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Voicyそなえるらじお #868 安全保障として重要なお米の国家備蓄…公助の防災ですべきこと

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #868 安全保障として重要なお米の国家備蓄…公助の防災ですべきこと

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月13日(木)、本日も備えて参りましょう!

お米は命

本日のテーマは「お米と防災」のお話です。

前回の放送では、令和の米騒動・直近で生じているお米不足に関する実態についてお話をしましたが、今回は防災視点で見るお米に関するお話です。

国の最大の義務はお米の備蓄

防災ではよく自助・共助・公助という言葉が使われます。個人の防災、地域の防災、行政の防災、それぞれが得意な防災をすることが重要です。例えば災害に備えた備蓄品、最低3日分・できれば7日分の飲料水や食料を備蓄するのは、日本の場合個人の義務と考えてもよいくらいに、当たり前にすべき対策です。

しかし、各種の原因で生じる食料危機などが発生した場合は、3日や7日分程度の備蓄では対処できず、数ヶ月分から1年分程度の備蓄が必要となります。これを個人で行うことはかなり困難です。防災を趣味とするような方でも、一ヶ月分以上の備蓄を負担なく行うことは、相当に大変です。

そのため、食料危機などへの備えは、個人による自助ではなく、行政による公助で行うべきで、これは防災と言うよりは国家の安全保障の一環であると言えます。この時に必要となる備蓄が、国によるお米の備蓄なのです。食料危機が発生しても、お米だけは必ず購入できるとなれば、ものすごく安心感があると思いませんか。

前回の放送でお話をしましたが、1日の必要カロリーをお米だけでまかなおうとした場合、必要なお米の量は月に19キロ、1年間では231キロとなります。これを全国民分、1億2千4百万人分準備すると、2,864万トンのお米が必要になります。

新米の収穫が始まる直前、毎年6月末の時点で、2,864万トンのお米が国に備蓄されていれば、何かの理由で食料危機が発生したとしても、最低1年間はお米だけでカロリーをまかなえる量の配布ができるのです。実際にはお米以外からもカロリーを摂取しますので、数年間食料危機が継続しても、国民全員生きのびることができるようになります。そんな国に私は暮らしたいです。

一方、2024年6月末に想定されている、お米の備蓄の量は、177万トンです。国民1人当たりで言えば14キロ相当、必要カロリーで言えば三週間程度ぶんしかありません。平時の状態であれば、7月には新米が補充され始めますので、この在庫量で問題無いのですが、今何かの理由でお米の生産が止まれば、一人14キロのお米で来年まで生きていかなければならないことになります、ちょっと怖くないでしょうか。

米作りに関する妄想

私は防災以外に関してはド素人ですので、これは個人的な妄想ですが、本来は土地が許す限り全力でお米を作り、1年間米の生産がゼロでも大丈夫な量の備蓄をし、余剰分は海外への輸出や、バイオ燃料などの原料にし、お米を中心とした安全保障を確立する、そうした対応が必要なのではないかと思っています。

日本で最大にお米を作っていたのは、1967年(昭和42年)です。この年がピークで、お米の生産量は1,445万トンありました。現在の二倍以上の生産量です。宅地化などによる田んぼの減少はあると思いますが、一方で生産の効率化や品種改良などによる増産も出来ているはずですので、現在の2倍のお米を作ることは、十分に可能なのではと思います。

しかし、お米農家さんにすると、大量に米を作っても売れないのであれば成り立ちません。そのため、余るお米については国による買い上げを行い、それを輸出やバイオ燃料かなどに回すような政策がとれれば良いのになと思っています。もちろんこのような政策は、既得権益とお米の利権でドロドロになることが目に見えていますが、産業と予算のあるところに黒い金は生まれるモノです。それがお米であれば、個人的には必要なものではないかと思います。

例えば今、お米の取引価格は、玄米60キロあたり平均すると1万5千円程度、キロ250円という数字になります。現在のお米の生産量を倍増するためには650万トンの増産が必要ですが、この650万トンを60キロあたり1万5千円で買い上げる場合の予算は、1兆6千億円です。このお米を国家備蓄として保管する費用も含めて、2兆円程度の予算が必要としましても、消費税1%相当でお米の生産量を倍増できます。

倍増した状態を4年間維持すると、全国民がお米だけで1年間生きられるだけの備蓄が完了し、それ以降は4年備蓄したお米からバイオ燃料や化学原料などに回す、壮大なローリングストックをすることで、食料危機に負けない体制が作られます。そのために消費税が1%上がるというなら、喜んで支払いたい所です。

国家に課せられる最大の義務は、国民を飢えさせないことと、国民を外敵から守ることだと思っています。個人では太刀打ちできないため、みんなで協力して食べ物を備蓄し、そして武力を持ってきたわけです。ほんの100年前まで、昭和の初期頃までは、お米の不作による飢饉はかなり頻繁に生じていました。

ご飯が食べられて当たり前、来年もかならず収穫がある、そうした状況になったのは最近の事で、これが長続きする保障はありません。その日が来てからでは間に合わない食料の確保、これをもっと国レベルで行いたいと願うものです。

本日も、ご安全に!

本日は「お米と防災」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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