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Voicyそなえるらじお #948 想定外になりがちな「地震による交通被害」の事例と実態のお話

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #948 想定外になりがちな「地震による交通被害」の事例と実態のお話

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、10月17日(木)、本日も備えて参りましょう!

想定外ではない

本日のテーマは「地震対策」のお話です。

本日10月17日は、35年前に米国サンフランシスコで発生した、ロマプリータ地震から35年目となる日です。今回はこの地震に関するお話。

ロマプリータ地震

1989年(平成元年)10月17日、現地の時刻で夕方17時4分、米国カリフォルニア州でマグニチュード7.1の大地震が発生しました。場所はサンフランシスコの南約90キロ、サンタクルーズの北東約15キロの山地です。

広い範囲に揺れが生じ、サンフランシスコでの被害も大きかったことから、サンフランシスコ地震とも呼ばれますが、サンフランシスコ地震は1906年に発生したマグニチュード7.8の大地震をさして言うことが多く、1989年の地震は震源地の山の名前から、ロマプリータ地震という名称がつけられています。

この地震は、アメリカ西海岸・太平洋岸を南北に縦断する1300kmの大断層、サンアンドレアス断層の一部で発生した地震と考えられています。この断層では度々大地震が生じていて、1906年のサンフランシスコ地震、今回ご紹介している1989年のロマプリータ地震、1994年のノースリッジ地震などでは、いずれも多くの死者が発生する大地震となっています。

ロマプリータ地震では、地震の揺れによる被害で60名を超える死者が発生、約50件の火災が発生し、1兆円近い被害総額が生じています。

死者の大部分は、1950年台の設計で作られていた高速道路の倒壊によるもので、上下の2層構造になっていた高速道路がつぶれ、上層を走っていた車は高速道路から落下する被害が、また上層の崩壊により下層の道路がつぶれ、下敷きとなった多くの車両で死者が生じました。死者は40名以上で、ロマプリータ地震の死者の7割がこの道路被害によるもので、この地震被害の特徴と言えます。

交通被害と言えば…

ところで大地震と言えば、今この瞬間に発生してもおかしくない地震が、首都直下地震です。2年前、2022年に東京都による首都直下地震の被害想定見直しが発表されましたが、想定される死者は約6000名という数値でした。この死者の大部分は、建物倒壊、家具転倒、火災などの被害によるものですが、実は交通網による死者はゼロということになっています。

鉄道事故、交通事故などによる死者は、被害想定では対象外でゼロ名なのです。そのため、首都直下地震の被害想定の話でも、鉄道や道路の被害による死者の話や、対策についてはあまり触れられていません。が、実際にはどうか、地震の発生が深夜以外の時間帯であれば、多くの被害が出ることは容易に想像されます。

来年で30年目となる阪神・淡路大震災では、高速道路の大規模な倒壊や鉄道の駅の被害が生じましたが、地震の発生が早朝であったため、道路も鉄道も利用者がほぼおらず、被害はほとんど生じませんでした。しかし地震の発生が通勤・通学時間や、日中であったら、甚大な被害が生じたと想像できます。

交通被害は想定外にされることが多いですが、全くそんなことはない、ということをぜひ知っておいてください。

本日も、ご安全に!

本日は「地震対策」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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