Voicyそなえるらじお #555 赤ちゃんがいる方の防災対策は「死なない環境」作りから!!
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、3月14日(火)、本日も備えて参りましょう!
若い人は普通死なない、だからこそ災害は「ヤバイ」
本日のテーマは「赤ちゃんがいる家庭の防災」のお話です。
- 本日の放送は、私が運営をしておりますWEBサイト「備える.jp」に寄せられたご質問に回答したいと思います。お名前は伏せさせていただきますが、聞いてくだされば幸いです。
- ご質問いただいた内容ですが…
- 『我が家には、現在5ヶ月の赤ちゃんがいます。私は育休をとっているのですが、地震が来たときにどう動けば良いのか、想像してもうまくいきません。リビングにいる場合にはテーブルにもぐった方が良いなと思っても、赤ちゃんをぱっと動かすのは難しいなとか、地震が落ち着いてすぐに避難所に行ったほうが良いのかとか、でもすぐに行っても夜なら誰もいないから(近くの小学校が避難所です)じゃあいつ頃行けば良いのかとか、考え出すと不安で夜も眠れません。』
- ということで、赤ちゃん・乳幼児がいる家庭の防災対策についてお話をしたいと思いますが、今日の内容は小さな子どもがいる家庭だけでなく、
- 例えば高齢者、介護が必要な方、障がいをお持ちの方、それからペットがいる家庭にも同じことが言える内容ですので、ぜひ聞いてください。
乳幼児の防災は事前対策が全て
- 突発的に発生する大地震から赤ちゃんをどう守るか、その答えは事前対策を万全にすることだけです。
- 大地震は予知ができないため、揺れ始めてからの行動は間に合わず、事前対策の有無がそのまま生死につながります。
- そして、震度6強以上の揺れを実際に経験されたことがある方、あるいは防災のイベント等でよく体験できる「起震車」で、震度6強・震度7の揺れを体験したことがある方であればお分かり頂けるかと思いますが、極めて強い揺れが生じている状況では、はっきり言ってなにもできません。
- 慌てて赤ちゃんを抱きかかえる、無理です、いままさに抱っこしている最中でなければ、地震が来てから赤ちゃんのベッドまで移動することは不可能です。震度6強から7の揺れが生じている場合、机に潜ったとしても、その机ごと振り回されることになりますので、とても赤ちゃんを守る余裕はありません。
- また、今目の前に赤ちゃんがいる状態で大地震が来た場合は、少なくとも覆い被さって赤ちゃんを守ったりすることができますが、その状態で家が潰れたり、背の高い家具や重量のある家電が飛んできた場合は、赤ちゃんもろとも押しつぶされてしまいますので、助かりません。
- 逆に言えば、赤ちゃんをかかえて机の下に潜れる程度の揺れであれば、たいした被害は生じませんので、そこまで心配しなくてよいと言うことになります。
- 例えば、1995年の阪神・淡路大震災では、4歳以下の乳幼児が122名犠牲になっています。2011年の東日本大震災でも、4歳以下の乳幼児が161名以上犠牲になっています。
- 数字で言えば、阪神・淡路大震災の方が、乳幼児や子どもが犠牲になっている割合が高いのですが、これは阪神・淡路大震災の方が、建物倒壊や家具の転倒に巻きこまれることで、避難すらできずに即死された方が多いことが理由です。
- 地震対策の半分は建物の耐震化と、家具・家電の固定で決まります。どのような避難計画を立て、グッズを準備していても、家と家具がメチャクチャになれば、赤ちゃんを守ることはできないのです。最低でも1981年の新耐震基準、木造住宅なら2000年基準、そして可能なら耐震等級2か3の家に住み、全ての家具を固定することが重要です。
高い所に荷物を置くと危ないよ
- 建物の耐震化と家具の固定が大丈夫であれば、赤ちゃんが普段いる場所の周りの安全を確保してください。ベビーベッド、赤ちゃんの定位置になっているゆらゆらや、ベビーサークルなどの周辺です。
- 大地震の直撃を受けて、万が一家具が倒れたり、家電が飛んできたり、また棚の中身が落下してきたり、照明器具がふってきたとしても、この赤ちゃんゾーンの周辺だけは絶対にモノが倒れてこない、落ちてこない、落下してこない場所にしておくことが重要です。
- お父さんお母さんが、トイレにいたり、キッチンにいたり、洗濯物を干していたり、ペットの小鳥にエサをあげているタイミングで大地震が来た場合、赤ちゃんのところまですぐに移動することはできません。
- この状況においては、事前にどれだけ赤ちゃんスペースの周りをサンクチュアリ、安全ゾーンにしていたかが、赤ちゃんの生死を分けます。ちなみにこの考え方は、自力で身動きができない、在宅介護の方、障がいや持病をお持ちの方、カゴに入ったペットなどにも当てはまりますので、
- 身動きできない家族がいる場合は、その周辺を大地震でも安全な、むしろとびこんで逃げ込みたいゾーンにすることが需要です。ここまで行えば、大地震において赤ちゃんが即死する可能性はかなり低くなります。
在宅避難を
- 自宅が津波や土砂災害の生じるエリアにあり、自宅に留まると命に危険が生じる場合、あるいは周辺で火災が発生して延焼しそうな場合は、速やかに「避難場所」へ移動します。これは命を守る行動ですので、躊躇してはいけません。
- 一方、自宅が無事で、周囲でも二次災害が生じていなければ、「避難所」へいく必要はありません。赤ちゃん連れでの避難所生活は、初めての避難所生活・難易度ルナティックモードです、自宅が無事であれば、自宅で生活を継続する在宅避難をしてください。
- 在宅避難をするためにも、自宅を頑丈にする、家具を固定しておく、普段から片付けをしておくといった対策は有効です。
- 赤ちゃん防災において、オムツはどうしようとか、ミルクは粉か液体かとか、いろいろと悩みはあります。しかしこうした悩みは、大地震直後に死ななかった方に与えられる、大変贅沢な悩みなのです。命を守った後の準備ももちろん重要ですが、まずはなによりも、大地震直後に自分と子どもが死なないための環境を作るコトをお考えください。
- 生きていれば、なんとかなります。
- と言うわけで、ご質問をくださいましてありがとうございました。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「赤ちゃんがいる家庭の防災」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!