Voicyそなえるらじお #788 春一番は美しい現象ではなく「災害情報」…注意すべきことは?
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、2月16日(金)、本日も備えて参りましょう。
春一番
本日のテーマは「春一番と防災」のお話です。
- 昨日2月15日、北陸・関東・四国で「春一番」が吹いたと報道されました。本日はこの春一番のお話。
春一番とは
- ところで、春一番とはそもそもなんでしょうか。一般的には、2月3日前後の立春から3月20日前後の春分までの間の時期、一番最初に吹いた、太平洋側から吹き込む温かい南風を春一番と呼んでいます。
- 実は春一番の定義は地域により少しずつ異なり、例え関東地方の場合は「風速8m/s以上の南風で、気温が前日より高く、日本海側に低気圧があること」とされていますが、東海の場合は気温が平年より高いことが条件だったり、近畿の場合は気温が平年より高くさらに前日を超えることが条件であるなど、少しずつ定義が変わります。そのため春一番は、全国一律ではなく、地域ごとに発表されています。
- また、北海道・東北は、春一番の季節でもまだ寒いため発表はされておらず、逆に沖縄はすでに暖かくなっているじきであるため、やはり春一番は発表されません。またハッキリした理由が分からないのですが、山梨と長野にについても、強風が吹きづらいという理由で春一番の発表がされない地域になっているそうです。
春一番は災害の知らせ
- ところでこの春一番、なんとなく響きが美しいですし、春の訪れを知らせる気象現象ということもあり、ポジティブな印象に見えますが、実際には災害をもたらす悪いお知らせの要素が強くあります。
- そもそも、諸説ありますが、春一番の語源は災害です。舞台は長崎県の壱岐島(いきのしま)、地元の漁師たちが毎年2月から3月の時期に生じる南からの暴風を恐れていたということですが、この暴風を「春一」とか「春一番」と呼んでいたそうなのです。
- ルーツとしては1859年(安政6年)の3月17日、壱岐島周辺では春一番と思われる暴風が吹き、魚の漁に出ていた漁船が転覆、53名の死者を出したそうです。これ以降、この南風を春一番などと呼ぶようになったそうなので、そもそも春一番というのはこの時期に注意すべき、強い暴風のことを指すのです。
春一番による災害
- では、春一番そのもの、あるいはこの時期について、防災的にはどのようなことに注意すべきでしょうか。昨日2月15日も春一番が吹いた地域はものすごい強風となっていましたが、まずはこの強風そのものへの警戒が必要です。
- 春一番が吹くかも、と天気予報などで見聞きした際には、台風並みの暴風への警戒、場合によっては雨などを伴う暴風雨になることもあります。さらにこの暴風により海では高波が生じますので、絶対に海に出てはいけません。
- さらに温かい南の風が吹き込みますので、雪崩などへの警戒が必要です。スキーやボードを楽しもうという場合も、春一番が吹く状況においては強風でひどいコンディションになりますい、大規模ななだれの発生に注意が必要となります。
春一番の後は
- 冬の気圧配置は西高東低になりやすく、大陸側の高気圧から、太平洋側の低気圧に向かって、大陸の冷たい風が吹き込む形が基本です。これが日本海で雪雲を発達させて、大雪などをもたらします。このとき、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)が発生すると、北陸地方に災害クラスの大雪が生じることは、先日の放送でもお話しました。
- 一方、春一番は、西高東低の気圧配置が崩れて、日本海に低気圧が発達することで生じます。日本海に低気圧が発達することで、太平洋側から温かい風が吹き込み、これが春一番の強風をもたらします。
- しかし、この暖かさは長続きせず、春一番の後は日本海の低気圧が太平洋側へ移動し、ふたたび西高東低の冬型の揮発配置となり、急激に寒さが戻ることが多くあります。そのため、春一番の翌日などは、急に気温が低下するなど、寒暖差への備えが必要です。
- 一方で、いよいよ春が近づいていますので、花粉などのシーズンが始まります。花粉は災害です、しかも人災の側面があります、花粉治療は保険適用にすべきですし、花粉症の薬は国から配布すべきだと思っていますが、それはまた別の機会に。
- ということで、春一番は災害に注意、と覚えてください。
本日も、ご安全に!
本日は「春一番と防災」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!