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Voicyそなえるらじお #576 原状回復が必要な賃貸住宅で、家具をネジで壁に固定する考え方

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #576 原状回復が必要な賃貸住宅で、家具をネジで壁に固定する考え方

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月13日(木)、本日も備えて参りましょう!

やっちゃえYO!!

本日のテーマは「家具の固定と賃貸住宅」に関するお話です。

  • 地震対策において「家具の固定」は命を守るための準備として大変重要ですが、その中でも「ネジ」を使って壁に直接固定する方法が最も頑丈になるためオススメです。
  • しかし、賃貸住宅の場合は「ネジによる穴開けに対する原状回復義務」がハードルとなり、なかなかネジによる固定ができない場合があります。どうすればよいか、そう…「いいからネジ打っちゃえYO!」という考え方があります。

木製の家具の場合

  • 家具の固定方法としては、ネジやボルトを使って、壁・床・天井に直接固定する方法が最も頑丈ですが、これが難しい場合は、粘着テープやマットを使う方法、突っ張り棒などを使う方法、家具を傾けて壁にもたれかけさせる方法などがあります。
  • この中で最も頑丈に固定できる方法は、やはりネジなどを使って直接壁に固定する方法です。例えば木製の食器棚、タンス、クローゼット、本棚などであれば、L字金具などを使って、家具と壁を直接固定するのが確実です。
  • ちなみにL字金具をつかう場合は、L字に固定するよりも、逆L字に固定した法が頑丈になります。逆L字というのは、アルファベットのエルを上下逆にして、家具の裏側に金具をしまい込むような固定方法となります。
  • この方法で固定すると、L字金具が外から見えなくなりますので、インテリア的にもイイ感じになります。わが家の台所の食器棚はこの方法で固定しています。
  • なお、オフィス・店舗・工場などの場合は、壁ではなく床にボルトで家具などを固定することもよくありますので、条件が許せば床固定もアリです。
  • ネジうちが難しい場合は、粘着テープやマットを使ったL字固定器具などもありますので、こうしたものを使うことで、壁に穴を空けずにかなり頑丈な固定を行うことができます。ただ、ネジうちをすればほぼメンテナンスフリーとなりますが、粘着テープやマットは定期的にはがれていないかを確認する必要がありますので、やはり確実なのはネジ固定です。

金属の家具・家電の場合

  • 一方、金属の棚、冷蔵庫やテレビなどの家電は、本体に直接ネジを打ち込めませんので、なにかプレートのようなものを壁にネジで固定し、このプレートと棚や家電をベルトやチェーンで止める方法で頑丈な固定ができます。
  • わが家の冷蔵庫は、男子3人の胃袋を満たすため、600Lサイズのかなり巨大なものを置いているのですが、もちろん地震で移動・転倒すると大惨事となります。
  • そのため、壁に金属のプレートをネジで固定し、このプレートと冷蔵庫をベルトで固定する方法をとっています。多くの冷蔵庫は、裏側にベルトやチェーンを通せるフックなどを設けていますので、こうしたものを使うことができます。
  • またテレビなども、できることなら壁掛けにしてしまうのが地震対策としては一番有効です。壁に取りつけたプレートにテレビを固定すれば、大地震の直撃を受けてもまず問題無くなります。

下地センサーを使う

  • 壁にネジで固定をする場合は、どこでも自由にネジを打てばよいということにはなりません。多くの壁は石膏ボードという1センチほどの板の上に、壁紙を貼ったり塗料を塗ったりしていますが、石膏ボードはネジを固定できませんので、これにネジを打つだけではすぐに抜けてしまいます。
  • ネジうちは、石膏ボードを固定している木材などの下地に直接打ち込む必要がありますが、これは外からは場所が分かりませんので、自宅の設計図などを見ながら、下地を探すための器具を使う必要があります。
  • 下地探しの道具には、細い針を刺すモノ、磁石で探すモノ、センサーで探すモノなどがありますが、二千円程度で売られているセンサーで探すタイプのモノが手軽でオススメです。

賃貸の場合は

  • ところがもうひとつ問題があります。それが賃貸住宅の原状回復問題です。
  • 通常、画びょうなどの利用に関しては、生活における当たり前の傷とみなされますので、賃貸契約書で画びょうの利用などが禁止されていなければ、これは原状回復の対象外となります。
  • またエアコンを取りつけるためにもネジうちをしますが、これも生活に欠かせない行為ですので基本的に原状回復の対象外、退去する際に修理費用を求められることはありません。
  • しかし、家具の固定については基本的に原状回復の対象となってしまうことが多く、賃貸住宅の場合は退去時に修理費用を請求されることが基本となります。
  • この問題があるため、賃貸の場合は家具や家電のネジ固定が普及しないのですが、逆に言えば、退去時にお金を払うなら、ネジを打ってもいいという言い方にもなります。つまり、「原状回復義務?修理費用?そんなのいいからネジ打っちゃいなよ」という考え方です。
  • かなり乱暴な考え方ですが、お金で命は買えません。当面引越しの予定がない賃貸居住者の方であれば、どうでしょうか、ネジうちしてしまってもいいのではないでしょうか。

一部の公営住宅と未来

  • ちなみに、最近の動きとして、自治体が管理する公営住宅について、一部の自治体が家具固定によるネジうちは原状回復の対象外、穴を空けても修理費用は求めないという自治体が出はじめています。
  • この取り組みについては、ボイシーパーソナリティでもあるアウトドア防災ガイドのあんどうりすさんが、以前から積極的に啓蒙活動をされており、自治体や市議会などに「公営住宅はネジうちOKにしてはいかがですか」と呼びかけをされています。
  • この取り組みを私も素晴らしいなと思いまして、自治体関係の方や市長さんが対象の講演会などでは、公営住宅はネジうちOKにしましょう、というお話を必ずするようにしています。
  • ちなみに、公営住宅の中には、家具固定でネジを使っても実際には原状回復の費用を請求することはないが、それを対外的には告知していないという自治体もあります。そのため、聞いてみると意外と、あ、ネジうちOKですよと言われるかもしれませんし、もしかすると民間の賃貸住宅でも、大家さんに聞けばネジうちOKと言ってくれるかもしれません。
  • いま賃貸住宅にお住まいの方は、ぜひ、「地震対策の一環として、家具を壁にネジで固定したいのですが、退去時に修復費用が必要でしょうか」と、管理会社や大家さんに聞いてみてください、ダメ元です、OKならぜひネジうちをしましょう。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「家具の固定と賃貸住宅」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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