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Voicyそなえるらじお #786 防災用途にも重要なGPS/GNSSや日本の「みちびき」の話

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #786 防災用途にも重要なGPS/GNSSや日本の「みちびき」の話

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、2月14日(水)、本日も備えて参りましょう。

GPS信号を受信しました

本日のテーマは「GNSS/GPS」のお話です。

  • 本日2月14日は、GPS衛星のうち、最初の24機が軌道に投入された日…らしいです。情報源がハッキリしないため、そうなんだくらいで捉えていただければよいのですが、とにかく今日はGPSのお話です。

世界にあるGPS

  • 自動車のカーナビ、スマホの地図アプリを始め、私達の日常生活に欠かせない仕組みがGPS(Global Positioning System)正式には、「グローバル・ポジショニング・システム」です。GPSはアメリカにより運用されている、衛星測位システム、地球上の現在位置を測定するためのシステムのことを言います。
  • 現在位置を測定するためのシステムは、アメリカのGPS以外にも存在します。GPSと同じ規模で存在しているシステムとしては、ロシアのGLONASS(グロナス)、中国のBeiDou(北斗・ほくと)、欧州連合のGALILEO (ガリレオ)などがあげられます。
  • また地域限定ですが、インドのNavIC(ナブアイシー)や、日本の準天頂衛星システム「みちびき」なども、GPSと同じ位置測定のシステムです。
  • これら、各国で運営されている全地球型のシステムを、GNSS「全地球航法衛星システム」と呼び、そのなかのひとつがアメリカのGPSや、日本のみちびき、ということになります。GNSSの中でも、世界に先駆けて整備がすすめられたのがアメリカのGPSでしたので、GPSが固有名詞的に使われていますが、最近ではGNSSという言葉に置き換えられています。
  • スマホでも「GPSボタン」などと呼んでいますが、これもそのうち、GNSSボタン、などに呼び方が変わるかもしれませんね。

GNSSによる測量

  • ところで、GNSS/GPSでは、どのようにして自分の現在地を割り出すのでしょうか。スマホや車のカーナビは、最低3機・できれば4基のGPS衛星やみちびきと通信をして、「現在時刻」を受信しています。
  • ところで、地球の裏側とテレビ中継を行うと、電波の送受信に時間差が生じるため、会話が1秒ほどズレますが、これはGPS衛星との通信でも発生します。3機のGPS衛星から受信する「現在時刻」の情報は、電波に乗って光の速さで通信されますが、実は光の速さというのはそれほど早くないため、GPS衛星の場所に応じてコンマ何秒ずつかズレて受信をします。
  • このコンマ何秒ずつかのズレを3つの衛星から受信できると、自分の位置と衛星との距離を割り出すことができ、測量の仕組みを使って現在地を計算することができ、これで自分の現在地を割り出すことができるようになります。GNSS/GPSは宇宙を飛ぶ正確な時計、スマホやカーナビで受信しているのは現在時刻の情報、これを3つ受信できると現在地が分かる、というのが仕組みです。
  • そのため、街中やトンネルなどに入り、3つの衛星を捉えられなくなると、GPSによる測量ができなくなったり、精度が低下します。これをおぎなうため、最近ではアメリカのGPSからの信号だけでなく、日本のみちびきからも現在時刻の情報を得ることで、より高精度で安定した衛星測位が行える様になってきています。

たくさん飛んでいるGNSS衛星

  • GNSS/GPSによる測位には、最低3機・できれば4基の衛星との通信が必要となりますが、地球全体をカバーするためには最低24機の衛星が必要となります。アメリカのGPSは予備を含めて30機以上が常時宇宙を飛んでいますが、
  • 中国の北斗、EUのガリレオも、同様に常時30機程度の衛星が飛んでおり、アメリカのGPSと同じ精度の測位システムを構築しています。ロシアのグロナスは24機の衛星が飛んでいますが、予備がないためかなりギリギリの運用をしている、ということです。
  • ちなみにインドのナブアイシーは7機、日本のみちびきは現在4基が運用されており、2024年と2025年に3機が追加されて合計7基態勢になる予定です。みちびきが7基体制になると、アメリカのGPSを使わなくても、常に4基の衛星と通信ができるようになるため、みちびき単独での位置測定が出来るようになります。

平和がいい

  • 世界が平和であれば、こうした各地域を飛んでいるGNSS衛星同士が情報を補完して、全地球規模で高精度な位置測定が行える様になります。特にアジアの上空には、中国・インド・日本のGNSS衛星がみっちり飛んでいますので、世界で一番位置測定システムの精度を高く使える、結構すごいエリアになるのですが、あくまでも世界が協力し合えばという前提がありますので、やはり平和維持は重要だということになりますね。
  • もともとアメリカのGPSは軍事用に開発され、それを世界平和と経済発展のためにと開放されましたが、初期はあえて精度を低くする処置が取られる時代もありました。GNSSによる位置測定は現代社会に不可欠な要素ですので、他国に命運を握られてはならぬと、ロシア、中国、EU、インド、日本は独自の衛星を確保しているということになります。
  • 宇宙方面の技術や予算が絞られて、自前の人工衛星を持てなくなると、真の意味での独立は果たせなくなりますので、日本という国を維持する為にも、JAXAにはたくさんの予算を投入して欲しいなと、思っています。

地震計もGNSSが重要に

  • ちなみに、GNSSは防災においても重要な用途を持っています。それが、全国約4000箇所に設置されている地震計の時刻合わせです。
  • 地震計の情報を正確に使用するためには、地震波の計測時刻を正確に残す必要があります。昔は、ラジオ電波による時報で時刻合わせをしていましたが、ポッポッポッポーンの時報ではどうしても正確性に限界がありますし、ラジオ受信のアンテナ維持が結構面倒でした。
  • しかしGNSS/GPSからの、時刻情報を得ることができれば、世界一正確な現在時刻をどこでも手軽に受信することができますので、現在の地震計はGNSSによる時刻合わせが基本となっています。
  • また、現在弾道ミサイル情報や避難情報が送られてくる、JアラートやLアラートも、2024年からみちびきを活用した衛星通信が使われる予定で、防災方面でもGNSSは重要だということが分かりますね。

本日も、ご安全に!

本日はGNSS/GPS」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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