Voicyそなえるらじお #575 常温で誰にでも食べやすい「パンの缶詰」はオススメの防災食!
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月12日(水)、本日も備えて参りましょう!
そういえばカンパンマンっていませんよね
本日のテーマは「パンの缶詰」に関するお話です。
- 本日4月12日は「パンの日」です。
- 181年前の今日、1842年(天保13年)の4月12日、伊豆の国・韮山の代官にして軍学者であった「江川太郎左衛門」が、日本で初めて、パン焼き釜による本格的なパン製造を開始しました。
- これにちなみ、1982年に「パン食普及協議会」が、毎年4月12日をパンの日に定めたということです。
きっかけは常温・そのまま
- 江川太郎左衛門がパンを焼き始めたきっかけは、軍事目的による開発だったそうです。日本の主食と言えばお米ですが、お米は食べられる様にするために炊飯が必要になるため、戦場ではなかなか調理に手間がかかります。
- そのため、火をおこさずにそのまま食べられ、消化も良く、持ち運びも簡単で、しかも長期保存できる食べ物が求められ、パンが生まれました。そのため初めて本格的に製造が始まったパンは、いわゆるふわふわパンではなく、硬い乾パンだったそうです。
- ところでこの、日本で乾パン製造が始まったきっかけとなる理由、そのまま食べられて長期保存できるという特性は、そのまま防災対策においても有効ですね。
- そのため日本でも1995年の阪神・淡路大震災以前は、非常食と言えばカンパンという時代が長く続いていましたが、やはりお米を食べたいということで、アルファ化米が防災食として使われるようになったり、おいしいレトルト食が増えたりということもあり、非常食にカンパンをそのまま使うシーンは減っています。
- そのため、現代における「カンパン」といえば、乾燥した硬いパンではなく、「缶詰にはいった柔らかいパン」をオススメすることが多くなっています。
パンの缶詰について
- 缶詰に入ったパンを日本で最初に開発・販売を始めたのは、栃木県の那須塩原市に本社のある食品メーカー、株式会社パン・アキモトさんです。
- 1995年の阪神・淡路大震災の際、被災地支援の一環として大量のパンをトラックで現地に輸送したところ、賞味期限が短く届けたパンの3分2は食べられる前に傷んでしまうという体験があったそうです。
- また被災地では非常食としてカンパンも多く配られていたということですが、特に高齢者の方々から、硬くて食べられないので、日持ちする柔らかいパンが欲しいと声をかけられ、こうした経験から、長期保存ができるパン開発を始められたそうです。
- 長期保存パンをどのようにするか、様々な試行錯誤があったそうですが、最終的には「パン生地を缶詰に入れて焼き上げることで、殺菌をしながらパンが焼き上がる」という方向性で製品化、ただしそのままではパンが缶にくっついてしまうため、耐熱性がありパン生地と一緒に焼き上げても大丈夫な包み紙を探し出し、これにパンを包んで焼くことで、いわゆる「普通のパン」を、食べやすい形状で、缶詰の中に入れることに成功し、パンの缶詰が完成しました。
- パン・アキモトのパンの缶詰が広く知られるきっかけとしては、2004年の新潟県中越地震における被災地で、パンの缶詰が使われたことだそうですが、その後も様々な災害でパンの缶詰が使われるようになったり、
- 他のメーカーもパンの缶詰に参入するようになり、現在ではいろいろな選択肢が存在する、備蓄食のひとつのジャンルとして確立しています。
パンの缶詰はいいぞ
- 実際、パンの缶詰はオススメです。
- 常温でそのまま食べられ、食器も不要。パサパサしていないので水が無くてもむせにくく、高齢者から子どもまで食べさせやすい。缶詰に入っているので長期保存ができ、軽いので持ち運んでも疲れないなど、非常時に向いた多くのメリットがあります。
- もちろんカンパンはカンパンで美味しいですし、非常食としても良いとは思いますが、誰が食べるか分からないという状況に対しては、誰もが食べやすいパンの缶詰がおすすめです。
- ただし、パンの缶詰には好みがありますので、自分にとって美味しいかどうか、一度試食をしてから、わが家の備蓄に加えるかを判断いただけるとよいかと思います。
- また食べる際に加熱手段があるならば、少し温めて食べるとより柔らかくなり、風味も良くなりますので、おすすめです。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「パンの缶詰」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!