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Voicyそなえるらじお #850 防災における「良い指示と悪い指示」アドバイスの注意点

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #850 防災における「良い指示と悪い指示」アドバイスの注意点

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月17日(金)、本日も備えて参りましょう!

魚ではなく釣り竿を

本日のテーマは「#良い指示と悪い指示」のお話です。

今回はVoicyのデイリートークテーマから、「#良い指示と悪い指示」を取り上げ、防災の考え方における良い指示・悪い指示についてお話します。

大地震、机に潜ろう…

防災に関するアドバイスを人にするときの表現方法、あるいは世の中の防災情報を自分で読み解く際の解釈には、注意すべきことがあります。それは、そのアドバイスの目的を理解すると言うことです。

例えばよくある「大地震が発生したら机に潜れ」というアドバイス。これを言葉の通り受け止めると、どこで大地震が発生したとしても、とにかく机的なものに潜りたくなります。

自宅の廊下で大地震が生じた際、その場にしゃがめば良いのに、わざわざ危険なキッチンへ移動してテーブルに潜る。学校のグラウンドで大地震が生じた際、その場にしゃがめば良いのに、わざわざ校舎の中に走り込んで机に潜る。そうではないはずです。大地震で机に潜るのは、机に潜ることが目的なのではなく、頭上からの落下物を避けることが目的であり、さらに言えば身の安全を確保することが重要だからなのです。

本来すべきアドバイスは、「大地震が発生したら、身の安全を確保することが最優先、頭上からモノが落下してきそうなところでは、机などに潜るのも身を守る方法のひとつです。」こういう言い方になります。

大地震、ドアを開けよう

同じような事例としては、「大地震が起きたらドアや窓を開けて、閉じ込められない様にしよう」というアドバイスがあります。これも言葉の通りに受け止めると、大きな地震が発生したら、とにかくドアや窓に駆け寄りたくなりますが、これは逆に危険を招くこともあります。

窓を開けようとして、窓ガラスの飛散に巻きこまれたり、ドアを開けようと頑張って移動しようとして転倒してきた家具や落下物に巻きこまれたり、下手に動くことは危険です。ドアや窓が歪んで開かなくなる規模の地震に巻きこまれた場合、ほとんど身動きは取れず、その場にしゃがみ込むことがせいぜいです。

大地震が起きたらドアや窓を開けるのは、例えば旧耐震基準の家で、揺れの中を危険を冒してでも建物から脱出しないと倒壊の恐れがあるとか、出口がひとつしか無い地下室にいて、転倒物や落下物よりも閉じ込めの危険の方が大きいとか、それをした方がより安全に近づく場合にすべき行動です。

そもそも、「うわ、地震だ!ドアを開けなきゃ、いや、机にもぐらなきゃ、どっちなんだい!どっちなんだい!」とパニック状態に陥ってしまう恐れもあります。

家具を固定しよう…

もうひとつ事例を、大地震対策として「家具の固定」が言われますが、これも目的は「家具を固定する」ことではなく、大地震に見舞われた際に、家具や家電から身を守ることが目的です。

そのため、ただ「家具を固定しましょう」だけでは「悪い指示」で、もう少し深掘りできるならば、「地震の揺れから身を守るため、部屋にモノを置かないか、倒れても影響のないところに置くか、それもだめなら最後の手段として家具を固定しましょう」など、目的と複数の方法を提案するのが「良い指示」と言えます。

防災備蓄をする際にも、「1日当たり、1名につき、水を3リットル備蓄」というのはあくまでも目安であり、水以外の飲み物を混ぜたり、ウェットティッシュを追加したり、あるいは熱中症対策などを考慮して水を増やしたりと、「水3リットル」を目的にしないことが重要なのです。

防災アドバイスをする際には目的を伝える、防災アドバイスを受ける際にはなぜそれを行うのかを読み解く。防災グッズや防災備蓄をする際には、それを買えば命が助かるのか、身の安全を守るためにはどれを買うのがよいのか、ということをぜひお考えください。

本日も、ご安全に!

本日は「#良い指示と悪い指示」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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