Voicyそなえるらじお #847 究極の防災は宇宙開発…短期・長期両面で宇宙を見上げることが大切
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月14日(火)、本日も備えて参りましょう!
コロンブスにならなければいけない
本日のテーマは「防災と宇宙開発」です。
ここ数回、太陽フレアに関するお話をして来ました。一連の影響は収束しつつありますが、太陽における11年周期の極大期を迎える、2024年から2025年頃までは、引き続き太陽関連のニュースにも注目をして参りたいと思います。
今回は定期的にお話をしているテーマ、防災と宇宙開発のお話です。
防災と宇宙
防災において宇宙開発は重要な要素を多く含みます。
ひとつは備える対象としてのリスク要因に、宇宙ハザードがあることです。今回話題となった太陽フレアの影響を始め、恐竜を滅ぼした原因とも考えられている天体衝突、また可能性は低いものの生物を滅亡させる可能性があるガンマ線バーストなど、防災の対象となる宇宙ハザードには様々な種類のものが存在します。
太陽フレアの影響は前回・前々回の放送でお話をしましたが、100年に1度の大規模な太陽フレアによる被害は、M9クラスの超大地震や超巨大噴火に匹敵する被害をもたらす可能性があり、しかも発生確率はこうした超巨大持参や超巨大噴火よりも高いときています。太陽フレアという現象は、太陽系内で生じる最大規模の自然現象ですが、これに対する備えは想定外ではなく想定内にする必要があります。
天体衝突は最悪クラスの太陽フレアよりも発生頻度が低いものの、過去にさかのぼれば定期的に発生していて、しかもいつでも生じる可能性がある災害です。太陽フレアは最悪クラスのものが発生しても人類は分かりませんが、地球の生物が滅びることはない、と想定されていますが、最悪クラスの天体衝突は人類はおろか全ての生命を滅ぼす恐れもあり、無視することができません。
ガンマ線バーストは、超新星爆発と呼ばれる、超巨大な恒星が寿命を迎える時に生じる爆発で発生すると思われている現象ですが、太陽系はおろか宇宙規模でも最大クラスの自然現象のひとつです。これまでに観測されているガンマ線バーストは、全て銀河系よりも外の宇宙で発生していますが、条件がそろえば地球を直撃する可能性もあり、その場合は全ての生命が滅亡すると想定されています。
最悪クラスの天体衝突やガンマ線バーストは、正直規模が大きすぎて、現在の人類にどうこうできる自然現象ではありませんし、究極的な対策としては地球以外にすむという方法しかありません。つまり宇宙ハザードに対する防災を突き詰めると、人類は地球以外の居住先を複数確保し、どこかの星が滅亡しても、人類は残る、という状況を作らなければならないのです。
なんともスケールの大きな話ですが、人類レベルでの防災を極めるならば、早く宇宙進出を行っていかなければならないのです。
宇宙に関心を
人類が初めて宇宙空間へ飛び出しのは、1961年。旧ソ連のユーリイ・ガガーリン飛行士がボストーク1号で地球を周回したことが最初となります。「地球は青かった」とか「神はいなかった」といった言葉が有名ですね。また人類が初めて地球以外の天体に到達したのは、1969年のアポロ11号による月面着陸が最初です。
つまり、本格的な宇宙時代を迎えてから、まだ100年も経過していないのです。地球の衛星まではたどり着けましたが、最寄りの惑星にはまだ到達できておらず、太陽系以外への恒星系への進出に関しては無人機でも達成できていません。宇宙に関する取り組みレベルとしては、まだまだひよこレベルというのが現状です。ちなみにひよこのお土産としては、銘菓ひよこよりも、静岡のこっこの方が好きです。
技術の進歩には時間が必要です。太陽フレアに対しては、宇宙天気予報などの取り組みがようやく始められ、天体衝突についてはスペースガードと呼ばれる天体の観測プロジェクトが存在していますが、こうした取り組みを知らない方もまだまだ多いと思います。
また現在人類が恒久的に宇宙へ存在できる施設は、国際宇宙ステーションISSが唯一ですが、ロシアによるウクライナ侵攻により、ISSへの到達手段のひとつであるソユーズ宇宙船が使用できなくなりかけるなど、宇宙へのアクセスもまだまだ確立されていません。
ちなみにロシアのソユーズ宇宙船は先月4月に、ISSの宇宙飛行士3名を地球に帰還させていますが、宇宙開発に関しては国際的な協力が不可欠で、地上でいざこざしているような余裕は、本来人類にはありません。10年後に巨大隕石が地球に衝突する、ということが判明した場合、現時点の宇宙技術ではなすすべがなく、滅亡を待つことしかできないのが私たちなのです。
ということで、将来的な宇宙開発は不可欠ですが、まだまだ予算も時間もかかるのが現状です。宇宙関連技術は、一朝一夕で得られるものではなく、また継続したプロジェクトが存在しなければ維持することもできません。昨今、日本の未来に関する暗い話題が多いですが、少なくとも現時点において、日本は自力で宇宙空間へアクセスができる数少ない国家です。
かつての米国・ソ連の宇宙開発競争ではありませんが、宇宙技術を持つということは、その国が大国であることを示すものでもあります。日本が保有する宇宙技術にもっと関心を寄せ、なんとかこの領域でくらいついて行くことが、長期的な防災の面でも、直近における明るい話題の面でも,大変重要であると感じています。
本日も、ご安全に!
本日は「防災と宇宙開発」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!