Voicyそなえるらじお #552 災害で「排水管」が使えなくなる状況と事前に行いたい対策
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災!そなえるらじお」、3月8日(水)、本日も備えて参りましょう!
入口と出口の量は合わせる
本日のテーマは「断水と排水」のお話です。
質問への回答です
- 今回は、コメント欄にいただいたご質問への回答です。
- ご投稿を頂いた放送は、『#550 地震の6.2%・大地震の10.4%が生じる日本・2023最新版』で、「あんこ」さんからコメントを頂きました。
- 災害時にトイレは使えないのは理解してるのですが、同じく排水管も使えない場合わ手を洗うなどした排水ってどう処理したら良いのでしょうか?災害トイレ同様に固めてゴミとして処理?お風呂のお水が溜まってなければそこに溜めてくのもありかなと思ってましたが、逆にそこに生活用水があると、どうしたら?と。教えて頂けたら嬉しいです。
排水不能になるケース
- まず、どのような状況で水を流せなくなるのかを考えて見ましょう。
- 例えば大地震による揺れにより、排水管が物理的に損傷した場合、
- また、同じく大地震による揺れで液状化現象が発生し、下水道などが被害を受けた場合も水を流すことができなくなります。
- また大雨で地域全体が浸水し、下水道が水没した場合も、水を流すと逆流すると言いますか、すでに排水管全体が水に浸かった状態になってしまいますので、排水ができなくなります。
- このような状況において、同時に断水が発生していれば、水道から水を出すことがそもそもできませんので、排水のことは気にしなくて良いのですが、
- 電気と水道は生きており水は流せる、あるいはお風呂場に貯めた水を生活用水として使う、というような場合は、排水管の損傷が問題になります。
- 特に、マンションなど縦方向に長い物件の場合、排水管の損傷に気づかず水を流すと、排水管が破損している場所よりも下の階で水漏れが発生するため、大惨事となります。
- そのため、マンションによっては、管理規約により、大地震の後は排水管の点検が終わるまで、水を流さないようにする、と定めているところもあるそうです。
排水対策
- では、水道は生きている、またはお風呂の浴槽などに水をためてある。しかし排水ができなくなった状況では、どのように対処すべきでしょうか。
- ひとつは水を使わないことです。トイレには非常用トイレ、洗面や手洗いの代わりにはウェットティッシュ、歯みがきにはペーパー歯みがきを使い、洗濯は当面諦める、という方法で排水をしないという方法が考えられます。
- 水を使用したい場合はどうすべきでしょうか。例えば戸建てであったり、マンションの1階に部屋がある場合は、屋外に水を捨てるという方法があります。排泄物などをその辺りに放置したり、河川に流すことは、感染症などの大きなリスクを招きますので非常用トイレを使うべきですが、生活排水であれば、庭に流すなり、道路に捨てるなり、という方法が取れます。この場合、周辺や環境への負荷が高くなるため、洗剤やら石けんやらの使用は控えたいところです。
- マンションの上層階などの場合は、貯めて処理することになります。排水をバケツなどで受けて止めて、地上に捨てに行くか、非常用トイレなどを使って凝固剤で固めるかといった方法です。ただ、水は重たいため、排水ができない場合は極力水を使用することを控えた方がよいと思われます。
下水は最重要インフラのひとつ
- ところで少し話は変わりますが、平成の初期頃までは、河川の多くがドブ川状態だった箇所が全国にありました。トイレや生活排水をそのまま川に流していたような時代です。
- しかし、全国に下水道が整備されたことで、トイレはくみ取りから水栓になり、川の水は浄化され、海も綺麗になりました。この影響により、感染症のリスクは低下し、都市の環境は良くなるなど、下水の整備は人口が集中する都市開発には不可欠な対策です。
- これらのインフラが使えなくなる災害時には、感染症の流行という恐ろしい二次災害が広がることになります。入口と出口の量は合わせる、食料と同量の非常用トイレを準備し、また生活用水はそれを捨てる先を考えておくことが重要になります。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「断水と排水」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、どうぞご安全に!