Voicyそなえるらじお #753 天災は忘れた頃にやってくる!猛暑・大雨・コロナ…2023決算
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月29日(金)、本日も備えて参りましょう!
2023ラスト!今年もありがとうございました!
本日のテーマは「天災は忘れた頃にやってくる」です。
- 2023年もあと3日で終わりです。除夜の鐘を聞くまでが年内、まだ何があるかは分かりませんが、今年は皆様にとってどのような1年となりましたでしょうか。
- 私の2023年は、おおむねよい1年だったと思っています。
- 自分も家族もおおきな病気や事故にあうこともなく、防災の仕事でも色々な経験をすることができ、また書籍『今日から始める家庭の防災計画』の出版や、初めての交流会の実施などを行うこともできました。また、Voicyそなえるらじおでは、3月にプレミアムリスナーを開始できたことも、今年の成果のひとつと言えます。
- 来年も「足るを知る者は富み、努めて行う者は志有り。」の精神で、頑張って参りたいと思います。
今年の災害
- 日本における本年の災害状況をすこし振り返ってみましょう。
- まず大地震ですが、国内で震度1以上の揺れを観測した、M6を超える大きな地震は13回発生しました。このうち、震度6弱を超えたのは1回、5月5日に発生した能登半島沖での地震です。
- この地震では、死者1名、負傷者49名、住宅の全壊30棟などの被害が発生しました。2023年の5月は、強い地震が連続して発生し、M5を超える地震が1ヵ月で24回も発生する異常な状態となっていました。このうちM6を超える地震が3回あり、そのうち1回が能登半島での地震です。
- 幸い、その後は地震活動が収まり、いわゆる大震災の発生はない1年となりましたが、引き続き常に備える、ことが重要です。
- 一方2023年は、水害の被害が目立つ1年でもありました。
- 6月の頭に発生した台風2号と梅雨前線に伴う全国的な大雨被害が被害。
- 6月の終わりから7月の中旬まで、梅雨の終わりの梅雨前線によって生じた全国的な大雨、特に6月末には北九州で、7月中旬には東北では記録的な大雨となりました。
- さらに9月上旬、台風13号が関東地方を中心に大雨を降らし、水害による被害をもたらしました。
- 死者数十名を出す大規模水害こそありませんでしたが、水害ハザードマップで想定されていた通りの被害が今年も発生し、きちんと情報を確認して、正しく逃げることの大切さが改めて浮き彫りとなりました。
- さらに、2023年は暑さと寒さの影響も強く生じました。2023年1月には記録的な寒波が到来し、特に普段温暖な地域で気温が氷点下まで下がり、水道管の凍結被害などが相次ぎました。
- その後夏を迎えると今度は一転し猛暑となり、2023年の夏の平均気温は、1898年の統計開始以来で最も高くなる状態で、全国的に災害級の猛暑に襲われました。2023年の「今年の漢字」も、第1位は増税の「税」でしたが、第2位は猛暑の「暑」が選ばれるなど、記録と記憶でも暑い1年となりました。
- 異常気象では無く気候変動による温度の上昇は、今後ますますひどくなります。夏の大雨被害は確実に増加することが想定されますので、引き続き水害対策への意識を高く持つことが重要です。
- 一方、2020年から3年間続いていた、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが、社会的に終息しました。2023年5月8日に、新型コロナウイルス感染症の法律的な位置づけが、「5類感染症」となり、社会的な制約がなくなり、個人の判断で感染拡大防止を行う、WITHコロナへの切替がなされたことによるものです。
- コロナウイルスが無くなった訳ではなく、相変わらず流行と被害は続いていますが、社会全体での行動制限が終わったことは、3年間に渡るパンデミックとの戦いが終息したという意味で、大きなものであったと思います。
- しかし、次の感染症パンデミックはいつでも発生します。いつでも同じような、あるいはよりひどい事態が生じることを前提に、生活を継続する意識は必要です。
天災は忘れた頃にやってくる
- さて、明後日12月31日は大晦日となりますが、12月31日と言えば、防災の世界において重要な日付があります。それは、物理学者「寺田寅彦(てらだ とらひこ)」博士の命日が年末だと言うことです。
- 寺田寅彦博士は、88年前、1935年に57歳の若さでお亡くなりになっておりますが、この方をご存じでしょうか。
- 名前は知らなくても、「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉は、聞いたことがあるかもしれません。この言葉を残したのが、寺田寅彦博士だと言われています。
- 日本は世界有数の自然現象大国です。日頃は、温泉や豊富な水資源という形で自然の恵みを得ている訳ですが、災害としての大地震、噴火、台風、大雨、大雪など、災害につながる可能性の高い自然災害も集中しています。
- 自然現象としての大地震はいつでもどこにでも発生しますが、準備が万全であれば大地震の被害は限りなく小さくできます。地面が揺れるという自然現象で人は死にません、そこに崩れる建物や転倒する家具があることで被害が発生します。
- 台風や大雨は毎年必ず発生しますが、沈んだり崩れたりしない場所にすんでいれば、これは豊富な水を提供してくれるイベントに過ぎません。ハザードマップ上で危険が記されている場所に住むことで、台風や大雨は災害となります。
- 日本において、災害につながる可能性がある自然現象は頻繁に発生します。そして防災対策を忘れると、この自然現象は「災害」となります。
- 天災は忘れた頃にやってくる、防災を忘れなければ、天災の多くは災害にならないのです。2024年も引き続き防災を忘れず、防げるはずであった被害を出さないような1年にすることを願います。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「天災は忘れた頃にやってくる」のお話でございました。
- というわけで、本年もありがとうございました。「死なない防災!そなえるらじお」の2023年のレギュラー放送は、本日が最終回となります。次回の放送は、年明け1月4日(木曜日)の予定です。
それでは皆さま、年末年始も引き続き、ご安全に!