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Voicyそなえるらじお #585 耐震偽装から自宅を守る消極的なひとつの方法

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #585 耐震偽装から自宅を守る消極的なひとつの方法

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月26日(水)、本日も備えて参りましょう!

どのような理由があろうとも許されない犯罪がある

本日のテーマは「建物の耐震性」に関するお話です。

  • 2023年2月6日に発生した「トルコ・シリア大地震」から約2ヵ月半が経過しています。現在までに判明している被害の状況としては、トルコ・シリアをあわせた死者が約6万人、30万棟以上の建物が被害を受け、被害総額は日本円換算で15兆円を超えています。
  • 未曽有の大震災となっているこの大地震ですが、被害が大きくなった要因のひとつしては、地震の規模がM7.8と陸地で生じる地震としては相当に大きかったこと。また多くの建物が瞬間的に倒壊して多くの方が即死状態になったことがあげられます。

耐震基準があっても守られなければ意味が無い

  • 一方で、トルコは日本と同じ地震国です。トルコ周辺には4枚のプレートが複雑に重なり合っていまして、定期的に大きな地震が生じる地域になっています。
  • そのため、トルコにおいても日本と同じように、建物に対する耐震基準が定められており、しかも大きな地震が生じるたびにこれが見直され続けています。
  • 最も最近では、2018年に耐震基準が見直されており、これに基づいて建築されている建物は、相当な大地震の直撃にも耐えられる作りになっているということです。
  • しかしニュース報道を見ますと、残念なことにトルコにおいては、建物の設計や完成した建物に対するチェックが適切に行われないことも多く、また基準以下の耐震性で作られた建物についても、合法にするような仕組みなども存在し、さらに完成した建物に対する耐震性を考慮しない増改築などもよく行われる現状があるそうなのです。
  • 今回の地震においても、例えば床の面積を増やすために、建物の柱を勝手に取り除いていた様な建物が、地震の揺れで倒壊するなどの被害が生じているということで、ある意味では人災という側面もあるのですが、この違法な状況に携わっている人の数が多いため、人災は人災でもはたして誰の責任になるのか、という辺りの追究が難しい現状もあります。
  • 耐震基準があっても、守らせる仕組みが無ければ意味が無く、守らせる仕組みがあったとしても、それが本当に守られなければやはり意味が無い、これは日本においても大変に重要な、永遠の課題であると言えます。

姉歯事件

  • ところで本日4月26日は、2005年の11月に発生した、構造計算書の偽造問題、通称「姉歯事件」と呼ばれる一連の事件において、関係者が一斉に逮捕された日です。
  • 17年前に発生したこの事件、最終的には法律の改正や資格試験制度の変更などももたらす影響を与えた事件となりましたが、防災対策においても極めて重要な事件であったと言えます。
  • この事件は、マンションの耐震設計を行っていた建築士が、設計の一部を偽装して、法律で定められた耐震性を持たないマンションの設計図を書き、本来は偽装を見破りNGを出すはずの、建築確認申請をすり抜けてしまい、多くの建物が耐震性の足りないまま実際に建築されてしまっていた、というものです。
  • 当時は連日の様にマスコミ報道でこの問題が取り上げられておりましたが、設計を偽装する問題、それを見抜けない問題、またこうした業務に取り組む一級建築士のあり方に関する問題、それぞれについて対応がなされ、
  • 2007年には建築基準反古亜改正され、建築確認申請の手続きが厳格化され、耐震偽装が行いづらくなるようになりました。また建築士に関する法律も見直しがなされ、資格試験が難しくなったり、構造設計の業務もより適切に行われるように対応がされました。
  • こうした事件もきっかけに、現状日本においては、少なくとも耐震性に関する構造計算は、偽装が行われないような仕組みになっています。これ自体は素晴らしいことですし、防災における最重要項目、地震で倒壊しない家を増やすという意味でもよい状態が保たれています。

終わらない事件

  • しかしその後も、建物の免震装置に関する偽装事件、基礎工事の施工データに関する偽装事件、地震に対する制震ダンパーに関する偽装事件など、地震対策を取り巻く様々な現場において、大小様々な耐震偽装は行われ続けています。
  • 建物を外から眺めて、耐震性がどの程度あるかを調べることは、構造物を投資できる魔法の目と、構造計算に関する多数の知識、そしてコンピューター並みの計算能力を持ち合わせていなければ不可能です。
  • そのため、メモ知識も頭脳も持ち合わせていない私を含む一般人は、デベロッパー、ゼネコン、そして設計士を信頼するしかありません。昨今様々な性善説が崩壊している世の中ですが、建物に関しては手抜きや偽装が行われること無く、頑丈に作られていて欲しい、そう願うばかりです。
  • ちなみに…

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「建物の耐震性」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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