Voicyそなえるらじお #945 10月10日は「缶詰の日」…缶詰はなぜ腐らない?備蓄のコツは?
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、10月10日(木)、本日も備えて参りましょう!
缶詰は偉大な発明
本日のテーマは「缶詰」のお話です。
毎年10月10日は「缶詰の日」です。1987年(昭和62年)に、日本缶詰びん詰めレトルト食品協会によって制定された記念日です。語呂合わせではなく、1877年(明治10年)10月10日に、北海道石狩市で、日本初となる缶詰工場…石狩缶詰所が設立され、製造が開始されたことに由来しています。ちなみに日本で最初の缶詰の中身は、石狩川で獲られたピッチピチのサケだったそうです。
ということで本日は缶詰のお話。
缶詰は長持ち
缶詰には色々な種類のものがありますが、肉・魚・おかずなどの缶詰は、防災備蓄でもよく使われる缶詰です。これらの缶詰は3年から5年程度の賞味期限が設定されていますが、缶詰は開封しない限り中身が腐敗することがないため、缶が錆びて穴が開くなどがなければ、相当に古い缶詰でも食べられます。
食品の腐敗は、微生物の働きにより生じます。ということは、微生物がいない環境に食品をおけば、物理的に腐敗することがなくなります。缶詰の場合は、120℃以上の温度で4分以上高温高圧殺菌されますが、この時缶詰の中の微生物は全て死ぬため、その後フタを空けなければ腐敗現象は生じません。
私が食べたことのある最も古い缶詰は、賞味期限が13年半切れた桜肉の缶詰でしたが、全く問題無く、美味しく食べることができました。また海外の場合ですが、1938年にイギリスで114年間保存されていた牛肉や野菜の缶詰を開けた記録があり、特に問題無く食べられたそうです。未開封で缶に異常がなければ、自己責任ですが賞味期限はほぼ飾りになる、ということは知っておいてください。
ちなみに、究極の備蓄食としてもおなじみ、賞味期限25年のサバイバルフーズは、フリーズドライ食品を缶詰に入れて、酸素を取り除く脱酸素剤と一緒に封じられています。無酸素の状況では微生物が活動できなくなり、また缶を空けない限りは外から酸素が入ることもありませんので、長い賞味期限が設定されています。
缶詰を使おう
ということで、保存期間が長く、調理不要でそのまま食べられ、災害時には貴重となるタンパク質、美味しい肉や魚を手軽に準備できる缶詰は、防災備蓄においても必需品と言えます。ただし味の好みなどは人それぞれですので、缶詰を備蓄に加える場合は、ぜひ自分や家族の好みの缶詰を見つけて、それをストックするようにするのがオススメです。
また防災専用に缶詰を積み上げると、本番を迎えなかった場合の処理に困る恐れがあります。賞味期限が切れても問題無く食べられますが、その場合、逆にいつでも食べられるという心理になり、結局いつまでも缶詰を開封しないという問題が生じます。そのため、缶詰は普段の食事で定期的に消費し、その都度補充をする、ローリングストックか、コンテナストックの方法で備蓄するのがオススメです。
一方、これは缶詰の問題と言うより、缶詰の中身の問題ですが、肉や魚の缶詰は調理済の生食材ですので、香りが強いです。食事の際にはこのいいにおいが食欲をそそるわけですが、食事の後の缶はよく洗わないとにおいが問題になります。一方で、災害時に缶詰を必要とする状況では断水などが生じている可能性が高いため、においを漏らさない防臭袋などを準備しておき、これに食べ終えた缶詰を入れおくなどの対応が必要です。
10月10日は缶詰の日、今日の夕飯に缶詰を1缶そえてみませんか。
本日も、ご安全に!
本日は「缶詰の日」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!