備える.jp
サイトメニュー仕事依頼・お問合せ

Voicyそなえるらじお #602 歴史上最大の地震・1960年「チリ地震」における被害と二次災害

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #602 歴史上最大の地震・1960年「チリ地震」における被害と二次災害

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月23日(火)、本日も備えて参りましょう!

地球最大の大地震

本日のテーマはチリ地震」のお話です。

  • 今回は歴史上最大の超巨大地震、1960年のチリ地震に関するお話をしたいと思います。チリ地震と言えば、日本においてはこの地震によって生じた津波による被害に注目されがちですが、当然ながら津波被害を受けた日本だけでなく、震源であるチリではより大きな被害に見舞われています。
  • 今回は地震そのもののお話、そして次回の放送ではチリ地震による日本における津波被害のお話をしたいと思います。

前震と本震

  • 1960年5月、日本時間では5月23日の早朝4時、チリの現地時間では5月22日のお昼過ぎ15時11分、チリ中部の都市バルディビアの近海でマグニチュード9.5、日本における震度換算では7相当の超巨大地震が発生しました。
  • 20世以降に発生したマグニチュード9以上の超巨大地震は、2011年の東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震を含めて、全世界でわずか5件しかありませんが、その中でも頭ひとつ飛び抜けて最大規模の超巨大地震が、M9.5のチリ地震です。
  • このチリ地震には、2011年の東日本大震災と同じ特徴がありました。それは、本震の前に大きな前震が発生していたことです。
  • 東日本大震災では、本震の2日前、2011年3月9日のお昼前・11時45分に、マグニチュード7.3、最大震度5弱の大地震が発生していました。その翌日3月10日にも、M6.4、最大震度4の地震が発生しましたので、当時はこの2つの地震こそが、大地震の本震と余震と思われた訳です。ところが3月11日の14時46分、マグニチュード9.0、最大震度7の超巨大地震が発生したことは、ご存じの通りと思います。
  • チリ地震でも、本震の前に前震が発生していました。
  • 現地時間で1960年5月21日の早朝6時2分、マグニチュード8.2の巨大地震が突然発生し、震源に近い地域では多くの建物が倒壊し、壊滅的な被害が発生しました。その後1日半ほど、震源周辺ではマグニチュード6から7クラスの大地震が相次ぎ、翌日のお昼過ぎ14時56分には、マグニチュード7.9の大きな地震が発生しました。
  • このパターンも、まず巨大な地震が発生し、その後余震が続くというパターンでしたので、これこそが大震災そのものだと思われた訳ですが、5月22日の14時56分に生じたM7.9の大きな地震の15分後、15時11分、マグニチュード9.5の本震が発生し、すでに大きな被害を受けていた現地に、さらに巨大な被害をもたらすことになりました。これがチリ地震の本震となります。

チリ地震

  • チリ地震においても、東日本大震災と同じく、本震の前に、それこそが本震だと思われる規模の巨大地震が発生し、その後さらに大きな超巨大地震が発生するというパターンが生じました。
  • もちろん本当の本震の後も、マグニチュード6から7クラスの、単体で生じればそれだけで震災級の余震が相次いでいます。この一連の大地震の連続により、チリでは大きな被害が発生し、都市によっては住宅の9割が破壊されるなどの壊滅的な被害が生じました。
  • さらにこの地震は、直後に太平洋全域を襲う巨大津波を生じさせて、大きな被害を発生させていますが、この津波による日本への影響については、次回の放送でお話をしたいと思います。
  • また、チリ地震では噴火の誘発も多く発生しています。最も早かったのは本震からわずか38時間後に噴火をした、震源に近いコルドン・カウジェ火山の噴火ですが、震源周辺にある複数の火山の噴火が生じています。
  • 大地震が近隣の火山の噴火を誘発するケースはよくあり、日本の場合は前前々回の南海トラフ地震、1707年の宝永地震の49日後に富士山噴火が発生しています。2011年の東日本大震災では直接的な噴火誘発が生じていませんが、これは地震の規模を考えると珍しく、今後も警戒が必要ということです。

また起きる

  • チリ地震はプレートの境界で生じた海溝型の地震ですが、ということは定期的に発生している地震です。
  • この地域ではおおむね、100年間隔程度でそれなりに巨大な地震が、また300年間隔で超巨大地震が発生しているということで、前回は1575年にも同じような超巨大地震が発生していた可能性があるそうです。
  • 次の超巨大地震は、おそらく私達が生きていない時代と思われますが、それなりに巨大な地震は数十年先には生じる可能性があり、日本と同じ構造の地震国であるチリにおいても、地震対策は永遠の課題だということになります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「チリ地震」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

新着のブログ記事

ブログカテゴリ

ブログアーカイブ

備える.jp 新着記事