Voicyそなえるらじお #997 超巨大地震…2004年のスマトラ島沖地震から20年をむかえて
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月26日(木)、本日も備えて参りましょう!
世界最大級の巨大地震
本日のテーマは「スマトラ島沖地震」に関するお話です。
本日12月26日は、2004年に発生したスマトラ島沖地震からちょうど20年目をむかえる日です。ということで今回はこの地震について振り返りたいと思います。
2004年スマトラ島沖地震
2024年12月26日、現地の時刻で朝7時58分、史上空前の超巨大地震が発生しました。マグニチュードは9.1、全地球規模でも最大級の大地震、スマトラ島沖地震の発生です。
地震が発生したのは、インドネシア西部のスマトラ島北西沖のインド洋です。スマトラ島は全域がインドネシアに属しており、世界で6番目に大きな島です。ちなみにスマトラ島の次に大きな、世界で7番目の面積の島が日本の本州ですが、スマトラ島の面積は本州の2倍以上ある、大きな島です。
スマトラ島は日本と同じく、プレート境界に位置する島です。南側に位置するオーストラリアプレートが、スマトラ島などが乗っているユーラシアプレートに潜り込む位置にあります。このプレート境界で生じた海溝型の地震が、スマトラ島沖地震です。
プレート境界で生じる地震ですので規模が大きく、マグニチュードは9.1と、東日本大震災をもたらした2011年の東北地方太平洋沖地震と同じ規模の超巨大地震です。1900年以降に生じた地震の中で、マグニチュード9を超えている地震は5つしかありません。
1952年にカムチャッカ半島東方沖で生じたM9.0の地震、2004年のスマトラ島沖と、2011年に日本で生じたM9.1の地震。1964年にアラスカで生じたM9.2の地震、そして日本にも津波の被害をもたらした1960年にチリで生じたM9.5の地震です。これら、M9を超える超巨大地震のひとつが、ちょうど20年目をむかえるスマトラ島沖地震でした。
地震の被害
スマトラ島はプレート境界に位置するため、日本と同じく大地震が多い地域です。マグニチュード7から8クラスの地震が数年おきに生じている地域で、日本の三陸沖と同じような頻度で大地震が生じ続けています。また2004年の超巨大地震の後、毎年の様にM7から8クラスの地震が余震を含め生じています。
この状況は、東日本大震災後、いまだに巨大な余震が続く日本と同じ状況です。M9クラスの超巨大地震になると、余震でも本震級の大きさとなり、しかもこの活動は数十年にわたって続きますので、しばらくは大地震が生じ続けることが確定しています。
津波の被害
スマトラ島沖地震は、津波による甚大な被害の生じた地震でした。災害全体での死者・行方不明者は約23万人と、東日本大震災の10倍の被害をもたらしています。ここまで被害が拡大した理由は、津波に関する知識が広がっておらず、避難情報も発令されなかったことにあります。
太平洋の場合は、NOAA・アメリカ海洋大気庁による太平洋津波警報センターがリアルタイムで地震と津波の観測を行っており、大地震の後は即座に警報が発令されます。また太平洋の西側については日本の気象庁が監視を受け持っており、大地震から数分で津波警報が発令される仕組みがあります。
一方インド洋については、2004年にスマトラ島沖地震が生じた際には国際的な津波監視と警報の仕組みがなく、甚大な被害がもたらされました。太平洋と同じレベルで津波監視と警報の仕組みが備わっていれば、死者23万人の被害は大きく軽減されただろうとの予測もあります。
その意味で、日本の東日本大震災による津波被害も、地震と津波の監視の仕組みが万全であったため、あれでも早期避難を行うことができましたが、もし津波警報の仕組みがなかったとしたら、恐ろしい状況になっただろうなと想定されます。気象庁の仕組みは本当に素晴らしいものなのですね。
という状況もあり、2004年のスマトラ島沖地震以降、インド洋における津波警戒と警報の仕組みが整備され、2011年からオーストラリア、インド、インドネシアが連携して警報を出す仕組みが整っています。
地震の被害
スマトラ島沖地震の被害は、震源に近かったインドネシアのアチェ特別州が最大となりました。このエリアは津波の被害とあわせて地震の揺れに関する被害も甚大で、死者・行方不明者は17万人、空前の被害となりました。
インドネシア以外の国の被害は、不意打ちによる津波被害が主でした。インドの南にある島、スリランカは震源の真西にあり、巨大津波の直撃を受けたことから、2万人を超える死者・行方不明者が生じています。
さらにインドでも、特に東海岸が巨大津波の直撃を受け、島ごと水没した地域も多数生じたということです。全体で2万を超える死者・行方不明者が生じています。
震源の東側に位置するタイでは、リゾート地として有名なプーケット島を始め、インド洋に面する地域が巨大津波の被害を受け、5千名以上の死者が生じています。
このように、超巨大地震が発生すると、津波による大きな被害が生じます。早期警戒・警報の仕組みが大変重要だと言うことになります。
スマトラ島沖では現在も大きな余震、あるいは新たな海溝型の地震が続いています。インド洋に面する地域に旅行や仕事で出かける際には、地震と津波の状況にも注意することが重要です。特に遠方の巨大地震による津波は揺れを感じませんので、自分の滞在している地域で津波の警報が出た場合は、ゆれていなくても避難をする、という意識が必要になります。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「スマトラ島沖地震」でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!