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Voicyそなえるらじお #439 原子力発電所の国内再稼働状況と個人的な原発へのスタンス

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #439 原子力発電所の国内再稼働状況と個人的な原発へのスタンス

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月21日(水)、本日も備えて参りましょう!

23年ぶりに浜岡原発へ…

本日のテーマは「原子力発電」のお話です。

  • 昨日9月20日、近く講演会を行わせていただく中部電力さんからご招待をいただき、静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所を見学してきました。
  • 本日はこの原子力発電のお話をしたいと思います。

現在の状況について

  • 2011年の東日本大震災、福島第一原子力発電所事故が発生する前、日本には世界に存在する原発の約1割に相当する54基の原発、厳密に言うと原子炉が存在し、国内で使う電力の約30%をまかなっていました。
  • しかし3.11福島第一原子力発電所事故の影響を受け、原子力発電所を取り巻く環境、私達が持つ意識は大きく変わりました。
  • 3.11の翌年、2012年5月には国内の原発全てが停止し、原子力発電所が稼働し始めて以来42年ぶりに原発ゼロの状況となりました。
  • その後、2013年に原発に関する新たな基準、新規制基準が作られ、全国の原発はこの新しい安全基準に照らし合わせた設備の整備や検査などが行われ、この新基準に適合し、かつ地元の自治体から再稼働に関する合意を得られた原発から徐々に再稼働が進められています。
  • 2022年の9月現在では、関西電力の美浜原発3号基、大飯原発の3号基と4号基、高浜原発の3号基と、四国電力の伊方原発3号基、そして九州電力の玄海原発3号基と4号基、川内原発の1号基と2号基、合計10基が再稼働をしています。
  • その他、新基準に適合し再稼働の許可が完了している原発として、東北電力の女川原発2号基、東京電力の柏崎刈羽原発の6号基と7号基、関西電力の高浜原発の1号基と2号基、中国電力の島根原発の2号基、そして日本原子力発電の東海第二原子力発電所が、再稼働の準備を行っている段階です。
  • 私が本日見学をしてきた、中部電力の浜岡原子力発電所は、現在新基準に求められている各種の改修、特に高さ22メートルにも及ぶ津波防波堤の改修を終えて、現在審査中になっているということでした。
  • 事故の影響を受けて廃炉となった、福島第一原発・第二原発にあった合計10基の原発が失われた現状ですが、今だ国内には多くの原子炉が存在し、順次再稼働が進められているというのが現状です。

個人的な見解

  • 浜岡原発で見学してきた内容については、改めてお話したいと思いますが、その前に、私個人としての原発に関するスタンスについてお話をします。
  • まず、50年100年という長期スパンで見た場合、将来的に現在の原子力発電所は緩やかに廃止をしていく必要があるだろうと思っています。
  • これは、現在の原発が抱える大きな問題点、高レベル放射性廃棄物の安全かつ確実な処理方法が確立されていないこと、またどれだけ安全対策を施しても事故が生じる可能性をゼロにすることはできず、そして大事故が発生した際に大きな影響をもたらすことが理由です。
  • これら、おもに放射性物質を安全に処理する技術が確立されない限り、現在の「ウランやプルトニウムによる核分裂反応」による原発を、永遠に維持することはできないと私個人的には考えております。
  • ただ、原子力発電に変わる高出力の熱源としては、現状化石燃料を用いた火力発電程度しか存在せず、そして化石燃料は有限です。
  • また二酸化炭素排出による温暖化や、これによる気候変動、大雨の増加、台風や大雪の極端化、またこれらによる潜在的な食料危機リスクの高まりといった問題が生じていることもまた事実です。

エネルギー自給の問題

  • また日本は、化石燃料を自給することができませんので、国内のエネルギー供給には海外の情勢に左右されやすく、これは書籍「今日から始める本気の食料備蓄」およびその動画でも解説していますが、海外からの輸入が何かの理由で停止した際、あっという間に干上がるという問題も抱えています。
  • そのため、海外からの輸入が止まる状況においても、年単位での運転が継続でき、かつ国内に建設中の施設により核燃料を再処理してリサイクルすることで、化石燃料よりも安定的に電源供給ができる現状の原子力発電所は、今のところ無くすことはできないだろうと考えます。
  • 特に直近、原発の代替として進められている自然エネルギーの導入、その最も進んでいる太陽光発電の大規模施設としてメガソーラーが全国に建造されていますが、個人的にメガソーラーはダメだと思っています。
  • 住宅や建物の屋根に乗せる太陽光発電は分散型の自然エネルギーとして有効ですが、日本で現在開発されているメガソーラーの多くは、森林や山を破壊し、土砂災害や洪水と言った新たなリスクを生み出す原因になりつつあるからです。砂漠など使われていない土地に建てるのはよいと思いますが、森林を切り開いて太陽光パネルを並べるのはないと思います。

海外の原発の存在

  • そしてもうひとつ問題なのは、日本だけが現在の「核分裂型の原子炉」を廃止しても、例えばお隣の韓国や中国には数多くの原発が存在しており、これらが事故を起こした場合、放射能汚染の被害を受けるのは風向き的に日本であるという問題です。
  • 日本から原発がなくなれば、原子力産業および、これに従事する多くの技術、資材、エンジニアは失われていきます。この状態で海外にある原発が事故を起こし、日本に影響をもたらした場合、これに対処するすべが失われてしまうのです。
  • そのため、国境を越えて影響をもたらす原発を廃止するのは、世界同時でなければならないだろうとというのが、今日本から原発を無くすべきではないと考える理由のひとつです。
  • とはいえ、これは短期的な話です。原発が抱えている高レベル放射性廃棄物の処理問題が解決されない限りは、次の発電手段を求める必要があり、そのひとつが核融合だろうと思っています。
  • 現在の原発で用いられる核分裂も、未来の原発で用いられるであろう核融合も、同じ原子核反応によりエネルギーを取り出す技術です。
  • と言うことで個人的には、長期的には核融合の実用化を目指しつつ、その先進国となるべく技術投資を行い、そして既存の核分裂による原子力発電については緩やかに維持・縮小し、核融合との入替を目指す、という方向が私個人的な原発に対するスタンスとなります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「原子力発電」でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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