Voicyそなえるらじお #720 首都直下地震でWEBサービスやインターネットはどうなる?
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月14日(火)、本日も備えて参りましょう!
首都直下地震による全国への影響
本日のテーマは「首都直下地震」のお話です。
今回はコメント欄に投稿いただいたご質問への回答、
首都直下地震が発生した際の、首都圏以外における影響のお話です。
質問内容
ご質問を下さいましたのは、野寺坊さん
『首都直下型地震が起きた場合の地方への影響はどんなことが考えられるでしょうか。地震による直接的な被害がなかったとしても首都が被災した影響は少なからずあると思われます。具体的なものがあれば教えてください。個人的には首都のネットワークシステムが落ちればETC、Suica、マイナンバーカードなど全国で一律に利用できるサービスが機能しなくなるのではないだろうかと思っています。』
WEBサービスや通信システムへの影響
首都直下地震が発生した際に想定される影響、ひとつはご質問にもあった、WEBサービスや各種通信システムの停止という影響です。
ここからのお話には、カタカナの言葉が多く登場しますが、言葉ひとつひとつはテストに出ませんので、聞き流していただいて大丈夫です。
例えばインターネット、いまや日常生活の多くのシーンで欠かせないインターネットですが、単純にスマホやパソコンでWEBが見られなくなって困る、という話ではなく、社会全体で使用されているクラウドサービスがダウンすることによる影響が想定されます。
例えば、私達が普段見ているホームページ、インターネットショップ、あるいはYouTubeやXなどのSNS、さらに言えば今お聞きいただいているVoicyも、これらはすべてインターネットで提供されているWEBサービスです。
WEBサービスは、個人がスマホやパソコンで閲覧するものだけでなく、あらゆる企業から、ご質問にもあったETCシステムや電子マネー、銀行、行政、あらゆる場所で使用されており、インターネットが停止すると、社会のほぼ全てのサービスがダウンします。
WEBサービスは、世界中に存在するデータセンターという巨大な建物に収められている、サーバーという大きなパソコンを通じて提供されていますが、自然災害の影響などで、このデータセンターが大きな被害を受けると、WEBサービスを物理的に提供することができなくなってしまいます。
また、このデータセンター同士を接続するためにも、やはり通信回線や通信施設が必要になりますが、これはインターネットエクスチェンジと呼ばれています。インターネットエクスチェンジが、日本および世界中に存在するデータセンター同士を接続することで、どこにいてもWEBサービスを自由に使うことができるのです。
首都直下地震が生じると…
さて、では首都直下地震が生じるとどうなるでしょうか。
インターネット経由でWEBサービスを提供してくれる、データセンターやインターネットエクスチェンジなどの施設は、日本中に存在していますが、実は大部分が東京と大阪に集中しています。利用者の多い場所にあった方が何かと便利だからです。
ということは、大規模な災害の直撃を受けて、東京・大阪の各種施設が被災したり、大規模な停電に巻きこまれたりすると、インターネット経由で提供されている様々なサービスが停止する恐れがあります。ただし、それでは企業も利用者も困ってしまいますので、様々な対策が取られています。
まず、データセンターなどの建物は、ものすごく頑丈に作られており、地震の揺れや火災等への対策も万全で、停電が生じても瞬間的にUPS・無停電電源装置に切り替わり、サーバーに電力を供給し続け、さらに自家発電システムにより長期停電でもデータセンターを動かし続けます。
もちろん建物やその企業により程度の差はありますが、現代においてデータセンターは最重要な社会インフラのひとつであるため、考えられる全ての地震対策が講じられている施設が多いのです。そのため、想定されている程度の首都直下地震であれば、そのまま稼働し続けてくれることが期待されます。
もちろん、そうていよりも被害が大きかったり、停電が長期化して自家発電の燃料が不足する状況になると、ダウンするデータセンターなども生じる恐れがありますので、全てのサービスが100%維持されるかは分かりません。ただ、かなり厳重な対策はされていると言うことは事実です。
さらに、利用者の多い重要なサービスは、WEBサービスを提供するために必要なサーバーを、ひとつのデータセンターに集中させず、複数の地域のデータセンターに分散させており、日本全体が同時に被災するなどがなければ、即座に生き残っているデータセンターに切り替えて、サービスを維持する作りになっています。
これは人間が主導で切り替える場合もありますが、基本的に自動的にかつ瞬間で行われますので、サーバーを分散しているWEBサービスの場合は、首都直下地震で東京が壊滅しても、特に影響なく動く可能性が高いと言えます。
しかし、多くの場合はセキュリティの関係で、自社のサービスあるいは行政のサービスが、どこのデータセンターを使用しているのかは未公開のことが多く、実際にどの程度のリスク対策が取られているのかは分かりません。また実際に災害が生じてみなければ、本当に大丈夫かどうかも分かりません。
結論としては、
全国で利用されている様々なWEBサービス・通信サービスは、首都直下地震が生じるとダウンする恐れがあるものの、厳重な事前対策が取られているので、その可能性は低い。しかしダウンする可能性はゼロではないし、大地震以外の理由でWEBサービスがダウンすることもあるため、日頃から個々人でも対策を取ることが重要、となります。
具体的には、お財布に現金は最低限入れておきましょう、という当たりでしょうか。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「首都直下地震」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!