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Voicyそなえるらじお #578 熊本地震がもたらした地震対策に対する変化と影響

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #578 熊本地震がもたらした地震対策に対する変化と影響

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月17日(月)、本日も備えて参りましょう!

あれから7年

本日のテーマは「2016年熊本地震」に関するお話です。

  •  昨日4月16日は、2016年に発生した熊本地震の本震から7年目を迎えた日でした。ちょうど私、熊本へ講演会の仕事で訪問をしておりまして、今朝は熊本県阿蘇市におります。
  • 大きな災害が発生しますと、相応の被害が発生します。防災という領域においては、この被害を振り返り、次に同じような災害が発生した際の被害を少しでも小さくする、そうした取り組みが重要です。
  • もちろん、災害で犠牲になられた方の家族・ご遺族の思いとして、私の家族は未来に教訓を残すために死んだわけではない、と思われるのは当然だと思います。そうした気持ちは十分に配慮した上で、それでも教訓を得て、次の犠牲者を無くすことが必要ですので、本日はそうしたお話をいたします。

新耐震への課題

  • 熊本地震における特徴のひとつが、「強い揺れ」が連続して生じたことです。4月14日に発生したM6.5・最大震度7の地震と、4月16日に発生したM7.3・最大震度7の地震を最大規模の揺れとして、
  • その後1週間以内に、震度5弱の地震が10回、震度5強が4回、震度6弱が3回、震度6強が2回発生しました。この、同じ場所で短期間のうちに強い地震が立て続けに発生したことで、1回目の揺れには耐えられた建物が、2回目以降の揺れで倒壊するなどの被害が生じ、
  • 地震対策における従来の基本、新耐震基準の家に住んでいれば大丈夫という常識が通用しなくなるといった課題が生じました。

余震という言葉

  • さらに、当初本震と思われた大きな地震の後に、より大きな地震が発生したことを受け、気象庁などが防災上の呼びかけをする際に、余震という言葉を使わなくなりました。
  • 2016年に熊本地震が発生するまで、大きな地震が発生すると、気象庁から「一週間程度、最初の地震より一回り小さな余震に警戒、余震が生じる可能性はこのくらい」、という発表がなされていました。
  • しかし、熊本地震の2連続・震度7という従来無かった大地震を受け、「まず本震が起き、その後余震が生じる」という流れが絶対的なものでなくなりました。そのため、「余震」という言葉を使うと、より強い揺れは起こらないのだと捉えられる恐れがあるため、「余震」という言葉を使わずに、「最初の大地震と同程度の強い揺れに警戒」というような表現に改められています。
  • 地震の報道に関する表現は絶対的なものでなく、新しい想定外が発生するたびに、少しずつ見直されているのですね。

震災関連死の問題

  • これは熊本地震に限られませんが、熊本地震で特に顕著な問題として生じたのが「震災関連死」の問題です。
  • 2023年現在、熊本地震による死者は276名と発表されています。実はこの死者の人数、毎年少しずつ増えています。これは行方不明者が見つかったという訳ではなく、実際に死者が増えているのです。
  • 熊本地震による直接被害、建物倒壊、家具の転倒、土砂災害などで命を落とされた方は全部で50名おりますが、地震の後の被災生活やいりょうのもんだいなどで命を落とされた方がさらに200名以上いらっしゃいます、これが震災関連死であり、熊本地震の場合は死者の8割以上が震災関連死なのです。
  • 超高齢化を迎えている日本の大きな課題と言えます。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「2016年熊本地震」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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