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Voicyそなえるらじお #547 高層マンションは戸建てよりも地震に強い?頑丈さと耐震性の考え方

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #547 高層マンションは戸建てよりも地震に強い?頑丈さと耐震性の考え方

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、2月28日(火)、本日も備えて参りましょう!

一度住んでみたいタワマン

本日のテーマは高層建築物と大地震」のお話です。

地震の少ない国・韓国

  • 本日はコメント欄にいただいたご質問への回答です。
  • コメントをいただいたのは、「#545 リアル体験談に基づく…続・入浴時の地震対策!」の放送で、「ホワイト」さんからご質問を頂きました。まずは頂いたご質問内容を紹介します。
  • 私は韓国に在住している日本人ですが、地震が大嫌いで地震が殆どない韓国に住み始めてから安心な反面、防災意識がかなり低いと思われるこの国で、もし地震が来たら本当に恐ろしく怖いと感じています。そのため、日本人の私は日本にいたときのように 備蓄や地震対策を意識しながら生活しています。
  • 調べてみると韓国も日本の大地震をきっかけに、建物の耐震基準が強化されているようではありますが、地震の多い日本の耐震基準と韓国の耐震基準が同じくらいまで来ているのか、またはかなり低いのか気になるところですが簡単には調べようがないというのが現実です。韓国の住居は日本で言うマンションも多く、高さは20階以上のマンションが集合しているというのもよく見かけます。
  • 韓国は不動産投資が盛んで、賃貸の制度も日本と違うことから、韓国にきてから18年の間に6回の引っ越しの間、私もそういった高層マンションに住んでいました。日本のように建物を購入する際にしっかりとリスクも教えてくれるのであれば安心できますが、韓国ではもちろんありませんし、あっという間に高層マンションが建設される韓国のスピーディさに更に不安になったりします。
  • そのため、「ここで地震が起きたら崩れるだろうな」とよく考えながら恐怖に怯えていましたが、最近の引っ越しを期に4階建ての新築の建物に引っ越し、やっと高層マンションよりは安心して暮らせている気がしています。ただ最近、日本のニュースで、高層の建物は普通の建物よりも耐震がしっかりしているというのを耳にしました。
  • ここで質問です。高層マンションは普通の一軒家よりも耐震基準が高いのでしょうか?そうだとしたら、安易な考えですが韓国でも同様に新築の高層マンションは、低層の建物より耐震がしっかりしてるかも!と思いました。備蓄や部屋の中の地震対策は私にもできますが、建物の耐震に関しては、どうしたらいいか引っ越しのたびに悩みます。

日本の場合ですが…建物の耐震性は、建物の大小に依存しない

  • 私は韓国の建築基準や耐震基準に関する知識を持ち合わせませんので、日本の場合のお話をします。
  • 建物の地震に対する頑丈さは、建物の高い低い、大きい小さいにはあまり依存せず、どのような設計で建てられているのかによって決まります。
  • 高層の建物は、建物そのものの重さを支えるために、そういう意味では頑丈に建てられますが、耐震を考慮するかどうかで作りかたは大きく変わります。建物の自重や風に耐える作りと、地面が揺れるという現象に耐えられるかどうかは全く異なる考え方になるためです。
  • 例えば日本の場合も、台風などの風に耐える必要が高い地域の場合は、屋根に重たい瓦を使うことで、建物の重さを上げて風に対する抵抗力を高めますが、重たい屋根は地震に対しては弱くなるため、昨今では屋根は軽くなる傾向があります。
  • そもそも、地面が揺れるという現象は通常ではあり得ず、大きな建築物にとってはイレギュラーもいいところです。だからこそ、地面が揺れるという現象から建物を守る為には、「耐震」という考え方が重要であり、耐震の概念がない建物は大地震の直撃を受けた際に、まったく耐えられない可能性が高い訳です。
  • そのため、日本の場合も、恐らくは海外の場合も、建物の高さや大きさ、内装の豪華さなどは、地震に対する強さとは全く別のモノとして考え、基本的には「どのような耐震設計・耐震技術が使われているのか」を考慮する必要があります。
  • 日本の場合は、建築基準法による耐震基準が、建物の地震に対する頑丈さを定める大きな決め手になっていますので、建物の大きさにかかわらず、その建物が旧耐震基準なのか、新耐震基準なのか、また制震技術や免震技術など、耐震以外の方向性で地震対策が行われているのか、などを調べることが重要です。

海外で地震が生じると

  • 例えば2023年2月6日にトルコで発生した大地震でも、最新の耐震基準に沿って建てられていたことになっていた、豪華な高層マンションが倒壊して大惨事になるという事態が生じています。
  • 日本の場合も、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、ともに被害が生じた建物の多くは、旧耐震基準の建物に集中しています。木造戸建て、マンション、という建物の大小ではなく、耐震基準の内容で被害が変わるという結果です。
  • ただし、被害をうけた旧耐震基準の建物も、トルコの大地震のような、文字通り瓦礫の山となるような崩れ方をしている建物はなく、これは建築基準法という法律と、それを守らせるための仕組みがうまく機能していたということで、素晴らしい成果であると言えます。
  • また東日本大震災では、マンションの多い仙台市が強い揺れに見舞われていますが、免震や制震など高度な地震対策をしていたマンションのほぼ全てが無被害または軽微な損傷にとどまり、小破・中破・大破に到ったマンションは0棟だったそうです。
  • ということで、ご質問をいただきました「高層マンションは普通の一軒家よりも耐震基準が高いのか」という点については、建物の種類や作りではなく、その建物が採用している耐震基準により地震に対する頑丈さは変わるため、何とも言えないという回答になります。
  • 韓国での物件選び、強いて言えば、1階が駐車場になっている物件は避ける、できればオーナーや設計士が居住している建物を選ぶ…程度でしょうか。安全な建物が選べることをお祈りいたします。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「トルコ・シリア大地震」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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