Voicyそなえるらじお #857 5月28日より線状降水帯発生予測が詳細化!何が変わるのか?
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月28日(火)、本日も備えて参りましょう!
恐怖の大雨
本日のテーマは「線状降水帯」のお話です。
本日2024年5月28日から、線状降水帯の予測が改善され、これまでよりも細かい情報が発表されます。ということで今回は、線状降水帯の発生予測に関するお話。
線状降水帯
大雨、落雷、竜巻、雹などをもたらす積乱雲、あっという間に発生し、通常は30分程度で消えてしまう現象ですが、これが同じ場所で数時間に渡り連続発生し、局地的に激しい雷雨などをもたらすことがあります。これが線状降水帯です。水害リスクが急激に高まる恐れのある、恐ろしい現象です。
近年、線状降水帯による水害が多発しています。
- 2023年7月に発生した全国的な大雨では、14名の死者・行方不明者が発生し、3,000棟を超える住宅に被害が生じましたが、特に被害の大きかった地域では線状降水帯が発生しています。
- 2022年9月の大雨では、特に静岡県で大雨となり、死者3名の被害が発生した他、5,000棟を超える住宅で床上浸水が発生し、さらに浄水場の取水口が大雨による土砂や流木で閉塞し、大規模な断水が長期間生じるなどの被害が発生しました。この時も台風により前線が刺激され、線状降水帯が発生して大きな被害をもたらしています。
- 2021年8月に西日本を襲った大雨では、13名の死者が発生し、6,000棟を超える住宅で被害が生じましたが、この大雨でもやはり線状降水帯が発生し、平成30年の西日本豪雨を超える大雨が全国で観測されました。
このように、温暖化による大雨の増加は線状降水帯被害も増やしており、梅雨や台風シーズンの被害を大きくする要因になっています。
線状降水帯をもたらす積乱雲は、あっという間に発生することから事前予測が難しく、予報を出すことが難しいと言われていました。しかし2021年に速報が、2022年に予測が開始され、2023年にも予測精度が向上する取り組みが行われました。そして線状降水帯予測が開始されて三年目となる2024年、さらに精度の向上が行われることになり、それが本日5月28日より運用開始となります。
線状降水帯発生予測 Ver3
線状降水帯発生予測、2023年版では、全国を11のブロックに分けた広域な地域に対して、半日前から予測を発表する取り組みがなされていました。
これが2024年版では、全国を都道府県単位に分けて、半日前から予測を発表するように改められます。具体的には、北海道は7つの地域、東京都は3つの地域、鹿児島県は2つの地域、沖縄県は4つの地域、そしてその他の地域は府と県の単位で、情報が発表されます。
昨年までの11ブロックでは、発表の範囲がかなり広めとなりますので、空振りとなるような地域も多く生じていました。そのため避難や防災の促しをする情報としてはやや使いにくかったのですが、これが都道府県単位になることで、より実用的な情報として扱うことが出来るようになります。
また、気象庁のキキクルやナウキャストなどの雨雲レーダーページには、昨年までと同様に、現在から30分先までの線状降水帯発生地域を示す表示が出されますので、都道府県単位の事前情報を対策のトリガーに、キキクルなどのリアルタイム情報を避難のトリガーなどに活用することができます。
線状降水帯は発生から大雨までの時間が短く、逃げる間もなく浸水などが生じることもあります。そのため、線状降水帯の予測だけを事前準備や避難の合図にするのではなく、お天気予報などによるその他の呼びかけや、自治体からの避難指示をベースに、参考情報として線状降水帯の情報を扱うようにして下さい。
最近見るべき情報が増加し、なにをどう扱えばよいのか、分かりづらくもなって来ています。そのため混乱しそうな場合は、気象庁からの情報はいったん忘れて、とにかく自治体から発表される避難情報、警戒レベル3:高齢者等避難、警戒レベル4:避難指示、この2つを判断基準にしてください。
本日も、ご安全に!
本日は「線状降水帯」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!