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Voicyそなえるらじお #573 日本でも生じる超巨大噴火…1815年のタンボラ山噴火の状況

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #573 日本でも生じる超巨大噴火…1815年のタンボラ山噴火の状況

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月10日(月)、本日も備えて参りましょう!

対策不能な自然災害もあります

本日のテーマは「火山の噴火」に関するお話です。

  • 208年前の本日、1815年の4月10日に、インドネシアにある火山、タンボラ山が超巨大噴火を起こしました。
  • この噴火はものすごく大きなもので、堆積物からなどの測定ではなく、記録として残されている噴火として、人類史で最大規模のものとされています。

タンボラ山の超巨大噴火

  • 1815年のタンボラ山噴火は、数日前から小規模な噴火が始まりました。当時の記録によれば、まず小規模な噴火が4月5日の夕方頃から始まり、それは翌日頃まで続いたそうです。
  • 噴火したタンボラ山は、インドネシアのスンバワ島にありますが、スンバワ島の西側には、インドネシアの首都ジャカルタもあるジャワ島があります。4月5日の小規模な噴火では、このジャワ島でも噴火の音が聞こえ、軍の駐屯地では基地が攻撃を受けたと勘違いして出動がされたということです。
  • その後噴火は沈静化し、爆発の回数も規模も次第に小さくなり、多くの人達はあまり大きな関心を寄せていませんでした。しかし最初の噴火から5日後、4月10日の夕方に、再び大きな爆発音が聞こえ、巨大な噴火が発生しました。
  • この噴火は翌日11日にピークを迎えましたが、噴煙の高さは40キロを超えて成層圏に達し、半径1000キロ圏内で火山灰の降灰が観測されています。特に、火山の周辺半径500キロ圏内においては、噴火から3日間程度、昼間にも夜中のように暗くなるほどの火山灰に襲われました。
  • 噴火による直接的な影響としては、大規模な火砕流が発生して周辺の集落を文字通り消滅させ、さらに海まで到達した火砕流は周辺に大津波を発生させるなどし、直接的には約1万人の死者が生じたと想定されています。

地形も変わった

  • タンボラ山は、過去にも同じ場所で繰り返し噴火が生じ続けて大きくなる成層火山で、日本の富士山と似たような、綺麗な形をしていました。
  • 1815年の噴火が生じる前は、タンボラ山は標高約4,000mと大きな火山でしたが、噴火により山頂がまるごと吹き飛ばされ、放出した大量のマグマだまりは陥没して直径6キロ・深さ1,100mという大きなカルデラを形成し、山の標高も2,850mまで低くなりました。
  • 現在のタンボラ山を空から見ると、山頂にはまん丸の巨大なカルデラが形成されており、とんでもない規模で噴火が生じたことがよく分かります。
  • 火山の噴火の規模は、VEI・火山爆発指数という数字で表されることがありますが、タンボラ山の噴火はVEI7と評価されており、これは直近1000年間で最大規模の噴火だったと想定されています。

火山の冬も起きた

  • タンボラ山の超巨大噴火では、大量の噴出物が高さ40キロの高さまで噴き上げられ、多くの物質が成層圏に達しました。火山からの噴出物、とりわけ二酸化硫黄が成層圏に大量にばらまかれると、太陽からの光と熱を反射してしまう日傘効果という現象が発生し、地球の気温が低下する寒冷化現象、火山の冬現象が発生することが分かっています。
  • 最近の研究によると、1815年のタンボラ山噴火の6年前、1809年にも、記録には残されていませんが、地球の熱帯地方のどこかで大規模な噴火が発生してことが分かっており、この1809年の謎の噴火と、1815年のタンボラ山の超巨大噴火により、すさまじい量の二酸化硫黄が成層圏にばらまかれた結果、この期間中に地球の平均気温は約1.7度低下しました。
  • こうした状況を受け、翌年1816年には異常な冷夏が全世界的に発生し、特にヨーロッパ北部から北米には強い影響が生じ、7月にはアメリカ東海岸で雪が降り、8月にはヨーロッパで霜が降りるなど、「夏のない年」と呼ばれています。
  • 日本では名前のある大飢饉などは生じていませんが、この時期気温低下があったのではないかという発表などがされています。

日本でも起こる

  • 火山周辺の都市を消滅させ、世界中に気温低下による大凶作と食料危機をもたらす超巨大噴火ですが、1815年のタンボラ山噴火と同じVEI7レベルの超巨大噴火は、数百年にいちどの頻度でそこそこ生じています。
  • 日本の近くで発生した超巨大噴火としては、西暦946年に北朝鮮と中国の国境にある白頭山で発生した超巨大噴火があります。白頭山大噴火という韓国の映画も公開されていましたね。この噴火による火山灰は、ちょうど風下に当たる東北から北海道で地層として残されています。
  • また、日本の近くというより、日本でもこの規模の超巨大噴火は定期的に発生しておりまして、最近では約7,300年前に、鹿児島と屋久島の間にある「鬼海カルデラ」で超巨大噴火が発生しています。
  • 1815年のタンボラ山噴火と同じように、大規模な火砕流が発生し、これは海を越えて現在の鹿児島・宮崎・熊本辺りに到達し、当時九州の南部にあった縄文文化を一度滅ぼしていることが分かっています。
  • またこの火砕流は津波も引き起こし、九州・四国周辺に被害をもたらしていたようだということが、近年の調査で分かっています。
  • この鬼海カルデラの噴火では、東北より南の地域全体で火山灰が確認されており、現在このような噴火が発生した場合、日本沈没ならぬ、日本埋設的な厳しい状況が生じるだろうと、想定されています。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「火山の噴火」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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