備える.jp
サイトメニュー仕事依頼・お問合せ

Voicyそなえるらじお #877 大地震発生!自宅の排水管はどのようにチェックすればよい?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #877 大地震発生!自宅の排水管はどのようにチェックすればよい?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月26日(水)、本日も備えて参りましょう!

排水チェックは平時にも

本日のテーマは「排水管の確認」のお話です。

今回はコメント欄にいただいたご質問への回答です。質問を下さいましたのは「ぱんだっこ」さんです。

『高荷先生、こんばんは。トイレはある意味、飲み水より心配で、ある程度備蓄しています。質問です。大きめの地震があった時、断水はわかりやすいですが、トイレや下水が使えるかどうかはどのように判断したらいいでしょうか?

建物に目立った被害がない場合もあるでしょうが、震度上での目安や、判断方法はあるでしょうか?また関連して、下水が流せない時、トイレ以外の生活排水はどんな処理方法がありますか?台所の排水口が詰まっただけでも相当不便なのに、家全体で何も流せないなんてどうすればいいのでしょう…』

断水時のトイレ対応

前回・前々回と非常用トイレのお話をして参りましたが、そもそもトイレが使えなくなる状況とはどういうものでしょうか。ポイントは二つ、断水で水が流せなくなるケースと、排水管や下水のトラブルで水が流れなくなるケースです。

まず、断水のみが発生した場合は、水を調達できればトイレを使うことができます。水道のメンテナンスなどを理由とした計画的な断水が生じた場合、また台風や大雪で停電が発生し、停電により水道が止まった場合などです。こうした状況は、あらかじめ断水することが告知されたり、台風が来ることや大雪が降ることはわかりますから、例えばお風呂場の浴槽に水をためておいて、断水が発生したらこれを使用すると言う方法で対処できます。

断水の期間が1日程度であれば、くみ置きの水で十分トイレを使用する事ができるかと思います。問題なのは、今回のご質問のケース、排水管や下水にトラブルが生じた場合の対応です。

排水ができなくなるケース

排水ができなくなるケースは2つあります。ひとつは雨水と汚水を一緒に流すタイプの下水が、大雨で冠水して汚水を流せなくなるケースです。この場合、建物から汚水を流せなくなるだけでなく、場合によっては雨水と下水が室内に逆流する恐れもあるため、例えばビニール袋に水をたくさん入れた水のうを作り、排水溝を封鎖するなどの対応が必要になる場合があります。

もうひとつは、大地震などの影響で排水管が直接損傷し、汚水を下水管まで排水出来なくなるケースです。排水管が損傷した状態で無理やり汚水を流すと、流した汚水が室内にあふれて二次災害を招くことがあります。また、マンション等の場合は全ての汚水が1階の部屋にあふれ出る恐れもあるため、これは最悪の状態となります。

大雨による浸水で汚水が流せなくなるケースは、自宅周辺が水没していますので、まぁ見ればわかります。一方大地震などで排水管が損傷するケースは、ぱっと見ではわからない場合があるため、排水管の確認が必要です。

大地震後の排水管確認

大地震による排水管の損傷は、どのくらいの地震から発生するのでしょうか。これは揺れ方や建物の状況により変わりますので、一概には言えませんが、目安としては震度6弱以上の揺れに見舞われた場合、被害が生じ始める可能性があります。建築基準法による新耐震基準では、震度5強までの揺れでは建物に深刻な被害が生じないようにすることが基本となるため、付属設備についても震度5強までは被害なし、と考えたいというのが理由です。

実際、多くの地震において、震度5強程度まではJ顕著な被害はなく、震度6弱を超えると建物被害が増えたり、死者が生じ始めたりしますので、震度6弱を超える揺れに見舞われたら、排水管を気にしてください。

排水管の確認は、まず目視で行います。建物の汚水は、建物内の排水管から、建物と公共の下水道をつなぐ、排水ますまで流れ、そこから下水へ流れて行きます。戸建ての場合も、マンションの場合も、敷地内に排水ますがあり、そのフタを開けることで、汚水が流れていく状況を確認できます。

まずは、室内のトイレ、台所、洗面所、洗濯機置き場、風呂場など、水道がある場所から、排水ますまでのルートを目視で点検してください。明らかな異常がある、すでに水が漏れているという場合には、排水はできません。また液状化現象などが発生して、下水側に見てわかる損傷が発生していたり、排水ますに土砂が流入しているような場合も、排水はできないことがわかります。

ぱっと見の点検で問題がない場合は、排水ますのフタを開けた状態で、室内から水を流します。流した水が正しく排水ますまで到着すれば、基本的には問題なしと考えて大丈夫です。排水の状態がわかりづらい場合は、流す水に色をつけたり、トイレットペーパーの切れ端などを一緒に流すと、到着していることがわかります。

マンションなどの場合は、全ての部屋が同時に排水確認をすると、どの部屋の水が正しく流れてくるのかわかりませんので、順番に一部屋ずつ確認する必要があります。できれば災害発生前に、ここから流した水は、何秒後に排水ますに到達するのか、などを確認しておけると、非常時のチェックが行いやすくなるでしょう。 

本日も、ご安全に!

本日は「排水管の確認」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

新着のブログ記事

ブログカテゴリ

備える.jp 新着記事