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Voicyそなえるらじお #377 雹(ひょう)対策…命は物理で、家財はお金で守る

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #377 雹(ひょう)対策…命は物理で、家財はお金で守る

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、6月16日(木)、本日も備えて参りましょう!

命以外はお金で解決する

本日のテーマは「雹の対策」に関するお話です。

  • 直近で雹の被害が多発しています。
  • 雹は大きな積乱雲の中で作られる氷の粒です。少しだけメカニズムをお話しますと…
  • 積乱雲は高さ一万メートルを超えることもある巨大な雲ですが、上空の温度は氷点下になるため、雲の中では夏でも氷の粒が作られます。そして大きくなった氷の粒は当然地上に向かって落ちて行きますが、通常は途中で溶けて水になり、雨となって地上に降ります。
  • しかし、積乱雲の中では強烈な上昇気流が吹き荒れていますので、地上に落ちて行く氷の粒が再び雲の上部に押し上げられて、周囲の水分を含んでより大きな氷の粒に成長します。
  • そしてまた地上に落下し、上昇気流で持ち上げられて、を繰り返しながら成長し、上昇気流で持ち上げられる限界を超えると、重量で地上に落下します。十分に育った氷の粒は、地上に落ちるまでに溶けきれず、塊のまま地上に到達します。これが大きな被害をもたらす雹の発生です。
  • ちなみに氷の粒の直径が5ミリより小さなものは「アラレ」と呼ばれ、5ミリより大きな粒は「ヒョウ」と呼ばれます。構造は同じで大きさだけが違います。

雹対策

  • 突然降ってくる雹ですが、100%確実な雹対策というものはありません。屋外にいる場合はとにかく自動車などの車両に逃げ込むか、建物の中に逃げ込むか、それだけが身を守る手段となります。
  • 建物などに逃げ込むまでの間は、カバンなどを持っていればそれで頭を守りながら逃げる、そのくらいしかできることはありません。私個人で言うと、災害時に備えて常にプロテクター入りの帽子を持ち歩いていますので、それをかぶりながら走って逃げることになるかなと思っています。
  • 雹に関しては正確な予報ができません。降る範囲がピンポイントかつ比較的狭く、時間も短く、突発的に降ってきて10分程度で止んでしまうからです。
  • そのため、雹が降りやすい5月6月7月のシーズンは、前兆現象に注意しながらいつでも建物などに逃げ込めるよう意識をするしかありません。
  • 雹をもたらすのは積乱雲です。積乱雲が接近しますと、周りが急に暗くなったり、急に冷たい風が吹いてきたり、雷の音が聞こえて来たりします。これらはいずれも積乱雲接近の特徴ですが、こうした現象が近くで起き始めたら要注意です。
  • 程なくして、ゲリラ豪雨のような大雨や、竜巻、そして雹などがセットでやってくる可能性があります。前兆現象を感じたらできるだけ建物に入って出ないようにする、ということが唯一できる、雹から確実に身を守る手段と言えるでしょうか。
  • こうした積乱雲は、天気予報で「今日はゲリラ豪雨などに注意」「大気の状態が不安定」「上空に強い寒気」といった言葉が出た際には要注意です。大気の状態が不安定というのは、地上付近は暖かく、上空は寒い状態を指しますが、暖かい空気は寒い方向に上昇しますので、上空の気温が低いと巨大な積乱雲が発生しやすくなり、そして上空が寒いと氷の粒が発達しやすくなるため、雹につながりやすいということになるのです。

雷にも注意が必要

  • なお、雹が降っているタイミングでは、同時に雷などもバンバン落ちてくる可能性がありますので、雹を避けるために建物の軒下や木下に逃げ込む際には注意が必要です。こうした場所は雷の二次被害を受けやすいため、極力自動車の中や建物の中を目指して移動、
  • 雷が鳴っている場合で建物などに逃げ込めない場合、木などの真横は側撃雷という現象で雷の影響を受ける可能性があるため、木からは4m以上離れてしゃがみ込む、などの対策が必要です。が、現実的には、雹をさけながら、雷の影響を受けない距離を探りつつしゃがみ込む、等の行動はかなり難しいため、とにかく建物の中を目指すということを大前提にしてください。

建物や車をどうするか

  • 突然の雹から、建物や自動車を守ることは難しいです。数センチクラスの雹が降ってきた場合、住宅の屋根、窓ガラス、カーポートの屋根、屋外の設備、また自動車などを完全に守ることはできません。
  • 理屈で考えれば、住宅や自動車の屋根にカバーを掛けるという対策になりますので、例えば車の場合は、分厚い自動車カバーを日頃から準備しておくとか、雹が降り始めたら毛布やダンボールを被せる、などの方法をとることになりますが、
  • 雹が降っている状況では、積乱雲による突風などが吹いている恐れもあるため、カバーは固定できなくてはなりませんし、そもそも車のそばにいなければ間に合いません。
  • 自動車に、防災対策の一環として、毛布などを積んでおき、それを素早く被せられるようにしておく、などの対策は考えられますが、自動車がボコボコになるほどの雹が降っている状態で、くるまを守るために屋外に出て毛布を被せるくらいなら、命を守るためのその車の中に留まっていただきたいです。
  • また自宅の場合、屋根にカバーを掛けるというのは難しいため、基本的にできる対策はほぼありません。雹が吹いているタイミングで突風が吹くと、窓ガラスが割れる恐れがありますので、雨戸やシャッターを下ろしたり、また窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る、そもそも窓ガラスを防災安全合わせガラスなど割れない硝子にしておく、といった事前対策は考えられます。
  • 結論、自宅や車を守る為に、屋外に出て作業をすると、自分が死ぬ可能性があるので、建物や車両は物理では無く、お金の力で守ることを検討すべきです。

保険でカバー

  • 雹の被害に対しては、住宅や家財であれば火災保険に水災オプションを着けておく。自動車であれば車両保険に加入してカバーする形となります。車両保険はオプションや種類により、雹を含む風災を対象とするかが変わりますので、今加入している保険の詳細を確認しておくことが必要です。
  • 実際に被害が発生した場合は、片付けをする前に自宅や自動車の写真を撮影しておきましょう。その上で保険会社に連絡して、対応について確認してください。 

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「雹による被害」に関するお話でした。

  • 本日は大阪で開催される、震災対策技術展の見学と、セミナーを行ってきます。

それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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