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Voicyそなえるらじお #387 人間は大抵火に弱い…ガソリン自爆テロは逃げるしかない

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #387 人間は大抵火に弱い…ガソリン自爆テロは逃げるしかない

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、6月30日(木)、本日も備えて参りましょう!

人間は大抵火に弱い

本日のテーマは「ガソリンによる自爆テロ」に関するお話です。

  • 先日6月25日、東京を走る地下鉄、東京メトロ副都心線の車内で、突然男性が大声を上げながら暴れだし、これに驚いた乗客が非常停止ボタンを押して車両が緊急停車。車内の乗客がパニック状態で避難するという事件が発生しました。
  • 幸いこれはテロ事件などではなく、死傷者の発生は無かったということですが、近年相次ぐガソリンや可燃物を用いた自爆型のテロ災害を思い起こす方も多く、一事周辺は大混乱に陥ったということです。

東海道新幹線火災事件

  • ところで本日6月30日は、新幹線の車内で初めて列車火災が発生した日です。7年前の2015年(平成27年)6月30日、東海道新幹線の車内で71歳の男性がガソリンをかぶって火を付け焼身自殺を図り、車内で火災が発生しました。
  • この男性は焼死により死亡しましたが、すぐ近くで巻き添えとなった52歳の女性が煙と炎に巻きこまれて亡くなられた他、合計28人が一酸化炭素中毒などによる重軽傷を負いました。
  • この新幹線の焼身自殺火災、車両そのものはかなり徹底した不燃処理が施されていたため大きな火災には発展せず、基本的には巻かれたガソリンが燃え、車内で大量の一酸化炭素が発生したことが被害拡大の要因となりました。
  • またJRの報告書では、男がガソリンを巻き始めた時に、同じ車両に乗っていた乗客は慌てて他の車両へ避難をしたということですが、一部の乗客は男がいる車両のデッキに留まり、スマートフォンなどで様子を撮影するなどの様子が、防犯カメラの映像に残っています。
  • そしてこうした乗客は、ガソリンの着火と同時に爆風と煙に飲まれたということです。

避難しかない

  • 近年、ガソリンや可燃物を使った自爆型のテロ災害が増えています。
  • 2015年の東海道新幹線火災はテロでは無く焼身自殺への巻き添えでしたが、2019年の京都アニメーションを対象にしたガソリン自爆テロ、2021年の東京京王線車内における放火とナイフによる殺傷テロ、同じく2021年年末に発生した大阪北・新地のメンタルクリニックで発生したガソリン自爆テロなど、類似する事件が多く発生しています。
  • 冒頭でお話した、先日の東京メトロ副都心線で男性が暴れ出し、乗客がパニック状態で避難をした事件、これはガソリンによる自爆テロではありませんでしたが、乗客の行動としては正しかったと言えます。
  • 一方、東海道新幹線での火災で乗客が避難せず撮影などを続けた件は、対応として最悪であり、絶対に行ってはならない行動です。

人間の弱点は炎

  • 人間は大抵火に弱いです。腕力が強くても、格闘技の心得があっても、オリンピックに出場した経験があっても、ガソリンをぶちまけられて火を付けられたら即死します。そして基本的にあらゆる建物や鉄道などの乗り物は、ガソリンによる爆発が生じることは想定されておらず、対処するすべはありません。
  • こうした事件を受けて、防犯カメラの設置なども進められていますが、これが役立つのは事件後の真相解明であり、自爆テロを起こしたい人に対する抑止力にはなりません。
  • ガソリンは、購入時の規制は強くなっているものの、入手しようと思えばどこでも買えます。そして空気中にぶちまけられると一瞬で気化し、火を付けられれば爆発的に燃焼し、爆弾が爆発したのと同じような状況を周囲にもたらします。
  • ガソリンを撒いて着火をするまで、数秒あれば完了します。そして至近距離で火を付けられてからでは手遅れです。怪しいそぶりを・怪しい人を見かけた瞬間に逃げる、これしかできることはありません。
  • 不特定多数の人がいる場所においては、常に警戒をしようとまでは言いませんが、歩きスマホは避ける、イヤホンを使うなら外の音が聞こえるタイプのものにする、程度は気を配り、怪しい人や物を見た音を聞いたガソリンの匂いがした悲鳴や爆発音を聞いたその瞬間に走って逃げられるような、そういうイメージを持っておくことは重要です。
  • ガソリンによる爆発的な燃焼は、少しでも距離を取れば、壁を1枚でも挟めば、助かる可能性があります。また密閉空間の場合は窒息する恐れがあるため、できるだけ素早く開けた場所や屋外へ逃げる、とにかくスピード勝負です。
  • 被害を受ける側がこうしたことを気にしなければならないのは、ちょっと違うなと感じるかもしれませんが、ガソリンによる自爆型テロは理屈ではありません、災害です。災害に言葉は通じません、すばやく逃げるのみ、という認識が必要です。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「ガソリンによる自爆テロ」に関するお話でした。

それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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