
- よくあるのが、いつも揺れてから鳴る、先に大きな揺れがドンときて、揺れている最中に緊急地震速報の警報がなり、逆にパニックになる、といった状況です。
- また、こうした状況を指して、緊急地震速報が当たったとか外れた、などの表現をされることもありますが、これは少し誤りがあります。
- 緊急地震速報は、地震予知ではなく、速報です。事前に発生する地震が分かる仕組みではなく、どこかで発生した地震を、いち早く速報で知らせて、大きな揺れが到達する前に、この後大きな揺れが来ますよ、と伝える仕組みです。
- そのため、緊急地震速報は当たるか外れるかではなく、間に合うか間に合わないか、という表現が適切になります。
間に合った時だけ使えばいい
- 緊急地震速報は、その仕組み上、遠くで発生した地震については、揺れる前に警報が間に合う可能性がありますが、近くで発生した地震については、揺れと同時になる、揺れた後に警報が鳴る、ということがあり得ます。
- 地震のタイプで言えば、3.11東日本大震災を引き起こした、東北地方太平洋沖地震のような、海で生じる海溝型の地震は、緊急地震速報が間に合う可能性が高いです。また広い範囲に強い揺れが到達しますので、緊急地震速報による対策が向いている地震であるとも言えます。
- 今後で言えば、まだまだ今後も継続する3.11の余震、南海トラフ地震、北海道千島海溝の地震、九州日向灘での地震などが、緊急地震速報を活用できる可能性の高い地震と言えます。
- 一方、足下で生じる地震は、仕組み上緊急地震速報は間に合いません。過去で言えば、阪神・淡路大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震、将来で言えば首都直下地震など、直下で生じる地震は、揺れた後に警報がなるということがあり得ます。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「緊急地震速報」のお話でした。
使えるときだけ使えばいい
- このようなお話をしますと、やっぱり緊急地震速報は役に立たないと、思われるかもしれません。ただ、それはもったいないです。確かに役に立たないケースも多くあります。しかし逆に言えば、役に立つ場合もある。科学的な地震予知が実用化されていない現状、地震の揺れが到達する前に、唯一警報を出すことができる仕組みが緊急地震速報です。
- 役に立たない場合もあるが、役に立つときだけ使うだけでも、十分に命を守る可能性を上げられる。とくに海溝型地震の場合は津波を伴う場合がありますので、すばやく逃げる前提として、死なない、負傷しない、そうした準備をするための仕組みとしては、緊急地震速報を活用できると思います。
それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!