Voicyそなえるらじお #736 戦争に隠された2つの地震…昭和東南海地震と三河地震
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月7日(木)、本日も備えて参りましょう!
昭和の東南海地震から79年目
本日のテーマは「昭和東南海地震」のお話です。
- 今日は79年前に発生した昭和東南海地震と、その1ヵ月後に発生した三河地震のお話です。いずれも太平洋戦争の最中に発生した大地震で、地震に関する報道が徹底的に隠されたという歴史を持っています…。
繰り返す南海トラフ地震
- 本日12月7日は、79年前に昭和東南海地震が発生した日です。
- 1944年(昭和19年)12月7日、お昼過ぎの午後13時36分、紀伊半島沖の熊野灘で、マグニチュード7.9の巨大地震が発生しました。昭和東南海地震の発生です。
- この東南海地震は、いわゆる「前回の南海トラフ地震」ですが、前回の南海トラフ地震は、2回に分けて発生しています。1回目がこの1944年の昭和東南海地震、そして2回目が、2年後の1946年に発生した昭和南海地震です。
- また、もうひとつ前、前々回の南海トラフ地震、1854年に発生した安政地震でも、まず東海地震が発生し、その32時間後に南海地震が発生するなど、東西がズレて発生しています。
- ただ、毎回ズレて発生するのかと言えばそうではなく、さらにもうひとつ前、前前々回の南海トラフ地震、1707年の宝永地震の際には、南海トラフ全域が同時に動く、歴史的に見ても最大規模の超巨大地震として発生しています。
- ちなみにこの宝永地震から49日後に、前回の富士山噴火が発生しており、江戸にも多くの火山灰が降った…と言うお話は、先日のタモリスーテションでも紹介された通りです。
迫る東海地震
- ところで、南海トラフ地震は、発生する領域が3つに分かれています。ひとつは静岡県の駿河湾沖で発生する東海地震、もうひとつは愛知から紀伊半島沖で発生する東南海地震、そしてもうひとつが四国沖で発生する南海地震です。
- ただこの分け方は便宜的なもので、東海地震と東南海地震をまとめて、東海地震と呼んだりすることもあるため、そんなモノだと思ってください。
- さて、1707年の宝永の南海トラフ地震と、1854年の安政の南海トラフ地震では、同時発生または32時間ズレという違いはありますが、駿河湾の東海地震、紀伊半島沖の東南海地震、四国沖の南海地震、3つが全て発生しています。
- 一方、前回1944年と1946年の、昭和の南海トラフ地震では、実は静岡県沖の駿河湾で発生する東海地震に相当する部分は揺れておらず、紀伊半島沖の東南海地震と、四国沖の南海地震だけが発生しています。
- そのため、東南海地震は79年前、南海地震は77年前の発生ということになるのですが、実は東海地震については1854年の安政の南海トラフ地震以降、169年間発生しておらず、そのため東海地震だけがいつ起きてもおかしくない、と長い間言われてきました。
- 南海トラフ地震は、30年以内の発生確率が70%、40年以内の発生確率は90%と言われていますが、はたしてその地震が、全ての領域全部が揺れる超巨大地震になるのか、あるいは部分的にズレながら揺れる連動地震となるのかは、発生するまで分かりません。明日生じるかも、と考えた準備を継続するしかないのですね。
三河地震
- ところで、79年前に発生した昭和の東南海地震から1ヵ月後、1945年1月13日の午前3時38分、愛知県三河湾を震源とする、マグニチュード6.8、想定される最大震度は7となる、大きな地震が発生していました。死者2千名以上が発生した、三河地震です。
- この地震は、東南海地震の余震とも、あるいは誘発地震とも言われていますが、巨大な海溝型地震が生じた後は、しばらく大きな地震が続きます。その流れで発生した地震が三河地震でした。
- 震源の深さが11キロと浅かったため、地上では強い揺れに見舞われて、建物倒壊などの大きな被害が発生しました。
- ところが、この東南海地震と三河地震、大きな被害が発生しているのですが、時期が太平洋戦争の末期であり、軍部による情報統制の影響などを受けて地震の報道はほとんどなされなかったそうです。
- そのため被害の実態や数字についても、ハッキリとした記録が残されていなかったり、近年になって新しい事実が発生したりと、そうした事情もあります。当然ながら現地への支援などもなかなかおこなわれる、その復旧には大きな苦労が伴ったことが想像される訳です。
- 翌年の1946年には南海トラフ地震が発生していますが、人類の敵は人類ではなく、自然災害だけにすべきだと、そう強く思う地震です。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「昭和東南海地震」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!