Voicyそなえるらじお #999 天災は忘れた頃にやってくる…を文字通り体験した2024年
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月31日(火)、本日も備えて参りましょう!
災害は忘れた頃にやってくる
本日のテーマは「天災は忘れた頃にやってくる」に関するお話です。
防災的には激動の一年となりました2024年も、この放送時点であと数時間となりました。近年、自然災害や大事故といった脅威は、人間のカレンダーに忖度しないことが明らかとなっていますので、まだ油断はできませんが、いずれにせよ2025年は少しでも平穏な一年となることを祈ります。
毎年最終回の放送では、1年を振り返ってのお話をしているのですが、昨年2023年の放送を振り返りますと、個人的には大きな病気もなくよい1年だったと締めくくっています。ところが本年2024年は最後の最後にコロナ感染となり、年末年始の予定を全て吹き飛ばすという悲しみ、本当に最後までなにがあるか分かりません。
仕事が順調でも慢心したりサボることなく、限界まで行きなさいというなにかの声と思い、2025年もがんばって参りたく思います。ということで少し2024年を振り返りながら、今年を締めたいと思います。
2024年の地震について
2024年は1月1日の能登半島地震とともに1年が始まりましたが、この地震による余震の影響もあり、平年と比べてかなり地震の回数が多い1年でした。日本で震度1以上を観測する地震の数は、例年ですと2000回少々くらいですが、2024年は12月29日時点で3,670回と1.5倍ペースで生じています。これは能登半島地震の余震活動が大きく影響しています。
また2024年に生じた、国内で揺れを感じたマグニチュード6以上の大地震の発生数は23回ありました。このうち5回が能登半島周辺で生じたもの、6回は台湾周辺で生じたものです。
特に揺れの大きかった地震は、4月2日に岩手県沿岸北部で生じた、マグニチュード6.0、最大震度5弱の地震、4月27日に豊後水道で生じた、マグニチュード6.6、最大震度6弱の地震、そして8月8日に日向灘で生じた、マグニチュード7.1、最大震度6弱の地震です。顕著な地震被害という意味では、とにかくも能登半島周辺に被害が集中した1年であったことが分かります。
2024年の台風について
台風はどうだったでしょうか。2024年の台風発生数は26個で、これはほぼ平年並みです。2024年は台風の発生開始が遅く、台風第1号の発生が5月に入ってからというのはかなりの遅さでしたが、9月には8個の台風が発生して挽回するなどして、最終的には平年並みの状況となりました。一方、台風の上陸数は2個と、平年よりやや少ない値となっています。
ただ、そのうちひとつ台風第10号は勢力を保ったまま鹿児島へ上陸し、その後瀬戸内海を東に進み太平洋へ再度ぬけるなど、長時間にわたり影響をもたらし、全国で記録的な大雨となりました。
さらに大雨による水害では、能登半島を再び襲った奥能登豪雨を始め、6月の静岡の豪雨、7月の秋田・山形の豪雨や、松山城での突発的な土砂災害など、多くの被害をもたらしています。大地震はいつでもどこにでも一定数が生じますが、大雨は地球温暖化の影響で増加傾向にあるため、今後もより対策が必要になります。
2024年の事故について
2024年は航空機の事故が印象的な1年でもありました。日本の場合は1月2日に羽田空港で生じた、JAL機と海上保安庁機の衝突事故で1年が始まったこともありましたが、先日1年の終わりにアゼルバイジャン航空と韓国チェジュ航空で墜落事故が生じ、多くの被害をもたらしています。
航空機の事故は発生リスクは低めですが、ひとたび発生した際の状況によっては多くの方が犠牲となる大事故につながりやすく、印象に強くのこるのも特徴です。特に韓国チェジュ航空の墜落事故は隣の国のことであり、また空港設備による人災の側面も含んでいることから、あらためて取り上げたいと思います。
さらに空の話としては、太陽フレアの活動も活発な1年でした。5月のオーロラ騒動はよい自然現象でしたが、これが大規模になると最悪の大停電につながりかねない災害に発展する恐れもあります。太陽フレアの活動は、2025年まで活発な状況となりますので、しばらくニュース報道に注目が必要です。
天災は忘れた頃にやってくる
本日12月31日は大晦日となりますが、12月31日と言えば、防災の世界において重要な日付があります。それは、物理学者「寺田寅彦(てらだ とらひこ)」博士の命日が年末だと言うことです。
寺田寅彦博士は、89年前、1935年に57歳の若さでお亡くなりになっておりますが、この方をご存じでしょうか。名前は知らなくても、「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉は、聞いたことがあるかもしれません。この言葉を残したのが、寺田寅彦博士だと言われています。
日本は世界有数の自然現象大国です。日頃は、温泉や豊富な水資源という形で自然の恵みを得ている訳ですが、災害としての大地震、噴火、台風、大雨、大雪など、災害につながる可能性の高い自然災害も集中しています。
自然現象としての大地震はいつでもどこにでも発生しますが、準備が万全であれば大地震の被害は限りなく小さくできます。地面が揺れるという自然現象で人は死にません、そこに崩れる建物や転倒する家具があることで被害が発生します。
台風や大雨は毎年必ず発生しますが、沈んだり崩れたりしない場所にすんでいれば、これは豊富な水を提供してくれるイベントに過ぎません。ハザードマップ上で危険が記されている場所に住むことで、台風や大雨は災害となります。
日本において、災害につながる可能性がある自然現象は頻繁に発生します。そして防災対策を忘れると、この自然現象は「災害」となります。天災は忘れた頃にやってくる、防災を忘れなければ、天災の多くは災害にならないのです。2025年も引き続き防災を忘れず、防げるはずであった被害を出さないような1年にすることを願います。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「天災は忘れた頃にやってくる」でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!