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Voicyそなえるらじお #851 避難勧告廃止から3年…水害シーズン前に「避難情報」の復習を

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #851 避難勧告廃止から3年…水害シーズン前に「避難情報」の復習を

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月20日(月)、本日も備えて参りましょう!

もう3年

本日のテーマは、「避難情報」のお話です。

3年前の今日、2021年5月20日、大雨などの災害時に市町村が発表する避難の情報から「避難勧告」が廃止されて、「避難指示」に一本化されるなど内容が大きく変わりました。例年ですと、沖縄・奄美地方が梅雨入りする今日この頃、改めて避難情報についておさらいをしておきましょう。

災害対策基本法

避難に関する情報は、警戒レベルという1から5までの数字と、行動を表す言葉で発表されます。私達が気にすべきは、警戒レベル3・4・5ですが、具体的には「Lv3:高齢者等避難」「Lv4:避難指示」「Lv5:緊急安全確保」の3つがあります。ところでこの情報、誰がどんな権限で発表するのでしょうか。
避難情報は、街の権力者が、自らの特権を傘に、市民の逃げ惑う姿を楽しむために発表されるものではありません。そんなことをしたら、警察に逮捕されるでしょう。
避難情報は、日本の法律に基づいて、自治体の市長・町長・村長が発表することになっています。
1961年(昭和36年)に制定された法律に、「災害対策基本法」という法律があります。これは、1959年に発生した、現在も最悪の水害に位置づけられる、伊勢湾台風のあまりにも甚大な被害から、国民を守るために作られた法律です。
この法律の中に、次の様な条文があります。
災害対策基本法 第六十条

  • 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを勧告し、及び急を要すると認めるときは、これらの者に対し、避難のための立退きを指示することができる

この条文を元にして行われるのが、「避難勧告」や「避難指示」だったのですが、法律が作られてから60年目…2021年5月20日の改正により、大きく表現が変わった訳です。改めて、自治体から発表される避難に関する情報、警戒レベル3・4・5の内容について、確認しておきましょう。

警戒レベル3

警戒レベル3「高齢者等避難」は、避難に時間がかかる方々が行動を始める合図となります。
例えば気象庁からの情報においては、大雨警報などの発令が警戒レベル3に該当しますが、「高齢者等避難」が自治体から発表さた場合は、高齢者だけでなく、赤ちゃんや乳幼児がいる家庭、介護が必要な方や障害を持つ方がいる家庭、またペットがいる家庭など、通常よりも避難に時間がかかる家庭については、早めに指定された避難場所、または自治体が早期に開設をしている自主避難場所などに避難します。
2021年の改正では、従来の「避難準備・高齢者等避難開始」という言葉から、「高齢者等避難」という言葉に変わりました。

警戒レベル4

警戒レベル4「避難指示」は、その場にとどまると命に危険が生じる全ての方々が、避難を行い、完了すべき段階です。逆に言えば、マンションなどの上層階に住んでおり、その場にとどまっても危険がなければ、避難の必要はありません。
自治体から避難指示が発表された場合は、大雨による浸水や土砂災害などの影響で、その場に留まると危険な場合は避難場所などへ移動を行います。
特にハザードマップで、家屋倒壊等氾濫想定区域や、土砂災害警戒区域などの色が塗られている場合や、自宅が水没する深さまで浸水が生じる恐れのあるような色が付いている場合は、避難指示の段階で必ず移動を行います。
逆に、ハザードマップで色が全く付いていない場合、明らかに浸水や土砂災害が発生しない場合などは、屋外への避難の必要はありませんので、自宅に留まることになります。ただ、停電や断水などが発生する恐れはあるため、備蓄品の確認などは日頃から行うようにしましょう。
2021年の改正では、これまでの「避難指示(緊急)」および「避難勧告」から、「避難指示」に一本化されました。かなり分かりやすくなりましたね。

警戒レベル5

警戒レベル5「緊急安全確保」は、文字通り「命を守る行動」をすべき段階として発表されます。警戒レベル3は高齢者等避難、警戒レベル4では避難指示と、いずれも避難という言葉が入っていますが、警戒レベル5の段階では「緊急安全確保」という言葉になり、避難が間に合わないことを想定した対応を個々が取るように、という意味がこめられいます。
すでに災害が発生している状況も考えられるため、避難場所などへの移動、水平避難は手遅れになっている可能性もあります。
レジャー用のライフジャケットを身につけて、自宅の2階以上へ移動する。間に合わなければなにか浮くものを持って屋根に逃げる。など、死なないために何でもする段階ですので、警戒レベルが5になる前に、避難を完了させておくことが重要になります。
2021年の改正では、これまでの「災害発生情報」という言葉から、「緊急安全確保」という言葉に置き換わりました

予知のできない大地震と異なり、水害は逃げれば必ず助かります。うちは平気、今回は大丈夫と考えず、毎回逃げることが重要です。毎回逃げるのが面倒であれば、逃げなくて良い場所へ引越しをするしかありません。

本日も、ご安全に!

本日は「避難情報」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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