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Voicyそなえるらじお #534 大地震後のデマ、地震雲、人工地震などの考え方・付き合い方

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #534 大地震後のデマ、地震雲、人工地震などの考え方・付き合い方

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、2月8日(水)、本日も備えて参りましょう!

雑誌・ムーは面白いですけどね

本日のテーマは大地震とデマ」のお話です。

トルコの大地震

  • 日本時間で2月6日(月)にトルコで発生した大地震、2月7日の深夜の時点で、トルコ・シリアの両国をあわせて5千名以上の死者が生じているなど、すでに歴史に残る大震災の様相を見せつつありますが、
  • 現在もいまだ、大きめの余震が生じる状況が続いているなど、今後の被害の拡大や二次災害の発生などが心配される状況となっております。

デマは逆検索で対応

  • 今回は、こうした大地震が発生するたびに生じる、様々なデマ情報に関するお話です。さて、デマ情報にも様々なものがありますが、とりわけタチの悪い情報が「二次災害」などを語る嘘の情報です。
  • 例えば今回のトルコの大地震においても、過去に生じた他の災害や事故の画像・動画を引用しながら、巨大な津波が発生しているとか、原子力発電所が爆発したとか、そうしたデマ情報がSNSなどで流れているそうです。
  • 正確な情報収集による迅速な行動が求められる非常時において、こうした二次災害を語る嘘情報は有害以外の何者でもありません、許しがたいテロ行為であるといえます。
  • こうしたデマ情報は日本で生じる災害でも度々流れてきますが、例えば2020年のコロナ禍初期、ティッシュやトイレットペーパーがなくなるといった類いの情報も、ある意味では悪質な二次災害を語る情報であると言えます。
  • 災害時、なにか危険な二次災害に関する情報が、SNSなどで流れてきた際には、ぜひその手元にあるスマートフォンなどで、その情報を自分から検索してみてください。事実であれば、大手の報道機関が同じ情報を流して注意を喚起しているのがすぐに見つかりますし、
  • デマ情報であれば、それはデマであるという注意喚起が、昨今のSNSではすぐに出回ります。そのままうのみにせず、自分から逆に調べるということが重要です。最も、一分一秒の避難行動が命を分けるような二次災害の情報が入ってきた場合は、とりあえず危険な場所を離れつつ、情報の真偽を確かめるのがよいかと思います。
  • また、こうした悪質なデマを流すような輩に対しましては、ぜひ輪廻転生における来世において、セミ辺りに転生をしていただき、いよいよ地上に出られるというタイミングで、自分が埋まっていた地面が駐車場にされ、アスファルトによってフタをされるといった末路を辿ってほしいと思います。

地震雲はセルフ防災訓練開始の合図程度に

  • デマの中には、いわゆる陰謀論や都市伝説に類するものも多くあります。ただ、これらの情報については扱いに対して注意が必要です。
  • 例えば、大地震の前に現れるという前兆現象としては、「地震雲」が発生していたというものがあります。大地震の直前に地中から大気中に何かしらの影響を与え、大地震を知らせる特殊な雲が形成されるというものです。
  • 例えば気象庁などは、地震雲について否定的な立場です。気象庁のHPには、『雲は大気の現象であり、地震は大地の現象で、両者は全く別の現象です。大気は地形の影響を受けますが、地震の影響を受ける科学的なメカニズムは説明できていません。「地震雲」が無いと言いきるのは難しいですが、仮に「地震雲」があるとしても、「地震雲」とはどのような雲で、地震とどのような関係で現れるのか、科学的な説明がなされていない状態です。』というコメントが掲載されています。
  • また、voicyパーソナリティでもある雲研究者の荒木健太郎さんも、雲は地震の前兆にならないと言い切られており、地震の前に観測された雲は、全てそれがどのようなメカニムズで生じた雲なのか説明ができるとお話をされています。
  • 日本の場合、大地震はいつでもどこにでも生じます。また少し変わった形の雲も、いつでもどこにでも生じます。ということは、たまたま偶然、大地震の直前に変わった形の雲が生じていることは珍しくありません。そして重要なのは、では「いわゆる地震雲」とみられる雲が生じた際、その後必ず大地震が起きているのかと言えば、ほとんどの場合は何も起きないということの方が重要です。
  • たまたま大地震が生じたタイミングだけを切り取って話をするのでおかしなことになっていますが、「いわゆる地震雲」が生じた後に必ず地震が起こるのでなければ、それは前兆でもなんでもなく、たまたまの現象に過ぎないと言える訳です。

人工地震は産業的にはよく使われています

  • 地震雲とあわせて、大地震の直後に飛び交う言葉に「人工地震」や「地震兵器」というものがあります。
  • まず前提として、人工地震はよくある現象です。例えば土木工事で使われる発破では、地震に似た揺れが生じますので、これはあるいみ人工地震の原因となります。また、地中探索などにおいても、人工地震を発生させて、地震波の状況を観測するといったことはよく行われますので、これも人工地震であるといえます。
  • さらに、核実験による人工地震もあり得ます。ロシアやアメリカなどでは、数メガトンある核兵器を地下で爆発させることで、マグニチュード7前後の大地震を実際に生じさせていますし、昨今北朝鮮などが行っている核実験でも、中規模な地震に相当する揺れが観測されています。
  • ということで、地震雲と異なり、人工地震そのものはあり得る現象ですし、実際に多くの場所で人工地震は起きているのです。
  • もちろん、これらの人工地震は被害が生じないようにコントロールされて実施されますので、日常生活に対しては無害です。また、自然に生じる地震の波形と、人工地震による波形はことなりますので、観測すれば見分けることもできます。
  • さらに、誤解を恐れずに言えば、常識的に考えて人工地震で被害を生じさせるというのは、まずあり得ないと思いませんか?私はそう思います。だれが何の得をするのでしょうか。

悪魔の証明は無理です

  • ということで、個人的な見解を申し上げれば、地震雲は都市伝説ですし、人工地震による被害の発生は陰謀論だと思っているのですが、これに対する反応として少々やっかいな突っ込みというものが存在します。
  • それが、俗に言う「悪魔の証明」です。悪魔の証明というのは、「ない」ことを証明する論法のことです。
  • 例えば、大地震の前に生じる地震雲や、震災をもたらす地震が人工地震であった、という考え方は、基本的には否定されていますし、私もそう思います。
  • ただ逆に、地震雲が100%生じないということを証明したり、とある大地震が人工地震でないということを100%証明することができない、というのもまた事実なのです。
  • 何かが存在することを証明する、何かの自然現象を解説することは、それが化学的に解明されていれば可能ですが、何かが存在しないこと、何かが絶対にあり得ないことを証明するのは、基本的には無理なのです。この、「ない」ことを照明するのが悪魔の証明といわれる論法で、これを持ち出された瞬間、その話題は陰謀論や都市伝説に成り下がってしまうということになるのです。
  • 地震雲があるかもしれない、その大地震は人工地震かもしれない、それを考えるのは個人の自由ですが、人様に押しつけるのはよくありません。オカルト情報誌ムーと一緒に、個人の余暇を楽しむ情報として扱う、あるいは個人的に地震への備えを行うきっかけにするのがよいかと思います。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「トルコで生じている大地震」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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