Voicyそなえるらじお #750 12月26日に生じた2つの地震…今市地震&豊予海峡地震のお話
最終更新日:
執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月26日(火)、本日も備えて参りましょう!
一気に年末へ
本日のテーマは「過去の地震」に関するお話です。
- 12月26日には、国内外合わせて多くの大地震が発生しています。特に規模が大きかった物としては、2004年、マグニチュード9.3という史上最大クラスの大地震となったスマトラ島地震が挙げられます。来年2024年で20年目となりますので、この地震のお話は来年するとしまして…
- 本日は、1949年の栃木県の地震と、1854年の瀬戸内海の地震のお話です。
今市地震
- 栃木県は、大きな地震被害が比較的少ない地域です。
- 県内で震度6以上を観測した地震は過去に2回しかなく、新しい物としては2011年の東日本大震災…を引き起こした、東北地方太平洋沖地震で観測された、震度6強の揺れが。
- そしてもうひとつが、1949年に発生した通称今市地震(いまいちじしん)です。
- 1949年(昭和24年)12月26日、栃木県今市市、現在の日光市付近を震源とする直下型の強い地震が発生しました。
- この地震は、2016年の熊本地震の様に、強い本震が2回連続で発生したことが特徴で、まず12月26日の朝8時17分にM6.2の強い地震が、そしてそのわずか7分後、8時24分にM6.4の1回目よりも強い地震が、立て続けに発生しました。
- 気象庁によると、1回目の地震は震源の深さが1キロ、2回目の地震は8キロと、非常に浅いところで地震が発生したため、地上は強い揺れに見舞われました。最大震度は6と推定されています。震度が「推定」というのは、当時今市市には地震計が設置されていなかったためです。
- 20キロ以上離れた日光市と、宇都宮市には地震計が設置されており、こちらの記録では1回目の地震が震度3、7分後の2回目の地震では震度4と記録されています。
今市地震の被害
- この地震により、大小様々な被害が発生しました。
- 栃木県全体では、死者10名、住宅の全壊290棟、住宅の半壊約3,000棟、また多くの地すべりが発生しています。
- 日光街道の旧杉並木では、木が押し倒されたり、日光東照宮でも有名な陽明門(ようめいもん)に被害は生じませんでしたが、境内の灯籠や石垣が破壊されるなどの被害が生じています。
- また震源に近い都市である今市でも大きな被害が発生しましたが、地震直後からの市民活動により火災の発生がゼロ件であったという特徴があるそうです。木造住宅の多い時代にも関わらず、地震による火災被害ゼロは素晴らしい活動出あったと言えますね。
- ただ、雪の降る寒い年末で、正月を前に多くの方が自宅を失い、復旧などには大きな苦労があったと言うことです。
豊予海峡地震
- もうひとつの地震は、1854年(安政元年)12月26日に発生した、豊予海峡地震(ほうよかいきょうじしん)です。
- 豊予海峡は、大分県大分市と愛媛県伊方町(いかたちょう)の間にある海峡で、瀬戸内海と太平洋を隔てる海峡です。
- 1854年と言えば、12月23日に安政東海地震が、32時間後の12月24日に安政南海地震が発生した年ですが、そのさらに40時間後に発生したのが、この豊予海峡での地震でした。
- 発生時間は12月26日の朝9時から10の間頃、マグニチュードは7.4、最大震度は6と推定される大きな地震で、震源周辺では多くの家屋が倒壊する被害が生じています。
- 地震の直前に、東海地震と南海地震が立て続けに発生しているため、どちらの地震の被害だったのかを切り分けるのが難しいという問題がありますが、豊前国(ぶぜんのくに)、今の大分県北西部のエリアについては、この豊予海峡での大地震の方が多くの被害を生じさせています。
- 幸い、この地震では津波被害は発生していなかったということで、この点のみが幸いでしたが、2011年の東日本大震災や、今後の発生が想定される南海トラフ地震など、大規模な海溝型地震の直後には、周辺で大きな余震や、誘発地震、火山の噴火などが続きますので、日本全体で警戒が必要だということがよく分かります。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「過去の地震」でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!