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Voicyそなえるらじお #556 「まさか」から「ついに」へ意識を変える地震防災と東海地震のお話

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #556 「まさか」から「ついに」へ意識を変える地震防災と東海地震のお話

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、3月15日(水)、本日も備えて参りましょう!

484回前にこのテーマのお話をしました

本日のテーマは「東海地震」です。

  • 12年前の本日、静岡県東部…富士山の西側で大きな地震が発生しました。本日はこの、「まさか」ではなく「ついに」と思われ、しかし本命ではなかった地震のお話です。

2011年静岡県東部地震

  • 東日本大震災をもたらした東北地方太平洋沖地震地震の発生から4日後、2011年3月15日に、静岡県東部・深さ14キロ地点を震源とする、マグニチュード6.4、最大震度6強の大きな地震が発生しました。
  • この地震は、3日前、2011年3月12日に長野県北部で発生したマグニチュード6.7、最大震度6強の地震とあわせて、東北地方太平洋沖地震の影響を受けた誘発地震であると考えられています。
  • この地震では、約50名の負傷者と、500棟の以上の建物の一部損壊が生じましたが、幸いにして死者・行方不明者はゼロ、建物の倒壊等も発生しませんでした。
  • 被害が限定的となったのは、地震の規模が比較的小さく、強い揺れに見舞われたエリアが小さかったこと。また静岡県では以前より東海地震への備えとして、住宅の耐震化や家具の固定などが積極的に進められていたことも、被害が小さくなった要因ではないかと考えられます。

「まさか」ではなく「ついに

  • 多くの地域において、突発的な大地震が発生しますと、「まさか、これは、大地震!?いやだ!怖い!」と感じる方が多いと思います。
  • しかし、静岡県東部地震が発生した際、これは想像ですが、地震の揺れに見舞われた多くの静岡県民は、「ついに東海地震が来たか!」と、具体的な地震の名称をイメージしながら、恐怖におののいたのではないかと思いますし、
  • 静岡県の外にいた防災関係者、地震学者の方も、「まさか」ではなく「ついに」と瞬間的にイメージされた方は多かったのではないかと想像されます。
  • 結果として、この静岡県東部の地震は、東海地震に紐付くものではなく、東北地方太平洋沖地震により誘発された、南海トラフの動きとは無関係の地震だった訳ですが、東北に続いて静岡から西側も壊滅するのかと、最悪の想像をされた方もいたのではないでしょうか。
  • これは、日本で唯一、大地震の予知を前提とした法律、大震法(だいしんほう)が存在したことが理由ではないかと思います。

大震法

  • 大震法…正式名称を「大規模地震対策特別措置法」は、1978に制定された日本の法律で、大地震、とりわけ東海地震による被害を軽減させるために設けられたものですが、東海地震の発生を予知し、事前に警戒宣言と呼ばれる、地震予知の発表を前提にしていることが特徴でした。
  • 静岡周辺に多数の計測器…ひずみ計が設置され、東海地震の前兆現象をキャッチし、怪しい動きが観測された場合は、政府に設置された地震予知判定会が招集され、これは東海地震の前触れであると判断された場合は、交通機関の停止、学校の休校などを含んだ、事前対策の呼びかけが「警戒宣言」として発表される、という内容になっていました。
  • が、先ほどから過去形でお話をしているのは、現在はこの法律が見直され、地震予知や警戒宣言の仕組みが変わったからです。
  • 大震法が制定された1970年台後半は、科学の進歩により地震予知が行える様になると考えられていた時代でした。が、現実的には厳しく、科学が進歩するほど地震予知が難しいことが分かり、警戒されていた東海地震は生じず、代わりにノーマークだった西日本で阪神・淡路大震災が発生し、さらに警戒はしていた三陸沖では想定外のマグニチュード9という超巨大地震が発生するなど、
  • 結局予知は難しい、そこに予算を使うくらいなら、地震が生じることを前提にした防災にお金を使った方が良い、また大地震は東海地震だけでなく、周辺の南海トラフエリア全域への警戒へ拡大した方がよい、などの判断がされ、
  • 2017年以降は、東海地震の発生を前提とした予知情報や警戒宣言がなくなり、現在は「南海トラフ地震臨時情報」というものに置き換わっています。

地震防災を進めた効果はあった

  • 40年にわたり運用された大震法と警戒宣言ですが、幸か不幸か、本番を迎えることはありませんでした。しかし、静岡県を中心とする東海地震の影響を受けると想定された周辺地域の地震防災を進めるきっかけとしては役立ちました。
  • 私自身、小中学校のころの防災訓練では、「火災が発生しました」「地震が発生しました」という各地で行われている防災訓練とあわせて、「警戒宣言が発令されたため、学校が休校になる」という訓練が毎年行われていた記憶があります。
  • こうしたこともあり、2011年3月15日に静岡県東部で大きな地震が発生した際には、「まさか」ではなく「ついに」と多くの方が想像した訳ですが、日頃の防災対策を推進することで、「まさか」ではなく「ついに」と考えられる思考をもつことは、防災的には重要なことであると思います。
  • 日本ではどこでも大地震が起こります、ぜひ「ついに」と考えられるような、事前対策を進めてください。

本日も、ご安全に!

ということで本日は「東海地震」に関するお話でした。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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