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Voicyそなえるらじお #574 わずか1℃が大きな変化に…地球温暖化&寒冷化の恐ろしさ

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #574 わずか1℃が大きな変化に…地球温暖化&寒冷化の恐ろしさ

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月11日(火)、本日も備えて参りましょう!

氷河期の平均気温は、現在より5度低いだけだったそうで

本日のテーマは「地球温暖化と地球寒冷化」に関するお話です。

  • 前回の放送では、1815年に発生したインドネシア・タンボラ山の超巨大噴火のお話をいたしました。この放送の中で、火山の冬現象による全地球規模の寒冷化が生じ、平均気温が1.7度ほど低下したようです、ということをお伝えしておりましたが、コメント欄で、気温低下1度2度って、実際の所どうなんですかねとメッセージを頂きました。今回はここを少し深掘りしたいと思います。

過去の巨大噴火による気温低下

  • この、火山の冬現象による気温低下、他の噴火でも度々生じています。
  • 例えば直近でも、1991年のフィリピン・ピナトゥボ火山の噴火では平均気温が0.5度低下しています。また人類が遭遇した最大規模の超巨大噴火としては、75,000年ほど前に生じた、インドネシア・トバ火山の超巨大噴火が上げられますが、この噴火では地球の平均気温が3度から5度ほど低下し、これが数年間継続したことで、人類が滅亡寸前に追いやられたと想定されています。
  • 数度の温度変化はそれほど問題なのだろうか、当然の疑問ですし、私もそう思います。
  • そもそも、朝と夜では10度20度の気温変化は当たり前ですし、夏と冬でも10度20度どころかそれ以上の気温変化はよくあります。また2022年の実績値として、札幌の年平均気温は10.2度、東京は16.4度、那覇は23.7度、土台となるオーダーが最初から大きく異なりますが、私たちはどの地域でもそれなりに快適に生活ができていますし、農業なども成立しています。
  • 地球温暖化で気温が1度上がる、火山の冬現象で気温が1度下がる、たいしたことがないように見えますが、実際の所はどうなのでしょうか。

氷河期はどんな感じだったのか

  • 例えば、寒い方で言いますと氷河期という時代がありました。一番最近の氷河期はおおむね1万5千年前辺りに終わり、現在は比較的温かい時期となっていますが、この最後の氷河期の際には、陸地の面積の約30%が氷河に覆われていたそうです。
  • ヨーロッパで言うとイギリスや北ヨーロッパは凍りの下にあったそうですし、北米でば現在のアメリカ・カナダ国境あたりまでは全て氷河に覆われており、南半球でもオーストラリア・ニュージーランド・南アメリカの南部などで氷河が形成されていたということです。
  • 日本においても、関東地方辺りが現在の北海道のような気候であったということで、現在とは全く異なる世界が広がっていたのだろうなと想像されます。
  • そして、この凍りに閉ざされた世界、ものすごく極寒のイメージがありますが、地球全体の平均気温で比較をすると、現在との差はおおむね5度程度ということだそうです。

問題は振れ幅の大きさ

  • 地球全体の平均気温が5度低下すると、世界が氷河期のようになってしまう。昨日ご紹介をした1815年のタンボラ山超巨大噴火では、地球の平均気温が1.7度低下し、夏にアメリカ東海岸で雪が降ったとお話をしましたが、なんとなく頷けるような気がしないでしょうか。
  • 平均気温の1度2度というのは、局地的にものすごく大きな気候変化をもたらしてしまう大事件なのです。
  • 気温の変化は、高緯度の地域になるほど大きくなりますので、平均気温が1度2度の変化だったとしても、南極・北極辺りではものすごく大きな変化が生じます。それが起きているのが、現在進行系の地球温暖化現象です。
  • また、平均気温が高い時期も低い時期も、1年単位で見れば温かい1年・寒い1年というものが存在しますし、1日単位でも極端に暑い日・極端に寒い日というものがあります。
  • しかし、平均気温が変動しますと、この極端に暑い日・寒い日の振れ幅が大きくなってしまい、これまた異常気象の原因になってしまうのです。

実際の影響

  • 例えば直近100年間で、日本の平均気温は約1.3度上昇しています。この結果、夏の最高気温が35度以上になる猛暑日の日数は100年で3.5倍に増加、逆に冬の最低気温が0度未満になる冬日の年間日数は、100年で8割に減っています。
  • 気温が上がれば大雨の発生頻度も増加しますが、例えば直近50年で日本の平均気温は0.7度ほど上昇し、1時間降水量80mmの恐怖を覚えるような大雨や、日降水量300mmという水害をもたらす大雨は、この期間で2倍ほどの頻度が増加しています。
  • ちなみにいまのお話は全て、気象庁のデータとして一般公開されていますので、別に秘密のお話と言うことではありません。
  • 地球温暖化で平均気温が1度2度変化すると、水害を始めとする気象災害は確実に増加しますし、逆に火山の冬現象などが発生して平均気温が1度2度低下すると、大凶作による食料危機が生じる可能性があるということで、「地球全体の平均気温」という言葉が出て来た際には、0.1度単位の変化にぜひ注目をしていただきたいなと思います。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「地球温暖化と地球寒冷化」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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