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Voicyそなえるらじお #570 防災視点のホテル部屋選び…4階~9階の部屋がいい?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #570 防災視点のホテル部屋選び…4階~9階の部屋がいい?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月5日(水)、本日も備えて参りましょう!

生活を犠牲にする防災は成り立たない

本日のテーマは「ホテルと防災」のお話です。

  • 先日までの放送で、津波に関する少し細かなお話を紹介して参りました。
  • 本日はコメント欄に頂いた質問への回答を含めまして、津波への対策に関するお話をしたいと思います。

建物はどうしよう

  • コメントを頂いた放送は、「#567 南海トラフ巨大地震による、最悪の津波の高さ&到達時間の想定」です。コメントをくださいましたのは、ちゃとらねこさんです。
  • 『髙荷先生 おはようございます。
  • 揺れている最中に津波が発生…もうあかんやつぅ。
  • 旅行の際のホテル、特に津波の可能性がある場合はなるべく上層階をお願いするようにしています。この考え方はあってますか?』

地震とホテル

  • さて、旅行や出張でホテルに泊まる際、部屋選びは楽しい要素と面倒な要素の両方がありますね。QUOカード付きプランがいいか…、楽天ポイント10倍プランがいいか、と考えている間は、まだまだ素人と言わざるを得ません。それはともかく…
  • 土地勘のない場所へ出かけて、夜を過ごす際には、災害の不意打ちで死なないようにする必要があります。不意打ちを受ける災害としては、大地震や火災が挙げられますが、耐震性が確保されており、基本的に室内に転倒物や落下物の少ないホテルの部屋は、地震の揺れで即死する可能性は低いと言えます。
  • すると怖いのは、ご質問もいただきましたが、地震により引き起こされる津波です。南海トラフ巨大地震、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震、こうした海溝型の巨大地震によって引き起こされる津波は、条件により地震発生から数分で第一波が到達すると想定されています。
  • この地震が深夜の発生の場合、寝起きから数分で、安全な高台まで避難することは極めて困難です。そのため、最初から逃げなくても良い場所にいるというのは大変有効な選択肢となります。
  • ホテルの住所で重ねるハザードマップを見て、津波が想定されるエリアの場合は、想定されている津波の高さ以上の部屋に泊まる、これができるならば大変に有効な対策と言えます。

水害とホテル

  • また部屋の高さを確保するというのは、台風や大雨により生じる洪水や土砂災害に対しても有効です。台風や大雨は地震とことなり生じることが分かりますので、災害クラスの大雨が想定されている際に、旅行や出張へ出かけるというのはあまりないと思いますが、それでも諸事情が積み重なり、ホテルで水害にあわないとは言い切れません。
  • この場合も対応は津波と同じです、ホテルの住所で重ねるハザードマップを見て、洪水や土砂災害が想定されるエリアにホテルがある場合は、影響を受けない高さの部屋に泊まる、これで基本的には問題無くなります。
  • 水害を回避する場合は、できれば建物が鉄筋コンクリートであることが望ましく、部屋の高さとしては、洪水の場合想定される水深より高い部屋を、土砂災害の場合は、主に土石流対策として、目安として3階から4階よりも高い高さのお部屋に泊まれば、基本的に避難指示が出ても、ホテル側から避難を促されない限り、その場にとどまることができます。

火災とホテル

  • また、ホテルなどに止まる際には火災からの避難も重要です。
  • 部屋に入る際には、最寄りの避難階段の場所を確認し、中腰でそこまで移動できるイメージを持っておきましょう。
  • また、非常ベルなどが鳴った際に、すぐ避難を始められるように、荷物一式は寝る前にまとめておき、必要に応じて持ち出せるようにしておくと安心です。冬場の場合は上着だけ羽織って、手荷物や着替えの入った鞄を持って屋外へ逃げられれば、あとでどうにでもなります。
  • もちろん、すでにフロアに煙が立ちこめているような場合は、とるモノもとらずに避難することを優先してください。
  • 火災から避難する場合、火元より低い階であれば、まず安全に逃げられます。火元から上の階にいる場合は、階段に煙が侵入していなければ駆け下りられますが、下の階へ降りるルートがない場合は、助けを待つことになります。
  • 基本的に、消防のはしご車が届く高さは約30m、階数にすると10階から11回辺りとなります。できれば高さ1桁のお部屋に泊まっていれば、はしご車経由で救助をされる可能性が高くなるということになりますね。
  • と言うわけで、津波・洪水・土砂災害・火災を避けるお部屋としては、条件にもよりますが、おおむね4階以上9階以下辺りがベスト…ということになります。

ただし、あまり気にしすぎないで

  • ただ、ホテルに泊まる際に部屋の階数を指定できるかどうかは、状況によります。希望の高さの部屋が取れないケースも多々ありますので、あまり気にしすぎない方がよいです。
  • そもそも防災のことだけを考えるのであれば、旅行や出張には行かない方がよい訳で、ホテルに泊まるという選択肢をとっている時点で、すでに完璧な備えというルートからは外れています。
  • また、確率で言えば、あなたがホテルにいるときに、何も起きない可能性の方が圧倒的に高い訳ですので、理想的な部屋であればラッキー、そうでなくても素早く避難することだけを意識していればOK、と考えていただきたいです。
  • 防災を優先して生活を犠牲にする方法は、長続きしません。上手くいかなかった時にメンタルへ影響が生じるのも避けたい所です。
  • 生活を防災基準にあわせるのではなく、生活を邪魔しない範囲で防災の要素を取り入れる、という方が健全です。もちろん、この水準を引き上げることは重要ですし、備えるという行為を楽しめるのであれば、ぜひマニアックな旅行や部屋選びを行っていただきたいと思います。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「ホテルと防災」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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