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Voicyそなえるらじお #601 台風は「風の強さ」と「大きさ」で区分!「弱い」台風が消えた理由

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #601 台風は「風の強さ」と「大きさ」で区分!「弱い」台風が消えた理由

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月22日(月)、本日も備えて参りましょう!

台風シーズンが始まりました

本日のテーマは台風」のお話です。

  • 先週末5月18日に沖縄・奄美地方に梅雨入りが発表されました。例年よりは2週間ほど遅い梅雨入りということです。
  • また5月20日には台風2号が発生しています。この台風2号の今後の進路はまだはっきりとしていませんが、世界の気象機関の予測では日本に直撃するコースも出はじめており、もし5月中に日本へ上陸する台風となれば、観測史上4回目となる可能性もあります。
  • ということで本日は台風の基礎知識です。

台風とは

  • そもそも「台風」とはなんでしょうか。哲学的なお話ではなく科学的なお話です。台風を台風とたらしめている要素は、風の強さです。単なる大雨は梅雨時期の集中豪雨や線状降水帯などによってももたらされますが、これに極めて強い暴風が追加されることで、地獄のような光景が作り出される。台風対策とはすなわち、半分は暴風への備えということになるのです。
  • 日本の周辺に限らず、熱帯の海の上で発生する低気圧を世界共通で「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち赤道より北側…北大西洋または南シナ海に存在し、かつ最大風速が17m/sを超えるものを気象庁では「台風」と定義しています。
  • なお、日本以外の地域で発生した熱帯低気圧のうち、風が強くなったものについては、太平洋の東側と大西洋で発生するものはハリケーン、太平洋の南側とインド洋で発生するものはサイクロンと呼ばれていますが、内容としては同じものになります。

台風の種類…風の強さ

  • 台風の凶悪さは、強さと大きさという二つの区分により表現されます。まず台風の強さはすなわち風の強さです。そもそも10分間平均の最大風速が17m/sを超えると熱帯低気圧から台風に格上げされる訳ですが、そこからさらに風が強くなると、「強い」台風、「非常に強い」台風、「猛烈な」台風と3段階で進化をすることになります。
  • こう見ますと、ただの台風はたいしたことがないようにも見えますが、台風の最低基準・平均風速17m/sというのは、すでに人間は風に向かって歩けなくなり、車が強風に煽られ、屋根の瓦が剥がれはじめる強さの風です。まったくもってたいしたことがない訳はないのですが。だからこそ、台風と定義して警戒を呼びかける訳ですね。
  • そしてこの風の強さが、33m/sを超えると「強い」台風に、
  • 44m/sを超えると「非常に強い」台風に、
  • 54m/sを超えると「猛烈な」台風と呼ばれる様になります。
  • 強い台風・33m/sの風というのは、人は屋外で活動できなくなる、つまり吹き飛ばされる強さの風です。また細い木が折れ始めたり、走行中のトラックが横転を始める強さの風となります。台風に「強い」という枕詞がつき、そのままの強さで上陸をした場合には、すさまじい被害が想定されるということですね。
  • さらに非常に強い台風・44m/sの風というのは、気象庁などが公開している「風の強さ」の目安表の上限を超える強さの風となり、樹木や電柱が倒れ、木造住宅が崩壊し始める強さの風と表現されています。

過去の台風の場合は

  • ちなみに2019年に千葉県を中心とした暴風被害や停電をもたらした、令和元年房総半島台風は極めて風の強い台風として甚大な被害をもたらしましたが、上陸直前の風の強さが45m/sで「非常に強い」台風、千葉市付近に上陸する際の風の強さが40m/s「強い台風」でした。
  • ちなみに昨年、2022年の9月に発生した台風14号は、観測史上最強クラス、経験したことの無い大きさ、最大限の警戒を、などと呼びかけがされましたが、この時の風の強さが、最大風速55m/sと、猛烈な台風に定義されるものになりました。
  • その後台風は鹿児島市付近に上陸しましたが、この時の中心気圧は940hPa、日本に上陸した台風としては歴代5番目の低さ、つまり強い台風だった訳ですが、その後急速に勢力を落とし、死者5名が生じる被害はもたらしたものの、史上最大規模と想定された割には被害が小さくなり、これは不幸中の幸いでした。
  • とにかく、台風の風の強さに「強い」などの枕詞がつく場合で、そのまま上陸してくる場合には、それはもう甚大な被害が生じる可能性があるのだ、と言うことを知っておいてください。

台風の大きさについて

  • 台風の凶悪さを推し量る指標、「強さ」と並んでもうひとつ存在するのは「大きさ」です。
  • 台風の大きさは、風速15m/s以上の強い風が吹く「強風域」の半径の大きさで区分されまして、これが半径500km以上になると「大型」の台風、そして強風域の半径が800kmになると、「超大型」の台風と呼ばれる様になります。
  • 過去最大の大きさとなったのは、1997年の台風13号で、日本では沖縄付近を通過したことで死者1名の被害が生じていますが、直撃を受けた中国では300名以上の死者が発生しています。
  • 大きな台風は、台風本体が接近してくる前から大雨や暴風などの影響が生じ始めます。2019年の令和元年東日本台風では、上陸直前の大きさが半径500kmと極めて大きく、風の強さも風速40m/sと甚大であったため、死者100名以上、全国140箇所以上の堤防が決壊するなど、歴史的な被害をもたらした台風となりました。

昔は…

  • ちなみに、昔は台風の強さや大きさに、弱いとか小さい、などの表現があったような気がする、と思い出される方もいるかもしれません。
  • 実は2000年6月に気象庁による台風の表現方法が変わり、従来は風速25m/s以下の台風を「弱い」台風、33m/s以下の台風を「なみの強さ」の台風と呼んでいたり、また強風域が200km以下で「ごく小さい」台風、300kmいかで 「小型」の台風、500km以下で「なみの大きさ」の台風と呼んでいました。
  • しかし台風は、台風になっている段階ですでにヤバイものです、被害が生じる現象です。弱いとか小さいとか言われますと、災害対策への本気度が全くもって上がりませんので、あえてこうした表現はされないようになりました。
  • 台風が上陸するという時点で十分に脅威ですから対策を、そして「強い」「非常に強い」「猛烈な」などの表現がつく場合は、最大級の警戒が必要になるということを、ぜひ覚えておいてください。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「台風」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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