備える.jp
サイトメニュー仕事依頼・お問合せ

Voicyそなえるらじお #855 台風シーズン到来…台風の「大きさ」と「強さ」の意味をおさらい

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #855 台風シーズン到来…台風の「大きさ」と「強さ」の意味をおさらい

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月24日(金)、本日も備えて参りましょう!

複合災害の季節

本日のテーマは「台風の強さと大きさ」のお話です。

前回の放送では台風予報のお話をしましたが、いよいよ2024年台風第1号が発生しそうだということで、気象庁の台風情報WEBサイトにも進路図が登場しました。今年も台風シーズンの始まりです。台風や大雨シーズンが到来するということは、大地震が発生した際に、水害との複合災害になる可能性が高いシーズンが到来したということで、我が家の備えが特に重要な季節になったとも言えます。

本日は改めて台風のお話です。

台風の上陸

台風第1号の発生が例年よりも遅い2024年ですが、ところで日本に上陸した台風のなかで、上陸日時が早かった台風はどのようなものがあるのでしょうか。

観測史上最速で日本に上陸をした台風は、1956年(昭和31年)の台風第3号で、4月25日に鹿児島県の大隅半島に上陸しました。上陸時点で勢力は弱まっており、大隅半島に到達した瞬間に消滅しています。4月は日本近海の海水温も低く、勢力を維持できずに、維持と根性だけで日本までたどり着いた台風と言えます。なお4月以前に上陸した台風は、この昭和31年台風第3号が唯一となります。

5月に上陸を果たした台風は2つあります。ひとつは1965年(昭和40年)の台風第6号です。5月27日に千葉県の房総半島に上陸し、そのまま通過して太平洋へ進み、宮城県沖で力尽き温帯低気圧になりました。

もうひとつは2003年(平成15年)の台風第4号です。5月31日に九州の東の海上を北上し、豊後水道を経由して愛媛県宇和島市付近に上陸しました。上陸直後に力尽きて温帯低気圧に変わりましたが、気合いでそのまま北上を続け、日本海から青森を経由して再度太平洋へ移動、その後オホーツク海まで移動してタラバガニなどをビビらせながら消滅しています。

この台風は前線を大きく刺激し、西日本から東日本の太平洋側に猛烈な雨を降らせ、1名が死亡、土砂災害や家屋の浸水などの発生など、5月に上陸しただけでも珍しいのですが、大雨の影響で大きな被害をもたらしました。

4月から5月にかけての台風接近・上陸はめずらしいものの、梅雨の梅雨前線を刺激することで大雨をもたらすことがあり、台風の進路や大雨の予報によっては警戒が必要になることもあります。しばらくはお天気ニュースに注目してください。

台風の大きさ

改めて、台風情報を見る際のポイントについておさらいをしておきましょう。台風情報には、台風の大きさと強さが登場します。台風と単なる大雨の違いは、強い風が吹いているかどうかです。台風の大きさは強い風が吹く範囲、台風の強さは最大風速で分類されます。この際には中心気圧などは関係無く、台風の大きさと強さは風の強さで決まります、台風の世界では強い風を広く吹かせられる台風が一番偉いのです。もちろん、風が強い台風は気圧も低くなりますので、中心気圧の低さも目安としては重要です。

まずは台風の大きさですが、風速15m/s以上の強風域の半径を表しています。

台風の大きさは2段階の階級で表現されます。風速15m/s以上の強風域が半径500キロから800キロ未満になると「大型」の台風に。強風域が半径800km以上になると「超大型」の台風になります。半径500キロ未満の台風は、特に大きさに関する階級はつきません。

大型の台風の半径500キロと言えば、台風が東京に存在した場合、西は大阪、北は青森あたりまでが強風域に含まれる、ものすごく大きな台風ということになります。まして超大型の台風ともなれば、半径800キロが強風域になりますので、台風が東京にある場合は本州・四国・北海道の南が強風域に含まれる、とんでもない規模の台風ということになるのです。台風の大きさに「大型」とか「超大型」という言葉がついた場合は、強い風に対して最大限の警戒が必要となります。

台風の強さ

一方、台風の強さは3つの階級に分かれています。最大風速の強さで分類され、最大風速が33m/s~44m/s未満で「強い」台風。最大風速が44m/s~54m/s未満で「非常に強い」台風。そして最大風速が54m/s以上になると「猛烈な」台風と呼ばれます。

強い台風の風速33m以上とは、その辺の小石が勝手に飛び始めたり、細い木が折れ始めたり、看板が吹き飛ばされたりする風速で、災害をもたらします。3つの階級の中では最も低い強さですが、「強い」という枕詞がついている時点で、もう十分に危険なのです。オリンピックの銅メダル選手と考えれば良いでしょうか。表彰台に上がっている時点で十分すごいということですね。

非常に強い台風の風速44m以上とは、トラックが横転し、電柱や街灯が倒れ、木造住宅が倒壊し始める強さの暴風で、教科書に載るレベルの台風です。非常に強い台風が接近している状況においては、外出を控え、モノを片付けて、雨戸を閉め、停電や断水に備えるレベルと言うことになります。

そして猛烈な台風の風速54m以上というのは、木造住宅がバラバラになり、樹木が根こそぎ吹き飛ばされ、鉄塔が曲がることもある強さのある暴風です。最大規模の警戒態勢のもと、命を守る為の直前対策が必要になり、場合によっては広域避難をしてもよいレベルの台風になります。

ちなみに、死者100名以上という近年最悪の被害をもたらした、2019年の令和元年東日本台風は、発生後すぐに猛烈な台風に発展し、そのまま日本へ接近、静岡県の伊豆半島に上陸したタイミングでもまだ「大型」で「強い」勢力を維持しており、甚大な被害をもたらしました。

また同じ2019年の令和元年房総半島台風では、千葉県を中心に甚大な暴風被害と大規模な停電をもたらしましたが、この台風は東京湾に侵入する時点で「非常に強い」勢力を維持し、千葉市付近に上陸するタイミングでも「強い」勢力を維持したまま関東地方を蹂躙しました。

「強い」勢力の台風ですら最悪レベルの被害をもたらしますので、上陸時に「非常に強い」または「猛烈な」勢力を維持しているような場合には、最大限の警戒が必要だということになります。大きさや強さの階級があると、最上位以外はたいしたことなしと捉えられがちですが、台風については階級がついた時点で最悪クラスだという認識が必要です。これから始まる台風シーズン、台風情報にはぜひ注目してください。

本日も、ご安全に!

本日は「台風の強さと大きさ」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

新着のブログ記事

ブログカテゴリ

備える.jp 新着記事