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Voicyそなえるらじお #843 半島先端の大地震「伊豆半島沖地震」から50年…得られる教訓とは

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #843 半島先端の大地震「伊豆半島沖地震」から50年…得られる教訓とは

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月9日(木)、本日も備えて参りましょう!

50年目

本日のテーマは「伊豆半島沖地震」です。

伊豆半島沖地震

ちょうど50年前の本日、1974年(昭和49年)5月9日の朝8時33分、静岡県の伊豆半島沖、深さ9キロ地点で、マグニチュード6.9の地震が発生しました。最大震度は伊豆半島の南端・石廊崎で観測された震度5でしたが、死者30名、家屋の全半壊370棟と、大きな被害を生じさせました。伊豆半島沖地震と呼ばれる震災です。

地震が発生したのは、伊豆半島の最南端、南伊豆町です。マグニチュード6.9の大きな地震が深さ9キロと浅い地点で発生した割には、最大震度は5と小さく感じますが、当時震源の直上には地震計がなく、この震度5は震央から5キロから10キロほど離れた石廊崎で観測されたものです。

震央直上に地震計があれば、震度6という記録になっていた可能性があります。ちなみに石廊崎は伊豆半島最南端の岬ですが、台風接近時の中継や台風の位置を示す場所としてよく登場しますね。千葉県の犬吠埼、和歌山県の潮岬、高知県の室戸岬、鹿児島県の佐多岬などと同じような位置づけかなと感じております。

また震源が陸地だけでなく海にも広がりましたので、津波も観測されています。幸い高さは最大でも12センチと、被害の発生はありませんでした。この地震の被害の多くは、土砂災害によるものです。

伊豆半島沖地震の被害

伊豆半島沖地震の被害は、震源近くの南伊豆町に集中しました。とりわけ死者30名中27名が同一の地区で生じていますが、これは大規模な地すべりが発生し、集落をまるごと飲み込む被害が発生したためです。

山の斜面が崩壊し、長さ350メートルに渡って土砂が集落を襲い、震災による犠牲者のほとんどがこの地域で生じることになりました。被害を受けた地域は区画整理がされ、近くには「伊豆半島沖地震遭難者慰霊碑」が設けられています。

半島の地震

伊豆半島沖地震は、伊豆半島の先端で発生しましたが、これは2024年1月1日に発生した、能登半島地震と同じ、半島先端での大地震です。伊豆半島沖地震は、各地で土砂災害等が発生しましたが、能登半島地震と比較すれば、小規模な被害にとどまっています。これは単純に、地震の規模が大きく異なることもひとつの要因です。

能登半島地震のマグニチュード7.6と、伊豆半島沖地震のマグニチュード6.9を比較しますと、能登半島地震の大きさは、伊豆半島沖地震の11倍以上もありました。伊豆半島沖地震は、2023年5月5日に能登半島で発生した、マグニチュード6.5・最大震度6強の大地震に、むしろ被害や状況が近いと言えます。

また伊豆半島沖地震が発生した50年前、1974年は、現在と比較するとまだ若い方多く、色々な面で「なんとかなった」時代であったとも言えます。2023年現在、65歳以上の人口割合は29.1%と、3人に1名が65歳以上ですが、1974年当時の高齢者割合は10%以下という時代でした。

今後発生する様々な災害は、昔と比べますと被災者の多くを高齢者が占めるという点、またインフラが老朽化しており被害が生じやすくなっている点など、すでにハンデを抱えている状況で被害がもたらされることが確定しています。大地震の予知はできず、いつでもどこにでも大地震が生じる、常に備えることが重要だということが改めて言えるかと思います。

防災意識を高める

ちなみに、1974年の伊豆半島沖地震の後、伊豆周辺では地震が続きました。2年後の1976年にはマグニチュード5.4の河津地震が、4年後の1978年にはマグニチュード7の伊豆大島近海地震が発生しています。

さらに、これらの地震と同じ時期、近い将来東海地震が発生するという学説が盛り上がり、伊豆大島近海地震が生じた1978年には、地震の予知を前提とした法律「大規模地震対策特別措置法」通称「大震法」が制定され、東海地震の前兆現象が確認された際には、警戒宣言という事実上の予知が発表される仕組みなどが整備されました。

実際に生じた地震、また国を挙げての地震予知が、当時の静岡県に集中したこともあり、静岡では地震対策が急激に進み、建物の耐震強化や学校における防災訓練などが熱心に行われました。

ただ、残念なことに、東海地震の予知は難しいということが分かり、2013年に地震予知は難しいという見解が示され、2019年には地震予知を前提とした警戒宣言に変わり、「南海トラフ地震臨時情報」の運用が始まるなど、地震は予知から突発的な発生を前提としたものに、位置づけが変わっています。

能登半島および石川県に関しては、今回の地震の教訓を元に、建物の耐震化や地震対策を今後盛り上げることができるか、ひとつの課題であるといえるでしょう。

本日も、ご安全に!

本日は「伊豆半島沖地震」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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