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Voicyそなえるらじお #811 災害の初動対応は経験ではなく数字で判断…過去の能登半島地震の話

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #811 災害の初動対応は経験ではなく数字で判断…過去の能登半島地震の話

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、3月25日(月)、本日も備えて参りましょう!

2007年能登半島地震

本日のテーマは「能登半島地震」のお話です。

  • 2024年1月1日に発生した能登半島地震から、まもなく、まる3ヵ月が経過します。いまだ余震が継続し、現在も約9,000名以上の方が避難所での生活を続け、また4分の1の地域では断水が解消されていません。いまだ復興ではなく復旧のフェーズが続く能登半島地域では、まだ大地震は終わっていません。
  • さて、本日は能登半島地震のお話なのですが、2024年の地震ではなく、ちょうど17年前の今日、2007年(平成19年)3月25日に発生した、2007年能登半島地震のお話です。

2007年能登半島地震

  • 2007年(平成19年)3月25日の午前9時41分、能登半島の西側、輪島市と志賀町の街境あたりから少し海側へ移動した所、能登半島沖の深さ11キロ地点で、マグニチュード6.9、最大震度6強を観測する大地震が発生しました。
  • 震度6強を観測したのは、石川県七尾市、輪島市、穴水町と、2024年の能登半島地震よりも西側、能登半島の付け根あたりで大きな揺れに襲われました。2007年の能登半島地震の発生です。
  • この地震による被害としては、死者1名、重傷者88名、住宅3万棟に被害が発生し、うち686棟が全壊しました。道路、鉄道、空港等への被害の発生や、1万戸以上の断水、10万戸以上の停電が発生するなど、ライフランへも影響が生じました。
  • 幸い、震度7を観測する地域が生じていなかったり、津波や地震火災の発生もなかったため、いわゆる大震災クラスの被害にはなりませんでしたが、石川県では史上初めて震度6弱以上を観測するなど、地震が生じないと思われていた地域での大地震は、被害以上の驚きをもたらしたことが特徴でした。
  • ちなみに能登半島では、昨年2023年にも大地震が発生していました。2023年5月5日のこどもの日、能登半島の東側、珠洲市の沖合、深さ12キロの地点で、M6.5、最大震度6強の大地震が発生しました。この地震による被害は、死者1名、重傷者2名、3千棟以上の家屋に被害が発生し、うち40棟が全壊しました。
  • 5月5日の地震でしたので、GWの最中の酷いタイミングで生じるものだと感じましたが、まさかその半年後、さらに酷いタイミングである1月1日に、より大きな地震が発生するとは、なかなか想像することは難しかったと思われます。

過去の大地震

  • 2007年、2023年、2024年と、17年の間に大きな地震が3回発生した能登半島。もともと大きな地震が起きないと言われていた地域で生じた大地震は、地元の地震対策や意識に影響を与えていたのでしょうか。
  • 私自身は能登半島に地縁も知合いもおらず、地震のお話を聞いたこともありませんので、ここからはあくまでも個人的な見解としてのお話ですが…
  • 地震の少ない地域で初めて生じた2007年の能登半島地震、その15年後に生じた2023年の能登半島地震、いずれも死者の発生や各種の被害は生じていましたが、幸いなことに記録に残る大震災というほどではありませんでした。
  • 確かに大きな地震はきたが、街が壊滅する様な被害ではなかった、これで地震のエネルギーが開放されて、しばらく地震が起きないのであれば、まぁまぁよかったかもしれない。など、自分や家族が直接的な被災者でなければ、正直「まぁこんな物か」という感想を抱くような地震だったかもしれません。
  • 2024年1月1日の能登半島地震の評価はこれからですが、この地震の発生直後の行政の対応などを見ていると、2007年と2023年の地震の延長で対応を行っていた様にも感じられます、もちろん、あくまでも個人的な印象ですが。

教訓は生かされたのか

  • ところが、この地震をエネルギーの大きさで比較すると、 同じような地震として捉えてはいけないことが分かります。2024年の能登半島地震はM7.6、2023年はM6.5、2007年はM6.9です。数字の上では1前後しかかわりませんので、なんとなくどれも「大地震」と括りたくなりますが、
  • 2023年と比較すると、2024年の地震の大きさは約44倍。
  • 2007年と比較すると、2024年の地震の大きさは約11倍。
  • つまり、2024年1月1日の地震は、2023年と2007年の被害を足し合わせて、10倍以上の被害が生じてもおかしくない規模の地震だということが分かりますし、実際に生じた被害の大きさは10倍ではきかないような大震災となった訳です。
  • それだけM7.6という地震が巨大なものであったということになりますが、2024年の地震では、津波、土砂災害、地震火災等も発生し、まったく異なる災害としての初動対応が必要であったということになります。
  • 過去の被災経験を持っていると、その経験に当てはめて物事を考えたくなりますが、数字が分かっている現象については、その数字上での比較や被害の想定を必ず行うべきなのです。これは地震だけでなく台風や大雨も同様です。
  • 過去の経験はそのまま使うのではなく、アレンジが必要、そんなお話でした。

本日も、ご安全に!

本日は「能登半島地震」のお話でした。

それでは皆さま、引き続きどうぞ、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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