Voicyそなえるらじお #554 防災視点の「マスク着用解除」の考え方と評価について
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、3月13日(月)、本日も備えて参りましょう!
コロナウイルス感染症2019(COVID-19)
本日のテーマは「マスク着用」のお話です。
- これまで、屋外では原則不要、屋内では原則着用とされてきたマスク着用ですが、本日2023年3月13日から、マスク着用は個人の判断が基本となります。
- もちろん、人間の代表と、コロナウイルスの代表が話し合いをした結果、日本地区において、本日3月13日からウイルス感染が停止される、といった結果ではなく、コロナウイルス側の特性が変わる物ではありませんので、このマスク解除は人間の、さらに言えば日本の都合です。
- そのため、自己の判断によりマスク着用を継続することに問題はありませんし、今までも基礎疾患を持っている方や、病院へ行くときなどはマスクを着用することが多かったですが、そうした行為を阻害するものではありません。
- あくまでも、政府の要請に従ってマスクを着用していた人は、もうしなくていいですよと、そうした状況になります。
- ちなみに私の場合は、2023年の尋常でないスギ花粉で死にかけておりますので、屋外ではマスク着用、風通しのない屋内ではマスクを外すと、今までの政府要請と逆の行動をしばらく取ると思いますが、比較的多くの花粉症持ちの方は、同じような感じなのではないかなと思っております。
そもそもマスクは何のためにつけていた?
- そもそも、これまでマスクを着用していたのは何のためだったのでしょうか。
- それは、マスクを着用することによる、自分自身に対する感染防止効果と、他の誰かに対する感染拡大防止効果を得ることが目的でした。
- 例えば政府が公開している資料によれば、自分だけがマスク、具体的には不織布の一般的なサージカルマスクを自分だけが着用している場合は、感染リスクがマスク未着用の状態と比較して47%低下。
- 不織布のサージカルマスクを自分以外が着用している場合は、感染リスクが70%低下、そして、自分と周囲の全員がマスクを着用した場合は、そうでない状況と比較して感染リスクが75%低下するという数字が公開されています。
- 以前から言われていたことですが、不織布のサージカルマスクは、自分への感染を防止する効果よりも、着用することで他の誰かを感染させない効果の方が高いため、全員で着用をしましょうという活動が、この3年間継続された訳です。
- しかし、昨今におけるコロナウイルスの特性変化、つまり基礎疾患がない場合、感染しても死亡リスクがほとんど無くなるという状況に合わせて、いわゆる季節性のインフルエンザと同じように、
- リスクの高い方は個別に警戒し、社会全体での封じ込めは、日常生活や経済活動への影響を考慮して行わない、という方向性に今日から切り替えるということになります。
防災的にはどうなのか
- 2020年以来のコロナ禍において、防災領域で変化したことがひとつあります。それは、いわゆる防災リュック・非常持ち出し袋に入れるべき荷物に、感染拡大防止グッズ、マスク・消毒薬・体温計などが追加されたことです。
- 幸いなことに、コロナ禍の3年間において、歴史的な大規模災害が生じなかったため、避難所などにおける深刻な感染爆発などは生じませんでしたが、これはあくまでも運がよかっただけです。
- 元々、避難所などの「3密」空間において、冬場であればインフルエンザなどの流行、夏場であれば食中毒への対応などは不可欠な対策でした。感染症という災害は、衛生環境のわるい場所に人が密集すると発生する、ある意味では人災というべき災害ですので、今後の災害においても、災害時における感染症に対する対応は継続しなければならない項目であると言えます。
- 少なくとも、マスクやアルコールウェットティッシュなどは、今後も防災リュックなどに入れておくことは有効と思われます。ただ、体温計については、発熱時における避難所側の対応がセットになっていなければ意味がないため、リュックにいれてもよいが必須アイテムにしなくてもよいと考えます。
状況に合わせた感染症パンデミック対策を
- 大地震や水害の様に、発生した地点から対応がスタートする自然災害と異なり、感染症パンデミックは数年単位で災害が継続し、かつ時期により感染症そのものの感染力や致死率が変わるため、その時点毎に必要な対策を検討して実施することが重要になります。
- 初回の緊急事態宣言が出された2020年4月頃は、感染者100名中5人以上が死亡する状況・致死率が5%以上と極めて高い値であったため、感染を封じ込まなければ、国内だけで数十万人が死亡するかもしれない、という状況であったため、経済活動を全て停止してでも封じ込めが優先されました。
- その後致死率は低下するものの、2021年の7月頃までは、感染者100人中2名程度が死亡する・致死率2%前後と高い値を維持したため、合計4回の緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置などが行われ、マスクの着用も求められました。これも致死率の値を考えれば適切であったと思われます。
- その後、ワクチンの接種開始とともに致死率は低下し、結果として最後の「まん延防止等重点措置」が解除された、2022年春以降は、感染者1000人中1名が死亡するかどうかという、致死率0.1%前後まで値が低下したため、2022年の5月24日には、屋外におけるマスクは不要とされましたが、屋内でのマスク着用は継続されていました。
- あるいはこの時点で、屋内のマスク着用も解除しても、数字の上では良かったのではと思いますが、結果として全面的なマスク解除はさらに1年後、本日2023年3月13日に行われることになりました。
- この判断が正しかったのかどうかは、これから評価が下されることになります。重要なことは、このような感染症パンデミックは、また必ず発生するということです。これで永遠にマスク着用から解放されるのではない、ということは認識しておくべきだと思います。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「マスク着用」のお話でございました。
- ちなみに私自身については、屋外でのマスク着用解除以来、屋外ではマスクをつけていませんでしたので、本日以降、スギ花粉の影響がない場所、また極端な人混み以外においては、基本的にマスクはつけません。
- 混雑していない新幹線の車内やら、コンビニやスーパーなどで買い物をする際には顔出しになるということですね。
- この辺りは個々人の判断にゆだねられますので、皆様におかれましても、自分自身の心と体的に、心地よいと思われる判断をされるのがよいかと思います。
それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!